インタビュー

『土手と夫婦と幽霊』渡邉高章監督 オフィシャル・インタビュー

©2021 zampanotheater

 日本芸術センター映像グランプリ&湖畔の映画祭 主演俳優賞(星能 豊)受賞、海外映画祭でも受賞を重ねている渡邉高章監督作『土手と夫婦と幽霊』。この度、公開を前に、主演・星能 豊のオフィシャル・インタビューが届いた。

星能 豊

 石川県金沢市生まれ。
 劇団研修生を経て本格的に俳優活動をはじめる。出演作品がぴあフィルムフェスティバル、ながおか映画祭、うえだ城下町映画祭、福岡インディペンデント映画祭、おおぶ映画祭、福井映画祭など全国各地、フランス、ルーマニア、ロシア、イギリス、アメリカ、スペイン、チェコなど海外の映画祭にて上映される。
 2019年本作により湖畔の映画祭にて、主演俳優賞を受賞、2020年受賞を記念し、名古屋・シネマスコーレにて自身の特集上映が組まれた。現在は金沢市に拠点を移して活動している。

自分の名前を含め、ほとんど記憶がない男の役でしたが、演じていかがでしたか?

 基本、演じれば演じるほど、お芝居って難しいと感じることが多く、日々格闘です。そこにさらに「記憶がない」のを演じるとなりましたら、それは難しいに決まっております(笑)! だから辞めたくなるときもあったりします。でもそうして様々な職種や人物を演じることができるということで楽しい現場にもなりましたし、今も続けている理由にも繋がっています。

脚本の前に監督が書いた小説を読んだとのことですが、どう助けになりましたか?

 小説家を演じることになり、先ずはどんな小説を書いているかをイメージすることは役作りには必要な作業のひとつでしたのでとても助かりました。

衣装はご本人のコーディネートとのことですが、スナフキンみたいな帽子も特徴的でした。どこにこだわりましたか?

 スナフキンみたいだね、というのはよく言われました(笑)。今回の作品のテーマだと少し流浪感もあったらいいのではと思いました。多摩川沿いの撮影でもありましたので、風が吹いたときに衣装が揺れるなどをイメージして丈の長い羽織りものを用意しました。あとは撮影時は5月初旬でまだまだ寒かった、というのもありましたが、撮影時はなぜか例年より暑くて大変でした(笑)。
 いつもは用意していただいていますが、スタイリストの友達だったり、今回は渡邉監督の作品には多数関わっているカミフクモトジュンさんにも相談したところ、自分が持っている服で良さそうでしたので、今回は自分で選んでみました。ちなみに帽子がそのスナフキン感を出しているみたいですが、使い古した感じにできたらと思って一度わざと水洗いしたのです。そうしたら縮んでしまったのですが(笑)、結果、良かったです。

ナレーションは口語ではなく文学的な小説のような文体で難しくなかったですか?

 お芝居もナレーションも基本は難しいとしか思ってないです(笑)。今でも録り直したいなんて思ってもいます。滑舌も悪いし(笑)。これは渡邉監督ではないんですが、以前お世話になった方や監督に声がいいと仰っていただいたことがありました。正直なところ自分の声はあまり好きじゃなくて。もちろんナレーションに関しては僕自身、朗読のレッスンに通っていたりして日々向上のための努力はしているつもりですが、やっぱり難しいです。

日本芸術センター主催映像グランプリでグランプリを受賞し、湖畔の映画祭では主演俳優賞を受賞しました。受賞した際の感想をお教えください。

 日本芸術センター主催映像グランプリでのグランプリ受賞は、別の映画の上映会が終わってごはんを食べていた時に発表されたと思います。その作品もノミネートしていた作品でしたが、その場にいた監督やキャストさんからも祝福していただきました。
 湖畔の映画祭では、素晴らしきミニシアターでもある(名古屋の)シネマスコーレの坪井さんが審査員をされていて、憧れの方だったので、うれしかったです。
 でも、まだまだやれるだろ、ここからだよ、と受けとめています。コンペとは別の出演作品も上映していただき、斎藤 工さんが来場されていて、観てくださいました。かなり昔にご一緒させていただいたことがあり、当時の写真をお見せしたら、思い出してくださり、その後雑誌の連載で紹介もしていただいたのもうれしかったです。湖畔の映画祭のコンペは、『いつくしみふかき』という映画が主演俳優賞以外総取りでした。そのときにお会いした(企画・主演の)俳優の遠山 雄さんの演技はもちろん、自身が出演した映画の届け方やその尽力が素晴らしいと思いました。
 僕たちは普段はライバルなのですが、映画祭などで結果がわかれば讃えあい励ましあう。そんなことが素直にできる俳優や監督が今でも活躍していると思いますし、僕もそうありたいと思いました。

本作のみどころを教えてください。

 ネタバレにもなるので多くは話せません(笑)。小説家が書いたとある小説の内容と同じように時間が進んでいくことを自ら体現してしまい、その中にサスペンスのようなラブ・ストーリーのようないろいろな要素が現れるという不可思議な作品です。
 主演のカイマミさんはもちろん、キャストの皆さまの演技合戦もお楽しみください。

読者の方々にメッセージをお願いします。

 なかなか大きな声でこのご時世にぜひ観にきてくださいとは言いにくかったりしますが、映画館は大きな声を出すこともなく、感染対策もしております。僕は、劇場の暗闇の中で知り合いや大切な方はもちろん、見ず知らずの人たちと一緒に作品を観る時間が好きです。
 そして、観ていただくことは、インディペンデントの映画を作っている方々への励ましにもなります。
 僕自身、数日間はトークイベントに登壇予定です。ぜひ、ご来場をお待ちしております。

公開表記

 配給:アルミード
 8月6日(金)よりアップリンク吉祥寺ほかにてロードショー

(オフィシャル素材提供)

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