長編映画監督デビュー作『岬の兄妹』が国内外から高い評価を受けた片山慎三監督最新作で佐藤二朗主演の映画『さがす』が公開中。2月15日(火)にテアトル新宿にて清水尋也、片山慎三監督による舞台挨拶が行われた。
1月21日(金)より全国23館で公開された本作は、2月15日(火)時点で興行収入5,500万円を突破し、観客動員数は4万人に迫る勢いの大ヒット・スタートを記録! 興行通信社の発表するミニシアター・ランキングでは実写映画では4週連続第1位に輝く快挙を達成。SNSや各メディア上でも絶賛評が相次ぐなど各地での好評を受け、2月18日(金)からは追加19館での拡大公開が決定し、上映館数はのべ70館を超えた。
2月15日(火)にはテアトル新宿で舞台挨拶が行われ、出演者の清水尋也とメガホンを取った片山慎三監督が登壇した。劇場公開から約3週間が経過した現在も、SNSや口コミで話題沸騰中。消えた父になりすました残忍な連続殺人鬼・山内を演じた清水は「知り合いからたくさん連絡があったが、“キモイ!”という感想が一番多かった。山内はこれまで演じた中でもダントツに気持ち悪い役柄。みんなに“キモッ!”と思わせられたということは、それだけ役柄がしっかりと伝わったということ」と手応え。片山監督も「ヘビーな内容でありながらも、それでも“面白い!”という感想が多いのは嬉しいこと」と観客からの好リアクションの数々を喜んでいた。
清水扮する山内の眼差しについて「怖すぎる!」という声も多数ある。不気味なキャラクターを作り上げた清水は「ヒールとして物語の中で強く存在できればいいと思っていたので、山内が画に出ると温度が下がるような、そんな不穏な空気感を意識。目つきもシーンや状況によって変えていきました」と怪演を回想。楓役の伊東 蒼が撮影中に“目をそらしたら、隙を突かれて殺されるんじゃないか”と感じていたと知ると、「え? 現場では普通に話していたのに、心の裏でそんなことを思っていたとは……」と苦笑いも「目の前で対峙している方にそう言われるのは嬉しいことです」と喜んだ。
一方、片山監督は山内に“現代の若者の生きづらさ”を仮託したといい「若い世代の人たちに“山内はただの悪役ではないぞ”と感じてもらい、共感できる部分を少しでも見い出してもらえたら」と若い層の観客の受け取り方に興味津々。山内というキャラクターを創造するにあたっては、実在の殺人犯と面会を重ねたそうで「面会に現れたのは意外にも普通の青年だった。まさかの“普通”という逆の衝撃を受けたことから、山内には普通っぽさを求めました。それを清水さんは上手く表現してくれた」と清水の役への深い理解を絶賛していた。
また苦労したシーンや手応えを得た場面の話題になると、清水は「手応えもあって一番苦労したところは……実はカットされています! ね?片山さん」と確認し、片山監督も「全部カットしましたね」とクールに返答。それは山内が島に住む老人・馬渕(品川 徹)との激しいアクション・シーンらしく、片山監督は「5回くらい撮り直すほど、自分的にも心血を注いでこだわった場面。でもその場面があると、観客が山内に共感できなくなる。映画のために泣く泣くカットしました」とカット理由を解説。これに清水は「でも結果として面白い作品が出来上がったわけですから! 監督の判断が正しかったと思っています!」と納得の表情を浮かべていた。
人を殺めているはずの山内が“食べ物をモリモリ食べる”姿にも様々な意見が寄せられている。清水は「食事のシーンでは、山内の飢えと前のめりのエネルギーを出せればと演じました。監督からも『ガッツリと食べて』という指示をいただいていたので、セリフに合わせた食べる量とタイミングを決めながら臨みました」と舞台裏を紹介。片山監督は「殺人を犯す男の溢れる生命力という不気味さを出したかった」と食事場面の狙いを口にし、「清水さんは体が細いのにすごく食べる。何度テイクを重ねても同じ量をモリモリと食べてくれるので、どこまで行くのか?と楽しくなりました」とニヤリ。当の清水は食べる量に苦労した様子で、「お昼ご飯を抜いておけばよかった」と反省していた。
本作はロングラン・ヒットを記録中で、上映劇場も続々と増やしている。清水は「これからもたくさんの観客の皆さんに愛される作品になってほしい。間違いなく、僕の代表作になったと言い切れます」とさらなる広がりに期待。片山監督は若い客層の支持に感激しながら「若い人のために作ったような映画なので、鑑賞後に感じたことがあれば、話し合って作品を広げていってほしい」と願いを込めていた。
映画『さがす』はテアトル新宿ほか全国公開中。
登壇者:清水尋也 × 片山慎三監督
公開表記
配給:アスミック・エース
テアトル新宿ほか全国公開中
(オフィシャル素材提供)