インタビュー

『BAD CITY』小沢仁志 オフィシャル・インタビュー

©2022「BAD CITY」製作委員会

 スペインのシッチェス・カタロニア国際映画祭、ポルトガルのポルト国際映画祭、アメリカのオースティン・ファンタスティック映画祭など、権威のある映画祭に続々と招待されている、本格アクション映画『BAD CITY』。日本ではロケ地である福岡県で先行上映が始まっており、いよいよ1月20日から新宿ピカデリー他にて公開される。
 この度、全国公開を前に、本作が還暦記念映画となる小沢仁志のオフィシャル・インタビューと追加場面写真が解禁となった。

還暦記念作品の本作は、どのように作っていったのでしょうか?

 おれはいつも映画のアイデアをメモ書きにしていて、溜まってきたらメモ書きを全部並べて、物語の構成を、並べながらイッキにやるんだよ。ちまちま書いて詰まったら、すぐ辞めたくなるから。この映画の脚本も4日とか5日で書き上げた。おれにとって還暦の集大成で新たな一歩っていうのが大事だった。

映画『ベイビーわるきゅーれ』のアクション監督を務められた園村健介監督だけあってアクション・シーンで痺れました。

 アクションは、全部即興で園村監督が作っていたよ。でもさ、いざ本番が始まると関係なくブンブンやっちゃうんだよな(笑)。でもヤマ(山口祥行)とおれのタイマンの荒々しさはあれでいいと思ってんだよ。おれらのアクションはガチの喧嘩だからよ、逆にちゃんとしたアクションをやれっていってもできないんだよ。でもその融合がいいんじゃないか、きっと。
 ヤマとのシーンなんてさ、とにかくぶち殺そうと練習してたからね(笑)。ラストの立ち回りは、おれとヤマじゃなきゃできねえと思っているよ。それに他のチンピラ役の奴らも金属バットとか鉄パイプ持ってバッチバチにくるからね。あれがいいのよ。ほんとにおれも「お前ら殺してやるからな」ってなるから。「殺らなきゃ殺られるよ?」って、乗っけてったほうが相手の芝居も引き出せるんだよ。

本当に、どのアクション・シーンをとっても大迫力でしたね!

 監督から「やっぱりフリーでお願いしたい」ってお願いされて、「フリーって、アクションが決まっていないってことだよね」って言ったの。坂口 拓とのアクション・シーンも、「そのほうが生きるんで」って言われてさ。相手ナイフ持ってんだけどっていうな(笑)。でも、おれは、すげえ楽しかった。子供が新しいおもちゃを与えられたというか、アクションがおれらの若い頃のアクションとは、質が全く違から面白い。あれから何十年も経って、あの谷垣健治、下村勇二、園村健介が作り上げてきたアクションに初めて触れることができた。稽古に行った時に、足が疲れるから、無駄な動きをしない避け方とか足運びを教わったんだけど、撮影では、カメラが回り始めたら、とにかく殺してやると思ってるからどうでもいい。どうでもよくなっちゃってマジでやっちゃった。

小沢仁志だからこそできるアクション・シーンはどんなものだと思いますか?

 やっぱりガチってところだよな。最近の映画って、なにかっていうと安全、安全、セーフティじゃん。おれは、そういうセーフティとか関係ねえから、スタントマンとかもいらないし、全部ガチでやってる。ヤマとの対決シーンだって、マジだからさ。あれが、マジじゃなかったらつまらないと思うし。このガチなアクションができるのは、どこ探したっておれたちぐらいしかいないよな。だからこの映画を、日本だけじゃなくて、海外にもどんどん出していきたくてさ。韓国とかでもかかったら嬉しいなって思うよ。

今回のアクション・シーンで特に心掛けたところはありますか?

 『SCORE』のときは銃撃戦重視で、あの当時のアクションについて、一石は投じた自負はあるんだけど、同じことやったらつまらない。やっぱ銃撃戦も、日本出ちゃうとさしてすごいことではなく。ハリウッドのほうが金かかっていたり、もっとすごかったりするわけじゃん。どっちかっていったら日本のアクションで凄いのはノー・スタントとか、殴り合いだと思ったんだよ。ハリウッドは日本と逆で、セーフティ重視だからタイトルを「フルボッコ」にしようかと思ってさ。肉弾戦っていうのは世界に通用すると思っている。日本でアクションできる人間たちはマイナーで小規模な映画ばっかり作ってるから、メジャーにならないんだよって思っていたんだよ。本当は、日本には動ける奴いっぱいいるんだから。要はさ、アクションできない奴にアクションを教える時間と、すげえ動ける奴に芝居を教えてる時間だったら、圧倒的に後者のほうが早いわけ。今回はそういうすげえ動ける奴らと一緒に作った映画だから、そりゃ面白いアクション・シーンになるよな。

登場人物については、当て書きなんですか?

 ヤマとか泰風は当て書きだよ。例えば坂口 拓はさ、しゃべらないほうが画になるの。あいつの動きと、立ってるだけの不気味な感じって絶対出るからね。あいつは自分で分かっているんだよ。意外としゃべらせないほうが良いの。しゃべらすとね、あいつの持ってる雰囲気がけっこう優しくてちょっと役が揺らいじゃうからさ。それとやっぱり本宮泰風と山口祥行の「日本統一」コンビが喧嘩するっていうのは良いやろ? 本宮泰風がヤマにバカバカ銃撃つなんて面白すぎるじゃん。

坂ノ上茜さん、そしてかたせ梨乃さんまで、本作に登場する女性たちも素敵でしたね!

 坂ノ上はマジでで頑張ったと思うよ。アクションも、あいつ稽古で怪我したのに本番も頑張って。スタントマンも、女優だからっていう遠慮もなく、容赦無く行くから。それに対して、全部ちゃんと受けて戦っていたんだから、本当にすごいよ。今回はおれがプロデューサーとしてオーディションのときから参加していたんだけどさ、やっぱり坂ノ上しかいないんじゃないかってなったんだよな。あと、梨乃ねえ(かたせ梨乃)も泣かせてくれたよなあ。試写をやったときもみんな梨乃ねえに泣かされてた。テジュンの奥さんを演じた、圭叶もすごいよかったんだけど、あの子、嶋 大輔の娘なんだって聞いてびっくりしちゃったよ。韓国語話せるし、芝居もいいし、かわいいしさ。おれも合格した後に大輔の娘って知ったんだけど、口説かなくて良かったよ(笑)。

記念すべき還暦記念映画が完成したわけですが、今のお気持ちを聞かせてください。

 日本の映画界のアクション映画の主演なんて、若手ばっかりだろ。おれみたいなのに主演のオファーなんて来ないからさ、こうやって作り続ければいいじゃんって思ってる。だから海外の映画祭に出ていって、こんなことができる日本人がいるんだよって知らしめたいなって思ってるよ。

(オフィシャル素材提供)

公開表記

 配給・宣伝:渋谷プロダクション
 福岡先行上映中
 1月20日(金)より新宿ピカデリーほか全国順次公開

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