ウディ・アレン監督はユニークで、他の監督とは撮影方法が違っていた
『マッチポイント』『タロットカード殺人事件』に続く、ウディ・アレン監督のロンドン3部作最終章『ウディ・アレンの夢と犯罪』。アレン監督の映画に初出演を果たしたユアン・マクレガーが、インタビューに応じた。
ユアン・マクレガー
1971年スコットランド生まれ。
TVドラマシリーズ『カラーに口紅』(92)で注目を浴びた後、『シャロウ・グレイブ』(95)、『トレインスポッティング』(96)、そして『普通じゃない』(97)でダニー・ボイル監督作品に出演し、世界的に知られるようになる。以来、ピーター・グリナウェイ監督の『ピーター・グリナウェイの枕草子』(96)、ダグラス・マクグラス監督の『Emma エマ』(96)、マーク・ハーマン監督の『ブラス!』(96)、トッド・ヘインズ監督の『ベルベット・ゴールドマイン』(98)、ジョージ・ルーカス監督の『スター・ウォーズ』三部作など、多くの作品に出演している。
95年にはジュード・ロウらと共に映画製作会社”ナチュラル・ナイロン”を設立。99年には『チューブ・テイルズ』で監督にも挑戦した。
最近ではレニー・ゼルウィガーと共演した『ミス・ポター』(06/クリス・ヌーナン監督)、またヨーロピアン・フィルム・アワード受賞、ゴールデン・グローブ賞ノミネート、その他を受賞した『ムーラン・ルージュ』(01/バズ・ラーマン監督)、『アイランド』(05/マイケル・ベイ監督)、『猟人日記』(03/デヴィッド・マッケンジー監督)、『天使と悪魔』(09/ロン・ハワード監督)などがある。
コリン・ファレルとの出会いについて。
キャスティングが終了し、ロスで集合するまで、コリンには一度も会ったことがなかったんだ。でも最初にあった時から、すぐに意気投合した。揉め事もなかったし、逆上するようなこともなかった。コリンは本当に愛すべき男だよ。
撮影が始まってからは、2人で真剣に取り組んだ。ウディ・アレン監督はユニークで、他の監督とは撮影方法が違っていたね。インサート・カットをあまりせずに、一つのシーンが長い。台詞は10ページ以上もあり、演技中は常に動いていないといけない。しかも3テイク以上撮ることは稀だから、役者は常にベストな状態で挑まないといけないんだ。だから毎朝、コリンと楽屋で落ち合って台詞の稽古をした。メイク中の間もね。
ユアンにとって、ウディ・アレン作品への参加も今回が初めての経験となった。いつか彼の映画に出たいと思っていたという、ウディ・アレン監督の印象について。
ニューヨークにある彼の事務所で会う約束をしたんだ。僕のほうが先に着いてしまったんだけど、遅れてきた監督はしどろもどろになりながら、何度も仕切りに詫びたんだよ。「本当に申し訳ない。急いで歩くんだけど、どうしてもいつも遅刻してしまって……」って。そのときにまるで、彼の作品の中に自分が入り込んでしまったような不思議な印象をもった。たった45秒しか会話をしていないのにね!
それから1ヵ月後、映画の撮影に入ったという。ウディ・アレンとの仕事は、実際どうだったのか。
彼についての矛盾した話はたくさん聞いていた。俳優には直接話しかけない、名前で呼ばない、演技指導をしないなどの証言を読んだこともあった。現場に入るまでどうなるのか想像ができなかったのだけど、実際に聞いていたこととは全然違ったと証言できるよ! 本当に熱心に演技指導をしてもらった。他の経験のない監督からこれだけ詳しく説明を受けたらうんざりしただろうが、彼からの指導は逆に気持ちがほぐれたね。しっかりと導いてくれる監督だったよ。
最後に映画『ウディ・アレンの夢と犯罪』について。
初めて脚本を読んだときから、とても優れたストーリーだと思った。思いがけない結末もエキサイティングで、本当によく作り上げられている素晴らしい作品だよ!
公開表記
配給:アルバトロス・フィルム
2010年3月20日 恵比寿ガーデンシネマほか全国ロードショー
(オフィシャル素材提供)