イベント・舞台挨拶

『鳩のごとく 蛇のごとく 斜陽』初日舞台挨拶

©2022『鳩のごとく 蛇のごとく 斜陽』製作委員会

 本日11月4日(金)に公開日を迎えた太宰 治「斜陽」執筆75周年記念作品『鳩のごとく 蛇のごとく 斜陽』。メイン館であるTOHOシネマズ日本橋にて初日舞台挨拶が行われた。登壇者には、激動の時代を生きた親子3名、“恋と革命の物語”を背負う静かで、それでいて燃えるような情熱を内に秘めた主人公を演じた注目の宮本茉由、“最後の貴婦人”と称され、たとえ没落しても貴族としての矜持と気品を漂わせるその母・都貴子を演じた水野真紀、太宰のイメージを投影した作家を志しながらも、実生活とのギャップに苦しむナイーブな弟・直治を演じた奥野 壮のメインキャストに加え、自身の病魔やコロナ禍を乗り越え、半世紀近く前に書かれた草稿を執念で完成させた近藤明男監督が揃った。

 淡いピンクのドレスで登場し、盛大な拍手で出迎えられた宮本は、作品を鑑賞した直後の観客を前に「会場に足を運んでいただきありがとうございます。道ならぬ恋に突き進む主人公島崎和子を演じました宮本茉由です」と挨拶。続いて、水野、奥野、監督が喜びの言葉と共に挨拶をした。
 今回の映画が初出演で初主演となる宮本は、全国公開の初日を迎えて「こんなに多くの方に来ていただけて本当に嬉しいです。こうやって一つの作品が完成して皆さんに観ていただけることは奇跡なんだなと感無量です。かず子をイメージして普段は着ないような大人びたドレスを選んでいただきました」と観客への感謝と舞台挨拶への意気込みを語った。
 続いて、「最後の貴婦人」と称される母を演じた水野が「本当の華族の方にはお会いしたことがないのですが、いろいろな情報が集められる時代ですので、インターネットで調べたり、華族のお嬢様たちが語ったインタビューをまとめた本、実際に(劇中ノ)私たちが住んでいたという西片町にあるお屋敷街の跡地を訪れたりして、私なりに都貴子という女性のイメージを膨らませました」と、役作りを明かす。弟・直治役の奥野は、「今まで演じてきた役の中で一番シリアスな展開が降り注ぐ役柄だなと脚本を読んで思いました。母の死、お師匠さんの死など、生と死の入り混じる複雑な感情をどう表現しようかと常に考えながら演じてきましたけど、しんどかったです(笑)」と、安藤政信演じる流行作家・上原にあこがれて作家を目指し、戦後の混沌とした時期を乗り越えようともがく直治の難しい役どころを振り返った。
 50年以上の前の脚本から、映画製作を決めてから大変な苦労を重ねてきた近藤監督は、「お母さん役は企画が動き出した5年前から水野さんしか考えられないと思っていました。かず子と直治は難しかったのですが、2年前に企画が再開したとき、宮本さんと衝撃的な出会いをして、プロデューサーと“経験は関係ない。この人で行こう”と即断しました。直治も素晴らしい、文句のつけようがありません。ご覧になった皆様は分かっていただけると思いますが、この3人の映画です。この3人が良ければ大丈夫と思っていました」と作品を支えたキャストを称賛した。今年で45回を迎える「山路ふみ子映画賞」で山路ふみ子文化財団特別賞を受賞した件をMCから紹介されると、「山路ふみ子さんの代表作は溝口健二監督の作品。僕の師匠である増村保造監督はかつて溝口監督のもとで助監督をしていたので、「俺が助監督のときは溝口さんにこうした」という話をずいぶん聞かされたという縁があります。映画界に何かを残したいという山路ふみ子さんの気持ちを、この作品のスタッフ、キャスト全員に頂いたと思っています」と受賞の感想を明かした。
 その後は、上映後の舞台挨拶ということで作品のネタバレもありのトークに。宮本が奥野に「ビンタをするシーンがあったのですが、キレイな顔なのでしづらかったですね」と撮影を振り返ると、奥野が「全然痛かったです」と返し会場からも笑い声が上がるなど、和気あいあいとした雰囲気で進行した。
 最後は、主演の宮本が「私自身、この作品を通して当たり前の毎日がどれほど幸せで有難いことかを感じました。観てくださった皆さんが、明日からまた頑張ろうと思っていただけたら嬉しいなと思います。本日は本当にありがとうございました」と感謝と作品への願いを語り、大きな拍手のなか舞台挨拶は幕を閉じた。
 太宰 治「斜陽」執筆75周年記念作品『鳩のごとく 蛇のごとく 斜陽』は、本日より全国劇場にて絶賛上映中。

登壇者:宮本茉由、水野真紀、奥野 壮、近藤明男監督

公開表記

配給:彩プロ
10/28(金)よりTOHOシネマズ甲府先行公開、11/4(金)よりTOHOシネマズ日本橋ほか全国公開

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