作品紹介

『よだかの片想い』

©島本理生/集英社 ©2021映画「よだかの片想い」製作委員会

イントロダクション

 2018年に『ファーストラヴ』で第159回直木三十五賞を受賞し、これまでにも『ナラタージュ』『Red』などの著作が映画化されてきた作家、島本理生の傑作恋愛小説『よだかの片想い』(集英社文庫刊)の映画化が決定し、2022年9月16日(金)より、新宿武蔵野館ほか全国公開となる。

 本作のメガホンをとるのは、長編映画監督デビュー作の『Dressing Up』(12)で第14回TAMA NEW WAVEのグランプリや第25回日本映画プロフェッショナル大賞 新人監督賞を受賞した新鋭・安川有果。さらには、『性の劇薬』、『アルプススタンドのはしの方』(ともに20)の2作品で第42回ヨコハマ映画祭監督賞を受賞し、今年6月には今泉力哉監督(『愛がなんだ』『街の上で』など)とのコラボレーション企画として、互いに脚本を提供し合ってR15+指定のラブストーリーとなる劇場映画を監督する企画「L/R15(えるあーるじゅうご)」を発表するなど、脚本家としても精力的に活動する城定秀夫が今作の脚本を手掛けている。

 主演は元々島本作品のファンであり念願叶っての映画化と主演を務めることになった松井玲奈。共演に『偶然と想像』(21/濱口竜介監督)などの話題作に出演する中島 歩。

 映画は、遅い「初恋」を通して成長する女性の内面を瑞々しく描き、彼女が一歩前に踏み出すその姿は観る人の心をそっと押してくれるはず。恋愛映画だけど、恋愛だけじゃない。様々なものを抱えて日々を生きる全ての人の心に響く作品が完成した。

©島本理生/集英社 ©2021映画「よだかの片想い」製作委員会

ストーリー

 物語の主人公は、理系女子大生の前田アイコ(松井玲奈)。彼女の顔の左側にはアザがある。幼い頃から、からかいや畏怖の対象にされ、恋や遊びはあきらめていた。

 大学院でも研究一筋の生活を送っていたが、「顔にアザや怪我を負った人」のルポルタージュ本の取材を受けて話題となってから、状況は一変。本が映画化されることになり、友人の編集者・まりえ(織田梨沙)の紹介で、監督の飛坂逢太(中島 歩)と会う。

 話をするうちに彼の人柄に惹かれ、作品にも感動するアイコ。飛坂への片想いを自覚してから、不器用に距離を縮めていくが、相手は仕事が第一で、女性にも不自由しないタイプ。アイコは飛坂への想いを募らせながら、自分のコンプレックスとも正面から向き合うことになる……。

ギャラリー

キャスト&スタッフ

原作:島本理生「よだかの片想い」(集英社文庫刊)
監督:安川有果
脚本:城定秀夫
出演:松井玲奈、中島 歩、藤井美菜、織田梨沙、青木 柚、手島実優、池田良、中澤梓佐、三宅弘城ほか

オフィシャル・サイト

 https://notheroinemovies.com/(外部サイト)

予告編

公開表記

配給:ラビットハウス
2022年9月16日(金)より、新宿武蔵野館ほか全国公開

(オフィシャル素材提供)

 あざがあってもアイコさんの顔左側を写したショットははっとするほど美しく、この女性の「ひと」としての美しさを、観る者の目に焼き付けるかのようだった。もう、それだけで、彼女は確かにそこに「存在」していた。
 ラストは、あざを隠すまい、あざがある自分を否定しまいと、かえって頑なに頑張ってしまっていた自分に気づき、そんな自分から解放できた瞬間なのでは。
 わたしたちは誰しも多かれ少なかれ、何らかの「あざ」を抱えている。その「あざ」と時々で折り合いをつけながら生きている自分自身をそっと抱きしめたくなる美しい作品だ。
(Maori Matsuura)

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