『父を探して』で、第88回アカデミー賞®長編アニメーション賞にノミネート! アニメーションの新潮流“イベロアメリカ”の最も重要な作家のひとりとされるアレ・アブレウ監督の最新作『Perlimps』の邦題が『ペルリンプスと秘密の森』として、2023年12月に劇場公開されることが決定。併せて、シーン写真1点が解禁された。
テクノロジーを駆使する<太陽の王国のクラエ>と自然との結びつきを大切にする<月の王国のブルーオ>の2人の秘密エージェントは、巨人によってその存在を脅かされた魔法の森に派遣されている。森を守る唯一の方法は、謎の存在である「ペルリンプス」を見つけること。最初敵対していた2人は共通する目的のために結束するが、平和をもたらすという謎の生物を探すうちに物語は思いがけない結末にたどり着く。驚きの結末と、そこに浮かび上がる隠された人類への大きな問いかけとは――?
シーン写真は、クラエとブルーオが<ペルリンプス>を見つけるために、まるで抽象絵画のように美しくに煌めく色鮮やかな森の中で奮闘する様子を切り取ったもの。独自のカラーパレットから生み出されたこの<森>は、本作の大きな見どころの一つ。アブレウ監督は“色彩と線の魔術師”とも評される画家パウル・クレーの「本当は、色が私たちを支配しているのであって、その逆ではない」という言葉に触れ、「紙の上で、次にコンピューター上で実験を重ね最も意味のある色の組み合わせが生み出された。さまざまな色に照らし出された“神秘の森”は、すべてが可能で、しがらみのない、自然やすべての生きものとのつながりを見出す場所だ。美しくいくつもの色で描かれた、子ども時代を象徴する空間(森)はあたたかく、やさしい」とアニメーションの枠を超えた本作の表現について語っている。
音楽を担当したのはアンドレ・ホソイ。彼が率いるパーカッション・グループBarbatuques(バルバトゥークス)は監督と書き下ろした主題歌「Daqui prá lá, de lá prá cá (pra Naná)」《From here to there, from there to here (for Naná)》を担当。中国、ベネズエラ、コロンビアの楽器を使い、多様な音色で音でもカラフルで異なる要素が融合した強さを表現。カエターノ・ヴェローゾやジルベルト・ジルと並ぶムジカ・ポプラール・ブラジレイラの代表的ソングライター、ミルトン・ナシメントの「Bola de Meia, Bola de Gude」のインストルメント曲も映画の中核をなし心地よい没入感へと観客を誘う。
一人の少年の目を通して描く南米大陸の歴史と冒険の物語である映画『父を探して』で、2014年アヌシー国際アニメーション映画祭最高賞&観客賞をW受賞、2016に新設されたアニー賞®長編インディペンデント作品賞(のちに『ウルフウォーカー』や『未来のミライ』が受賞)を受賞したほか、2016年アカデミー賞®長編アニメーション賞に南米の長編アニメ作品として初ノミネート! 彗星のごとく現れた新たな才能に世界が驚いた気鋭のブラジル人監督だ。前作はダイアローグのない作品だったが本作では主人公が2人になったことで対話が生まれ、セリフが生まれた。異なる者同士が同じ目的のために違いを超えて手を組むとき、個人の才能を超えた大きな力が生まれ、仲間がいることへの安心感や幸せは、より良い未来のための一歩を踏み出すエネルギーとなっていく。そしてアマゾンの保全が大きな課題であり責任でもあると感じているブラジル人監督の目には、やりきれない現実が映っているが、同時に「子どもの澄んだ目で見つめると光のような希望が見えてくる」と、本作について語っている。
<イベロアメリカとは?>
欧州及び中南米のスペイン語・ポルトガル語圏諸国から構成される地域のこと。この地域では、2000年代末から共同製作などアニメーション業界の関係強化に向けた取り組みが進んでいる。2018年にはアルゼンチンのアニメーション作家キリノ・クリスチャーニにちなんだキリノ・アワードが誕生し、受賞作がアカデミー賞®やアヌシー国際映画祭などでノミネートや受賞をし始めている。世界から注目される作家も輩出するようになる中、その牽引役を担っているのがアレ・アブレウである。
スタッフ&キャスト
脚本・編集・監督:アレ・アブレウ
音楽:アンドレ・ホソイ/オ・グリーヴォ
後援:在日ブラジル大使館
(原題:Perlimps、2022年、ブラジル、上映時間:80分)
公開表記
配給:チャイルド・フィルム/ニューディア―
2023年12月 Yebisu Garden Cinemaほかロードショー
(オフィシャル素材提供)