イベント・舞台挨拶映画祭・特別上映アニメ

第1回新潟国際アニメーション映画祭『AKIRA』映像の魅力を探るトークショーなども開催

 3月17日に開幕した第1回新潟国際アニメーション映画祭は、約50本のアニメーション映画が一堂に会する、アジア最大の長編アニメーション映画の祭典。大盛況のセレモニーで迎えた開幕初日に続き、各会場では、いよいよコンペをはじめとした上映や数々のイベントが開始した!

 コンペ作品の上映前にはメイン会場の新潟市民プラザで舞台挨拶が行われ、『森での出来事』のエリック・パワー監督、『カムサ-忘却の井戸』のヴィノム監督が壇上に立った。

 一番初めに行われた、世界の潮流部門の関連トーク企画「アニメーションと女性監督」をテーマにした鼎談には、コンペティション部門の審査員であり、『クロース』、『レゴ®ムービー2』、『リトルプリンス 星の王子さまと私』ほか多数の作品をプロデュースするなど国際的な活躍で知られるプロデューサーのジンコ・ゴトウ、日本の研究家・須川亜紀子、世界で活躍するアニメーション作家・矢野ほなみが、アニメーション業界における女性の立場について語り合った。

 アニメーションの分野で女性の地位向上を目指す非営利団体「Women in Animation」のヴァイス・プレジデントを務め、活動してきたゴトウ。2013年に本団体に参加した時点では、「アニメーション学校で勉強している割合の70%は女性だが、実際にアニメ業界で働いている人は20%まで下がっている、明らかな男女の賃金格差が現実だった」という。しかし、各所の努力もあり、ようやく「最近は(女性の雇用率は)34%まで上昇」。25年には50%まで上げることを目標に、2015年のアヌシー国際アニメーション映画祭で<the 5050by2025 movement>を発足したという。
 ゴトウは、実際の経験談として「『レゴ® ムービー2』の時に、女性向けのストーリーを作るためにストーリー・アーティストを女性にしたいと思いましたが、アニメーター同様に女性がいなかった。でもテレビの業界には女性はいっぱいいる。彼女たちにチャレンジをさせてあげました」と話した。さらに別の女性の例として、絵を描くのが好きでストーリー・アーティストになりたい、PA(制作進行)になりたいという人がおり、メンターとしてその女性を実際の希望の職につけることまで導いたことを明かし、そのストーリーを聞いた須川も「夢を持ちスキルがあり、その話をシェアすると業界が変わる。理想的なロールモデルを共有する、自分のできるかもしれない道標を提示するのは素晴らしいこと」と賞賛。「ジェンダー・ジャスティスって言葉が大事」、「そのギャップを埋めないと」と語るゴトウは同時に「無意識のバイアスを変えなければならない」と強い決意を語っていた。

 またシネ・ウインドのレトロスペクティブでは、大友克洋作品特集の皮切りで3作品を上映。『AKIRA』の上映後には、アニメ特撮研究家の氷川竜介による「AKIRAその映像と作画の魅力」のトークも行われた。本映画祭でも上映を行うオムニバスアニメ『迷宮物語』の「工事中止命令」で、短編アニメーションの初監督デビューを果たした大友克洋。長らく取材を行ってきた氷川は、初めてアニメ制作に挑戦した大友が放った〈アニメーションは自然観察ですし、アニメーションはこういう概念だということが脳の中に入る、アニメが好きだったら最初から描ける〉という、当時のアニメーターの中でも話題になった天才・大友の逸話を披露。また氷川は、「元々映画監督志望だから、何ミリのレンズで遠近感がどれくらい圧縮されるかなどが分かるんじゃないかな。複雑な格好でヘリコプターに乗っているカットも“そんなもの頭の中で回せば良いんだよ”と」最初から頭の中でシーンが立体として存在している大友ならではの、あまりにもシンプルな返答に会場の笑いを誘った。
 また『AKIRA』では、監督だけなく、原画やレイアウトまで担当していたという大友。氷川は「宮崎 駿監督がやっていることとほとんど同じ。自分でお話も作るし、絵コンテも描くし、ほとんどのレイアウトを含め、空間の設計図は自分で描いている。全てコントロールし、自分の作品にしている。完全アニメーション作家として全て統括している感じ。まるで「CAD(コンピューターによる設計支援ツール)が頭に入っているんではないかと思うくらいだったと感嘆しきりでした。

 その他、本映画祭が主催する世界初のアニメーション・キャンパスは、映画祭に参加する一流の監督やスタッフたちから直接レクチャーを受けられる、次世代に向けた企画。マスター・クラスは、国内外の巨匠たちが、次の世代に何を託すかというメッセージを直接伝える貴重な機会として設けられ、初回には、大川=蕗谷賞を受賞した『犬王』の総作画監督の亀田祥倫、中野悟史、『漁港の肉子ちゃん』の美術監督の木村真二の3名が参加し、自らの創作について画像も用いて詳細に講義し、参加者たちとの質疑応答を行うなど、新潟国際アニメーション映画祭ならではの学びの場となった。また、FORUM部門では、『犬王』から竹内文恵(Asmik-Ace)、『山中貞雄に捧げる漫画映画「鼠小僧次郎吉」』からフランスのMIYUのE=アラン・レナール、真木太郎(GENCO)が、パネラーとして参加し、国際共同製作について、自らの体験や助成制度に関して会場を交えていくつかの熱い議論が交わされた。

第1回新潟国際アニメーション映画祭

 英語表記:Niigata International Animation Film Festival
 主催:新潟国際アニメーション映画祭実行委員会
 企画制作:ユーロスペース+ジェンコ
 特別協力:新潟市、新潟日報社、新潟県商工会議所連合会、燕商工会議所
 後援:外国映画輸入配給協会
 協力:新潟大学、開志専門職大学、JAM日本アニメ・マンガ専門学校
 協賛:NSGグループ
 会期:3月17日(金)~22日(水) 毎年開催
 上映会場:新潟市民プラザ、T・ジョイ新潟万代、シネ・ウインド、クロスパル新潟
 イベント会場:新潟日報メディアシップ、古町ルフル広場、新潟大学駅南キャンパスときめいと
 FORUM会場:開志専門職大学

公式HP

新潟国際アニメーション映画祭

 映画公式Twitter : @NIAFF_animation

(オフィシャル素材提供)

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