イベント・舞台挨拶

『光の指す方へ』トーク&ミニライブ

©Itoo office inc.

 青梅の映画館シネマネコを舞台に青年の初めての挫折と再生を描いた映画『光の指す方へ』のトーク&ミニライブが11月23日(水・祝)シネマネコにて全2回開催され、本作の主題歌を担当した指田フミヤさんが上映後に登壇。1回目は主演の犬飼直紀、2回目は映写技師役の伊藤悌智とのトーク、そしてピアノ弾き語りでのミニライブが実施された。

 今回、映画からインスパイアされ主題歌「ひかり」を制作し、自らボーカルを務めたシンガーソングライターの指田フミヤ。1回目は主演の犬飼直紀とともに登場。「この曲をはじめて聴いたときものすごく感動して鳥肌がたった」という司会のシネマネコ菊池支配人より「どういったイメージでつくられたのか?」と問われ、指田は「今回の映画では犬飼くん演じる役が自分の道を見つけられずにいる中、映画というものに出合ってどんどん成長していくという過程が、自分がアーティストを目指すときの気持ちとすごく似ていました。僕もいろいろたくさん模索しながらミュージシャンへの道をどんどん開いていったので、すごく書きやすくて。今回は映画のことと自分の気持ちも半分入れて書こうと、どんどん制作していきました」と語った。初めて「ひかり」を聴いたときの感想を問われた犬飼は、「(本作の)試写会でエンドロールとしてはじめて聞かせていただいたのですが、本当にいろいろなものがこみ上げてくる感じでした」と答えた。
 また指田は天候に関係なくレコーディングできるミュージシャンから見た俳優の仕事について「例えば夕方のシーンとかで夕焼けがきれいな瞬間って一瞬じゃないですか。そのときにNGを出さないで、どうやってやってるんだろうとかそういうことが僕みたいなほのぼのしてるミュージシャンからすると不思議でしょうがない。すごい職業だなと思います」と述べた。


 また映画館でライブをするのは初めてという指田は「僕自体ライブをするのがすごい久しぶりなんですよ。人前で歌うのがめっちゃ久しぶりなんで、本当にデビューのときの気持ちになってます。“皆さん敵じゃない、敵じゃない”って心の中で思いながら今ここにいます」と心境について語った。
 スタンバイを終えた指田が雨の中、青梅まで駆けつけてくれた観客にお礼を述べた後、繊細ながら力強くどこまでも昇っていくような歌声を披露すると満席の会場は大きな拍手から一転して静まり返りさっそくの美声に聴き入った。この日「お昼はゆったりとした時間を過ごしていただきたかった」と1曲目に披露したのは『ただのラブソング』。途中「この日のシネマネコに愛を込めて」とこの日だけの特別な歌詞で歌い上げる場面もあった。
 1曲目を終えたMCでコロナ禍で約2年、ライブが思うようにできなかったという指田は「こうやってお客様の前で歌を歌えることは本当に幸せいっぱいで、マスク越しですけど皆さんの顔を見ながら歌えて、戻って来られてよかったと思います。本当にありがとうございます」とお礼を述べた。コロナ禍の2年間について「音楽業界も本当に大変で思うようにライブができなかったり、ライブハウスがなくなってしまったり、僕らミュージシャンもこの間に辞めてしまった人もたくさんいます。どうしたら自分の音楽を発信していけるだろうというふうにもがき続けた2年間でした」という指田は、今回の『 光の指す方へ 』の主題歌について「もう一度自分がミュージシャンを目指していたときの気持ちになって楽曲を書かせていただきまして、改めて2度目のデビュー作なのかなと自分の中で思っている楽曲ですし、すごく特別な1曲になりました」と語った。

 そして「また明日から頑張っていけるように、ここから少しでもエールを送りたいと思います」と『 光の指す方へ 』主題歌の「ひかり」を映画版とはまた違ったゆったりしたアレンジで歌い上げた。満席の客席は沁みいる歌声に聴き入り、演奏が終了すると割れんばかりの拍手が起きた。

 続く2回目のトークでは『光の指す方へ』で映写技師役を演じた伊藤悌智とのトーク。同い年でともにDIYと車とバイクが好きという二人は初対面にもかかわらず意気投合した様子。

 築80年の旧都立繊維試験場をリノベーションした木造建築のシネマネコの天井についても二人のあいだで、話がはずんだそうで、指田は「シネマネコさんもDIYじゃないですけど、めちゃめちゃ天井きれいじゃないですか。自分の音楽スタジオもこういうふうにつくりたいなって思いますね」と述べると、伊藤は劇中でシネマネコの壁を触りながら「いい映画館だね」というシーンを挙げ、「(あのセリフは)本心なんです。シネマネコさんに向けての僕の言葉なんです。本心がこぼれたんです」と語った。

 また劇中に登場するフィルム映写機に興味を持った指田に、映写技師役を演じた伊藤が操作方法を説明。最初に電源(スイッチ)を入れてあっためるという言葉に指田が「あっためるんですか。うおー」と反応。会場からは笑いが起きた。伊藤が「(映写機を)触りたいでしょ?」と尋ねると「触りたいです。めっちゃかっこいいですね。欲しくなってきましたもんね」と息のあった掛け合いを見せた。

 主題歌「ひかり」に「どんな思いをこめてつくったか?」との質問には「今回の映画の主人公が進んでいった道のりというのは、自分が音楽に出合ったときとすごく似ています。自分もまわりがどんどん就職とか決まっていくなかで、自分は音楽をすごくやりたかったのですが、その中で道を模索してる様子だったりがすごく重なっていて、自分の心情、心象風景ともすごく似ていたので、今回すらすら楽曲の方は書かせていただきました。歌詞は最初書いてたものは優しさだったりをテーマに書いてたんですけど、このコロナ禍の2年間というのは自分の中でもすごく模索しましたし、ここに来てる皆さんも大変だったと思うんですけど、その中のリアリティーっていうのがやっぱり必要なんじゃないかなと思って書き直したのが『ひかり』という楽曲になっています」と語った。

 続けて菊池支配人より楽曲制作について「曲が先行か詞が先行か」を尋ねられると「コロナ禍前は曲先(行)だったんですよ。曲先(行)だったり、アレンジをつくってから曲をつくる、そして最後に詞だったんですけど、このコロナ禍で伝えたいことがすごく増えて完全に詞先(行)になりましたね」と指田。加えて「ピアノは幼いころから触れてきた楽器なので、新しいアイデアがなかなか出てきづらいんです。自分の楽器をかえることで新しい刺激になる」という指田は、「ひかり」はギターで鼻歌をうたいながらつくったことを明かした。
 伊藤は「ひかり」について「いろいろ生きていく中で悲しみだったり挫折だったり、チェンジマークのように壁にぶち当たるんですけど、前を見てる曲なんですね。それが『光の指す方へ』にぴったりというかこれでひとつの映画だと思わせてくれる曲です」と述べた。

 ライブでは1回目とは打って変わってアップテンポなナンバー「哀シテホシイ」からスタート。会場からは自然と手拍子が沸き起こった。途中「コロナ禍で皆さんの声は聞けないんですが、もっと大きな手拍子をいただけたらうれしいです」と声がかかると手拍子は一層大きくなり、会場は一体感につつまれ、観客は体をゆらしながらライブを楽しんだ。
 演奏が終わり指田が「ありがとう」と叫ぶと観客は手を高く上げ大きな拍手。指田は「みんな本当最高です。ありがとうございます! 僕自身ライブするのが2年ぶりで、皆さんの前で生の拍手を聞きながらライブができるのが今本当幸せだなと、かみしめて歌わせていただいております」と応えた。
 改めて主題歌「ひかり」について「この楽曲は自分自身もう一度、原点に立ってこの映画とともに自分を見つめ直して書いたそんな楽曲です。少しでも今日聞いて何か持って帰ってもらえたらうれしいなと思います」と述べると雰囲気をがらっと変えて、しっとりとこの日2回目の「ひかり」を披露。ラストのサビでは立ち上がり、アカペラで歌声を響かせる場面もあった。魂のこもった歌声に鳴りやまない拍手とともに会場では涙を流す観客が続出した。

 指田フミヤ「ひかり」はデジタル配信中。

登壇者:【1回目】指田フミヤ(シンガーソングライター 本作主題歌担当)×犬飼直紀
    【2回目】指田フミヤ(シンガーソングライター 本作主題歌担当)×伊藤悌智
    司会:菊池康弘(シネマネコ支配人)

(オフィシャル素材提供)

公開表記

 配給:新日本映画社
 11/18(金)より青梅シネマネコにて先行公開中
 12/3(土)より渋谷・ユーロスペースほか全国順次公開

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