イベント・舞台挨拶

『邯鄲の夢 三重芝居と四人の役者』公開記念舞台挨拶

©明治産業・グッドラックスリー

 2022年、カンヌワールドフィルムフェスティバル【ニューウェーブフィルムメーカー部門】【アジア部門】、ロンドン国際映画祭【アジア部門】、ベルリンフィルムアワード【ドラマ部門】、それぞれの映画祭・部門にて最優秀賞を受賞し、その他にもブエノスアイレス国際映画祭、ウガンダ映画祭、シリコンバレー国際映画祭、国際マルチカルチャー映画祭、福岡コ・クリエイティブ国際映画祭にて公式セレクション選出され、総勢8つの国内外の映画祭で話題を呼んだ作品『邯鄲の夢 三重芝居と四人の役者』が7月28日(金)よりTOHOシネマズ 日本橋、大阪ステーションシティシネマほか全国順次公開中。

 本作は、伝統芸能の「真正女澤正劇」をベースに制作され、無名の伝統芸能の文化継承の難しさを描いたオリジナルのフィクション作品。新国劇の創始者の沢田正二郎に「真正女澤正」と名乗ることを認められた、坂東政之助こと沢 竜二の母・酒井マサ子氏が率いた「女・澤正一座」の伝統芸能・「真正女澤正劇」オリジナルの表現方法・演出となる、物語が三重に交差する「三重芝居」を用い、過去と現在、夢と現実が交差する物語を作り上げた。

 主演・監督・脚本を務めたのは沢 竜二の最後の弟子・三天屋多嘉雄。直系一座の花形・万家徳治朗を狂言回し的役どころとして演じている。他にも沢 竜二一門の元で育った伝統芸能の役者たちが出演し、思わずクスっと笑えるような芝居で作品を彩った。ロケは熊本県の重要文化財八千代座で行われた。

 映画の公開を記念して、TOHOシネマズ日本橋で、監督・主演を務めた三天屋多嘉雄、須賀貴匡、松林慎司、沢 竜二、兼崎健太郎、岡本茉利が登壇する公開記念舞台挨拶を実施。本作にかける熱い思いを語った。

 アフリカ、南米、アメリカ、ヨーロッパなど国内外8つの国際映画祭で話題を集めた本作。「この作品はもともと海外の映画祭に出品し、挑戦してきました。おかげさまで世界中の映画祭で選んでいただいて。本当にありがたいと思っております」と語る三天屋監督に拍手が送られた。そんな三天屋監督と岡本の手にはそれぞれ、カンヌワールドフィルムフェスティバル【ニューウェーブフィルムメーカー部門】の賞状と、ベルリンフィルムアワード【ドラマ部門】の賞状が。それを見た須賀が「これは貴重なものじゃないですか」と感心した様子を見せたが、「そうなんです。貴重なものなので、今日持ってきたのはレプリカなんです」と明かした三天屋監督にドッと沸いた会場内。その言葉に沢も「そりゃ(賞状を)見せないとね。本気にしない人だっていると思うんですよ。俺だって(賞をとったのは)うそだと思ってましたからね」とちゃめっ気たっぷりに付け加え、さらに会場を沸かせた。

 そんな本作がいよいよ劇場で公開となり、三天屋監督も「スタッフもそれほど多くないですし、編集も自分で行いました。撮影も本当にタイトだったので、本当に一緒にやってきた仲間や、スタッフの皆さん、そして出演していただいた方々のご協力があってできた作品」としみじみ。須賀も「本当に濃密な時間で、大変でしたね。撮影したのは2年ほど前、コロナ禍で大変な時期だったので、ようやくという気持ちがあります。一度だけ八千代座で記念上映会はありましたけど、それ以外でお客さんを入れて公開するのは今日が初。皆さんが第一目撃者ですね」と呼びかけた。

 本作のメガホンをとった三天屋監督は、“大衆演劇のドン”と称される沢 竜二の最後の弟子となる。そんなまな弟子の商業映画デビュー作ということで、沢も「高橋克実や段田安則、勝村政信にも観てくれと言っておきました。(ひとあし先に観た)勝村は最高に良かったと言ってくれていました。彼らとは蜷川幸雄の舞台で一緒だったから」と語るなど、アピールに余念がなかった様子。また撮影中のエピソードを振り返り、「(劇中で三天屋)多嘉雄が僕を迎えに来てくれるところがあったんですけど、監督として多嘉雄がものすごくいい顔をしているなと思ったんですよ。本当にいいところがたくさん映っていますので、あそこが良かった、ここが良かったと宣伝してやってください。そしてなんといっても本当にここの映画館で映画を映してもらえるのがありがたくて。喜んでおります」とご機嫌な様子を見せた。

 本作の撮影のメイン舞台となったのは、国の重要文化財にも指定されている熊本県の芝居小屋「八千代座」。大正昭和と九州の芸能を支えた劇場として広く知られ、実際に沢 竜二が復興公演に関わったこともある伝統的な劇場となる。沢は「終戦後、いちばん最初に八千代座に出たのがわたしなんです。あの時はござしかなかったのに、俺が立った後に改装をしたようなんですよ」と冗談めかして会場を沸かせつつも、「本当に立派な劇場になりましたね。熊本に行ったら寄ってやってください」と呼びかけた。

 本作のタイトルとなる「邯鄲の夢」とは、人の世の栄枯盛衰のはかなさのこと。その言葉をタイトルにした思いについて三天屋監督は「いいことも、悪いことも、なかなか続かないですよね。今、絶頂で浮かれていても、次の日に何があるか分からないし。悪いことがずっとずっと続いていても、次の日には変わっているかもしれない。そういった言葉の意味もあるんですけど、そういう意味で、先生の芝居もそうですし、他の劇団もそうだと思いますが、残したいものを残すということはなかなか難しい。でもきっと良くなる時も来るだろうという期待を込めて。そしてそれは伝統芸能だけでなく、一般的な話としてどこでも通じるだろうと思い、このタイトルにしました」と明かした。

 そんな流れから、登壇者たちの夢や希望を尋ねることに。まずは須賀が「まさに監督がおっしゃったとおり、今は物騒な世の中になっていますけど、日々、正直に、実直に健康に生きていければいいかなと、思いました」とコメントすると、松林も「こういう仕事をやっている以上、ずっとやっていきたいという思いがあります。夢というとあれですが、沢先生のように、ずっと現役で長くやるために健康維持ですかね」と続け、さらに岡本が「映画を通して、世界の皆さんと仲良くなりたいなと思っております。邯鄲の夢というと、やはり中国を思い出すんですが、長い歴史の中で、芸能に対しても盛り上がっては廃れていって。盛り上がっては廃れて、ということを繰り返してきたんだと思うんです。中国の映画でも伝統芸を次世代に伝えるのは難しいという内容の映画がありましたが、どこの国でもそういうことはあるんだなという話を監督とした記憶があります」としみじみ付け加えた。

 そして最後の言葉として、「もし映画を気に入っていただけましたら、お友だちやご家族に伝えてください」と呼びかけた三天屋監督は、「この映画で少しでも前向きになれたりとか、ちょっとでも元気になってもらえたらいいなと思っております。もし夢が壊れたら、もし夢が消えたら、そのときはもう一度、夢を見ればいい。命はひとつでおしまいですが、夢が消えても死にません。わたしたちのまわりには必ずどこかに夢は落っこちているものです。わたしはその夢を、明日もあさっても、これからもずっと拾い続けていきたい。そう思っています。沢先生にそう教わりました」と力強くコメント。その言葉に会場から拍手がわき起こると、「くよくよするのは最後。ガックリするのも最後。お互いに夢を拾って生きていきましょう!」と力強く会場に呼びかけた。

 登壇者:三天屋多嘉雄、須賀貴匡、松林慎司、沢 竜二、兼崎健太郎、岡本茉利

公開表記

 配給:ギグリーボックス
 TOHOシネマズ 日本橋、大阪ステーションシティシネマにて公開中 全国順次公開

(オフィシャル素材提供)

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