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特集上映「ピエール・エテックス レトロスペクティブ」12月24日(土)より開催決定!ポスタービジュアル&予告解禁

ピエール・エテックス没後6年となる命日の10月14日、開催決定とともにポスタービジュアルと本予告編が解禁!

 映画監督、俳優、イラストレーター、道化師など、数え尽くせぬ顔をもつフランスのマルチアーティスト ピエール・エテックス。イラストレーターとして活躍していた20代半ばにジャック・タチと運命的な出会いを果たし、『ぼくの伯父さん』(58)の助監督として映画界に参入、ポスターのイラストを描いたことでも有名だ。その後、のちにルイス・ブニュエル作品などの脚本家となるジャン=クロード・カリエールと共に映画制作を開始。短編二作目『幸福な結婚記念日』でアカデミー賞®最優秀短編実写映画賞を受賞し、長編作品に取りかかる。緻密な構想と見事な演出、そして無声喜劇へのオマージュに溢れた作品群を世に送り出した。一方で俳優としても活躍し、ロベール・ブレッソン『スリ』、ルイ・マル『パリの大泥棒』、オタール・イオセリアーニ『皆さま、ごきげんよう』など数多くの作品に出演した。
 権利問題が理由で長く劇場で上映されず、またソフト化もされていなかったが、ジャン=リュック・ゴダールやレオス・カラックス、ミシェル・ゴンドリー、デヴィッド・リンチなどの映画人を含む5万人以上の人々が署名活動に協力し、2010年に監督作品の上映権が復活。エテックス監修のもとデジタル修復を施された作品は、世界各国で再び上映することが可能となり、この10年でエテックスの再評価は格段に進んだ。
 今回の特集では、ルイ・デリュック賞を受賞した初長編『恋する男』、トリュフォーが絶賛し、ゴダールがその年のベストテンに選出した代表作『ヨーヨー』、混沌と不条理に満ちた4編のオムニバス『健康でさえあれば』、中年男性の恋と妄想を夢幻的に描く初のカラー長編『大恋愛』の長編4作品と、『破局』、アカデミー賞®受賞作『幸福な結婚記念日』、『絶好調』の短編3作品の計7作品が一挙公開。『恋する男』を除く6作品が、このたび劇場正式初公開となる。また、作家/クリエイターのいとうせいこう氏よりコメントが到着。「ジャック・タチを愛し、おかげでゴダールやカラックスやデヴィッド・リンチに愛される。そんな運命ありかよ、ピエール・エテックス! 作品は確かにタチ・タッチを引き継ぎながらも、タチの冷たい狂気からは逃れていて、その“モテ”感にほっこり。」と寄せている。
 解禁となった予告編では、「『ヨーヨー』はすべてのショット、アイデアが好きな美しい映画」(フランソワ・トリュフォー)、「彼は本当に稀有な存在だ」(ロベール・ブレッソン)など、名だたる映画監督からのエテックスへの愛溢れるコメントを織り交ぜながら、全7作品を紹介。ポスターは、『大恋愛』よりエテックスの印象的なシルエットを中心に据えたビジュアルが完成した。「ピエール・エテックス レトロスペクティブ」は、12月24日から2023年1月20日(金)まで渋谷のシアター・イメージフォーラムにて、順次全国の劇場でも開催される。

ピエール・エテックス Pierre Étaix(映画監督・俳優・道化師・手品師・イラストレーター・作家・音楽家)

 1928年11月23日、フランス生まれ。幼いころからチャップリンやキートンなどの喜劇映画やサーカスに夢中で、サーカスやキャバレーの芸人、グラフィック・デザイナーといった職を転々とする。ジャック・タチの『ぼくの伯父さんの休暇』を観て熱狂し、タチに芸の助言を求めたのがきっかけで『ぼくの伯父さん』のアシスタント兼イラストレーターを務めることになり、ユロ氏の象徴的なイラストを生み出す。その後、ジャン=クロード・カリエールと共に映画制作を開始。一方で映画俳優としても活躍。権利問題が理由で長く劇場で上映されず、またソフト化もされていなかったが、多くの映画人と映画ファンが行った署名活動により、2010年に裁判で勝訴し、すべての権利を取り戻すことができた。その結果、ほとんどの作品のデジタル・リマスター化が進み、多くの国で上映されることに。しかし、そんな中、惜しくもエテックスは、2016年10月14日に87年の生涯を閉じた。

■ 上映作品(長編4作品、短編3作品=計7作品/全4プログラム)

『恋する男』(原題:LE SOUPIRANT)
 監督・脚本・主演:ピエール・エテックス 脚本:ジャン=クロード・カリエール
 1962年/フランス/モノクロ/ヨーロッパ・ヴィスタ/モノラル/84分/字幕:井村千瑞
 1962年 ルイ・デリュック賞 受賞
  ※日本初公開時の邦題:『女はコワイです』

 天文学の研究に没頭してばかりの不器用な三十男。ある日両親に結婚を命じられ、伴侶となる女性を探しに街に繰り出すが、トホホな出来事の連続。しまいには、テレビに映るスーパースターの歌手・ステラに心を奪われてしまい、なんとかして彼女と結婚するために奔走する……。エテックス×カリエールの記念すべき初長編映画。フランス本国で大ヒットし、喜劇映画ではジャック・タチの『ぼくの伯父さんの休暇』以来となるルイ・デリュック賞を受賞。

©1962 – CAPAC

『ヨーヨー』(原題:YOYO)
 監督・脚本・主演:ピエール・エテックス 脚本:ジャン=クロード・カリエール
 1964年/フランス/モノクロ/ヨーロッパ・ヴィスタ/モノラル 98分/字幕:神谷直希
 1965年 カンヌ国際映画祭 青少年向最優秀映画賞 受賞 / ヴェネチア国際映画祭 国際カトリック映画事務局賞 受賞

 世界恐慌で破産した大富豪は、サーカス団の女性曲馬師と、彼女との間にかつてもうけた幼い息子とともに、地方巡業で暮らしを立てることに。やがてサーカス界で成功をおさめた息子はヨーヨーという人気クラウンになる。時代が大きく変わる中、ヨーヨーはかつて父が所有していた城を取り戻そうと躍起になるが……。愛するサイレント喜劇と、幼い頃から憧れたサーカスへのオマージュに溢れた代表作。トリュフォーが絶賛し、ゴダールがその年のベストテンに選出した。

©1965 – CAPAC

『健康でさえあれば』(原題:TANT QU’ON A LA SANTÉ)
 監督・脚本・主演:ピエール・エテックス 脚本:ジャン=クロード・カリエール
 1965年/フランス/パートカラー/ヨーロッパ・ヴィスタ/モノラル/67分/字幕:横井和子
 1966年 サン・セバスチャン国際映画祭 シルバー・シェル賞 受賞

 なかなか寝付けない男の一夜を描いた<不眠症>、映画館にいたはずが、幕間に流れるCMのおかしな世界へ入り込んでしまう<シネマトグラフ>、近代化が進む都市で人々が受ける弊害をシュールに描いた<健康でさえあれば>、都会の夫婦・下手くそハンター・偏屈な農夫が織りなす田園バーレスク<もう森へなんか行かない>の4編からなるオムニバス・コメディ。1966年にフランスで公開されたが、71年にエテックス自身によって再編集が施され、現バージョンに生まれ変わった。

©1973 – CAPAC – Les Films de la Colombe

『大恋愛』(原題:LE GRAND AMOUR)
 監督・脚本・主演:ピエール・エテックス 脚本:ジャン=クロード・カリエール
 1969年/フランス/カラー/ヨーロッパ・ヴィスタ/モノラル/87分/字幕:寺尾次郎
 1969年 フランスシネマ大賞 受賞 / 1969年 カンヌ国際映画祭 国際カトリック映画事務局賞 受賞

 工場を営む実業家の一人娘と結婚した男。義父から仕事を任され、夫婦仲も良好ながら、どこか満たされない退屈な日々を送っていた。そんなある日、若く美しい秘書が現れ、どうしようもなく惹かれてしまい……。愉快な遊び心と想像力に溢れた初のカラー長編。妄想がエスカレートした男の夢に現れる、いくつものベッドがまるで車のように道を走るシーンは本作の白眉の一つだろう。ブニュエル並みにブルジョワジーを批判しながら、夢幻的な喜劇に仕上げているのも特徴だ。

©1968 – CAPAC

『破局』(原題:RUPTURE)
 監督・脚本:ピエール・エテックス、ジャン=クロード・カリエール
 1961年/フランス/モノクロ/スタンダード/モノラル/12分/字幕:横井和子

 恋人から手紙を受け取った男。中には破かれた自分の写真が同封されていた! こちらも負けじと別れの手紙を書こうと奮闘するが、万年筆、インク、便箋、切手、デスク……なぜか翻弄されてどうしても返事を書くことができない。ジャック・タチの縁で出会ったエテックス×カリエールによる初の短編作。セリフがなく、音を使ったギャグが冴える秀作。

©1961 – CAPAC

『幸福な結婚記念日』(原題:HEUREUX ANNIVERSAIRE)
 監督・脚本:ピエール・エテックス、ジャン=クロード・カリエール
 1962年/フランス/モノクロ/スタンダード/モノラル/13分/字幕:井村千瑞
 1963年 アカデミー賞 最優秀短編実写映画賞 / 1964年 英国アカデミー賞 最優秀短編映画賞 受賞

 ある夫婦の結婚記念日。妻の用意するディナーに間に合うよう、プレゼントやワインを買い込み家路を急ぐ夫。しかし、パリの交通渋滞やその他の問題に巻き込まれ一向に辿り着けない。果たして、幸せな記念日にすることができるのか? 当たり前のことがどんどん遅延することによって笑いを誘うエテックス×カリエールならではの喜劇の傑作。

©1961 – CAPAC

『絶好調』(原題:EN PLEINE FORME)
 監督・脚本・主演:ピエール・エテックス 脚本:ジャン=クロード・カリエール
 2010年/フランス/モノクロ/ヨーロッパ・ヴィスタ/モノラル/14分/字幕:横井和子

 田舎でソロキャンプをする青年。しかし、警官に管理の行き届いたキャンプ場に行くように言われてしまう。そこは有刺鉄線で囲われた、まるで強制収容所(キャンプ)で……。当初は『健康でさえあれば』(65)の一部を成していたが、71年の再編集で外された。2010年にデジタル修復された際に、ほかの作品とともに公開され、短編として生まれ変わった。

©1971 – CAPAC

公開表記

配給:ザジフィルムズ 協力:シネマクガフィン
 公式サイト:http://www.zaziefilms.com/etaix(外部サイト)
 12/24(土)より、シアター・イメージフォーラムほか全国順次開催!

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