インタビュー

『スリープレス・ナイト』トメル・シスレー&フレデリック・ジャルダン監督 インタビュー

©Chic Films – PTD – Saga Film

監督をしてみたいと思ったきっかけは、故・新藤兼人監督と出会い、影響されたこともあった。

 2012年トロント国際映画祭で世界中の映画ファンを熱狂させ、今年で20回目を迎えるフランス映画祭でも上映され好評を博した傑作ノンストップ・アクション『スリープレス・ナイト』がいよいよ公開される。監督と主演俳優、ふたりに会って映画について話を聞くことができた。

フレデリック・ジャルダン監督

 1968年5月24日、フランス・パリ生まれ。
 脚本家の父と映画監督の兄を持つ。長編『優しい狂気』(94)でデビューし、第2回フランス映画祭にも出品された。4作目となる『スリープレス・ナイト』は、すでにハリウッド・リメイクも決定。主な監督作に、『優しい狂気』(94)、『Les freres Soeur』(2000)、『Cravate club』(02)。

トメル・シスレー

 1974年8月14日、ドイツ・ベルリン生まれ。
 9歳でフランスに移住。スタンダップ・コメディアンとしてTVを中心に活躍。
 英語、フランス語、ドイツ語、ヘブライ語を操るほか、ベルギーの大人気コミック原作の映画『ラルゴ・ウィンチ』シリーズ(08)(2011)では、ハードなアクションも自らこなすなどマルチに活躍する今後注目の俳優。
 その他の出演作に、『迷宮の女』(03)、『裏切りの闇で眠れ』(06)、『正しい恋愛小説の作り方』(06/未)。

まず、来日の感想からお願いします。

フレデリック・ジャルダン監督:日本からはいい刺激を受けている。東京はエキセントリックな街だね。この映画を観て、日本人がどんな反応をするのかが楽しみだよ。

トメル・シスレー:僕は初来日だ。これが最後にならなければいいね(笑)。日本はとても魅力的な場所だ。できればぶらぶら歩いてみたいな。

監督は初のアクション映画挑戦となりましたが?

フレデリック・ジャルダン監督:アクション映画が好きで、こういう映画が撮りたいとずっと思っていたんだ。次の作品もこんな作品になる予定だ。

トメルさん主演の決め手となったのはどんなところでしょうか?

フレデリック・ジャルダン監督:トメルは感情面での表現がうまい俳優だ。ヴァンサン役に必要な要素を持っている。この映画にはトメルの素の部分が出ているよ。それと、見たこともない顔ぶれをそろえたいということもあってオファーしたんだ。

アクション・シーンでは、どんな部分にこだわりをもたれましたか?

トメル・シスレー:作品にとって、スタントよりも自分が演じたほうが良いと判断したので、ほとんどは僕自身が演じているよ。

フレデリック・ジャルダン監督:常にヴァンサンの動きを追いながらカメラも一緒に動くことで、フィジカル面でいい効果が出ている。カメラワークに凝ることで、観ている人を混乱させるという狙いもあった。

ナイト・クラブでのアクションシーンが印象的でしたが、どんな狙いがあったのでしょう?

フレデリック・ジャルダン監督:限られた空間の中での混乱を描きたかった。すべての演出がいかにポエスティックな空間を作り上げるかにかかっていた。混乱を描くには大きなエネルギーと細やかな作業が必要だったよ。エキストラも600人以上いたかな。彼らは追われるヴァンサンの邪魔をするだけでなく、隠すという敵対関係にあるんだ。多くのスタッフの協力もあって、いい場面が創れたと思う。(大勢の客でごったがえすクラブ、人間が動く壁のように主人公の行く手を遮り、同時に主人公の姿を隠す楯になるという趣向)

アクション・シーンで、苦労されたところや大変だったシーンは?

トメル・シスレー:撮影は順撮りというわけではなかったので、物語が進行するにつれて衰弱していく姿を前後に行ったり来たりして撮影したため、怪我をしたヴァンサンの痛みを継続的にうつしだすという意識を常に保つのが大変な作業だった。アクション・シーンで一番大変だったのは、クラブの冷蔵室で女性捜査官と争うシーンだった。ノー・カット、長まわしで撮ったんだけれど、本当に寒かったんだ。

ラスト・シーンでヴァンサンが子どもを救出し、傷ついたヴァンサンを子どもが車を運転して病院に連れて行こうとするシーンが印象的でした。

フレデリック・ジャルダン監督:あのシーンはそれまでギクシャクしていた父と息子の絆が深まるシーンで、僕も気に入っているんだ。ダメな父親だったヴァンサンが息子を救出するために自らの命を投げ出し、父親として再生するという父と子の関係性を描きたかったんだ。

ハリウッドでのリメイクが決定しましたね?

フレデリック・ジャルダン監督:韓国からもオファーがあった。むしろ韓国バージョンのほうに興味があったんだけれど、次回作を製作する費用を得るためにハリウッドに決めた。オリジナリティーが枯渇しているハリウッドには期待はしていない。だけど、リメイクされるということは、作品そのものに価値があることなので、素直に喜んでいるよ。

 本作で主演を務めたのは「ラルゴ・ウィンチ」シリーズのフランス期待の実力派俳優トメル・シスレー。そのイケメンぶりにときめく女性も多いのでは。今後の活躍が大いに期待される。
 ハリウッド・リメイクではどんな俳優がヴァンサンを演じるのか楽しみに待ちたいところ。
 クラブという狭い空間、密室内の怒濤のアクションは、大胆で斬新。飽きさせないストーリーとスピード感溢れるアクションに満足度は120%! 全編にみなぎるスリルを劇場で体感してほしい。

(取材・文・写真:福住佐知子)

公開表記

配給:トランスフォーマー
2012年9月15日(土)より、ヒューマントラストシネマ渋谷 他で全国公開

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