作品紹介

『兎たちの暴走』

©Beijing Laurel Films Co.,Ltd.

イントロダクション

 2020年第33回東京国際映画祭でワールドプレミアとして上映され話題を呼び、中国で最も注目される新進気鋭の女性監督シェン・ユー監督の長編デビュー作『兎たちの暴走』。

 シェン・ユーは、若い頃から芸術への関心が高く、北京電影学院の監督科を卒業後、美術の仕事で映画業界に入り、NHKなどのドキュメンタリー撮影や監督、CMディレクターなど俳優以外の映画に関わる仕事を経験してきた。今回初監督をするにあたり、母と娘が娘の同級生を誘拐し殺害したという2011年の実際の事件から着想を得て本作の映画制作に取り組んだ。

 エグゼクティブ・プロデューサーにはロウ・イエ監督の『天安門、恋人たち』を制作したローレル・フィルムの代表ファン・リーが務める。またプロデューサーには『ブッダ・マウンテン~希望と祈りの旅』の女性監督リー・ユーが務め、脚本にはロウ・イエ監督の『シャドウプレイ』で共同脚本を務めたチウ・ユジエが担当した。

 本作のロケ地となる東南アジアに近い四川省攀枝花市は「山と川があり、そして1本の川が1つの都市を通り抜ける場所であれば映像的にも面白く、都市の空間が重層的になる」という理由から選ばれ、「南京や西安のような古都と違い、急速な経済発展のため新しい都市が生まれ、人々の生活が一変した街を舞台にしたかったのです。特に攀枝花市を具体的に描きたいわけではなく、現代中国社会の縮図の一つの街として設定しました」と監督は言う。

 劇中放送室の場面では、架空の作家 金沙江一郎が「ホルモンの影響で生じ、成長すると消える。経済発展により生まれ、資源の枯渇で捨てられた。ここはニキビのような街。豊かな日差しで、街は露光過多。輝いて見えて、実は潰瘍だらけ。捨てられた街」と街をこのように表現している。

 映画の冒頭は、主人公の高校生シュイ・チンとそのクラスメイトのマー・ユエユエが誘拐され、身代金を要求された父親二人と、シュイ・チンの母親チュー・ティンが警察署に駆け込む場面から始まる。
 母親チュー・ティンが車のトランクを開けた場面で、映画は事件が起きる前の街を出た母親チュー・ティンが黄色いスポーツカーに乗り娘の元に戻ってきたところへと時は巻き戻るのだった。

 シェン・ユー監督の一番好きな映画作品は、ダニー・ボイルの『トレインスポッティング』で好きな映画監督はポン・ジュノ、デヴィッド・フィンチャーだと言う。そんな監督だけあって、観客を映画の冒頭で一気に物語へと引き込む巧みな構成となっている。

 また、母が抱えた闇を徐々に解き明かすサスペンスを描く上で「一番大切にしているのは感情です。この物語は自分を捨てて戻ってきた母の愛を守るために、なんでもするという感情の話なのです」と語り、ビジュアルにこだわるシェン・ユー監督は、感情を表す色として危険を象徴する黄色を母親のキーカラーとした。

 劇中に何度か現れるトンネルを人が生まれ変わる象徴として描く『兎たちの暴走』、母親は過去に戻り過ちを改めたいと思い、娘は母親のためならなんだってするという思いで大きな過ちを犯す。この母と娘の悲劇は、果たして、トンネルの中に入り抜け出た先で生まれ変わることができるのだろうか。

©Beijing Laurel Films Co.,Ltd.

ストーリー

 もくもくと煙が立ち上がる夜の街。パニックに陥った男女3人が、誘拐事件に巻き込まれた娘2人の身代金200万元(4000万円ほど)について話し合う。
 「大金を用意できなければ、娘たちを殺す」という犯人からの要求に男2人は警察へ通報することを決意する。そんな決意に対し女は警察への通報を必死に止めようとする。

 重工業が盛んな四川省攀枝花市(はんしかし)で、父親と継母と弟の4人で暮らす高校生のシュイ・チン。お金持ちだが両親の不仲が原因で、学校ではわがままで一匹狼のように立ち振る舞うジン・シー。小さい頃に母を病気で亡くし、地元の広告モデルをするほどの美人だが父から過剰なまでの干渉を受け、家から逃げ出したいマー・ユエユエ。そんな3人は喧嘩しながらも毎日楽しく高校生活を送っていた。

 そんなある日、生まれて間もないシュイ・チンと古い街を捨て、成都へ行ってしまった彼女の実の母チュー・ティンが戻ってくる。憧れの母との再会でシュイ・チンの生活は一変する。

 チュー・ティンは、シュイ・チンが1歳の時にこの街を離れた。しかし、シュイ・チンは自分を捨てた母を恨んではいない。逆に、母が自由で、ロマンチックな生活をしていると想像し、自分の犠牲が正しかったと思っている。

 16年後、シュイ・チンは麺屋の店先で出会った女性を一目で母だと気付く。ダンサーであるチュー・ティンはシュイ・チンが想像したとおりだった。眩しい光の輪をまとったような母の姿に、彼女の心は激しく惹きつけられ、長年の期待は彼女を想像の中で母への愛を増幅させた。母の存在はあまりにも遠くかけ離れ、手には届かない存在だった。

 若くして子どもを産み、自分を置いて夢を追いかけるチュー・ティンには母性愛などはなく、しきりに連絡し、追い回すシュイ・チンを面倒くさがった。しかし、なぜか自分を愛し、世話を焼く娘にやがて心を開き、2人は多くの時間を過ごし親しくなる。

 そんな中、クラスメイトと学園祭でダンスを披露するシュイ・チンの願いで、ダンサーだったチュー・ティンは学校にダンスを教えに行くことになる。そこでチュー・ティンはシュイ・チンの仲の良い友達ジン・シー、マー・ユエユエの2人に出会う。

 2人はシュイ・チンの母チュー・ティンの自由奔放さに魅了され、次第に親しくなる。
 4人は「青春の兎の団体」を結成し、幸せで楽しいひとときを過ごす。チュー・ティンの出現は、母からの母性愛を切望していたシュイ・チンに喜びをもたらした。

 しかし、謎の男ラオ・トゥの登場により、シュイ・チンが手に入れた幸せが打ち砕かれる。そして、誰も知ることのなかったチュー・ティンの借金、金を返せなければ助かる道はなく、借金から逃れるため成都から故郷に戻ってきたチュー・チンの裏の顔が明らかになる。シュイ・チンの心は母を救いたいと思う執念で溢れ、如何なる代償も厭わないとさえ思う。そんなチュー・ティンを守るため、シュイ・チンは心を入れ替えようと決意するが、シュイ・チンの衝動的な行動は更なる大きなトラブルを招き、事態は次第に混乱し、収集がつかなくなる。そして、あの事件へと物語は発展していくのだった……。

 (原題:兔子暴力 The Old Town Girls 、2020年、中国、上映時間:105分)

キャスト&スタッフ

 監督:シェン・ユー(申瑜)
 脚本:シェン・ユー/チウ・ユージエ/ファン・リー
 プロデューサー:リー・ユー/ファン・リー
 主演:ワン・チェン、リー・ゲンシー、ホァン・ジュエほか

ギャラリー

予告編

オフィシャル・サイト(外部サイト)

映画『兎たちの暴走』公式サイト
8月25日公開。中国で注目されるCMディレクター出身のシェン・ユーの劇映画デビュー作。共同脚本にロウ・イエ監督『シャドウ・プレイ』脚本のチウ・ユジエが参加。

 公式Twitter:http://twitter.com/usagi_uplink(外部サイト)
 公式Facebook:https://www.facebook.com/profile.php?id=100095171324106(外部サイト)
 UPLINK Instagram:https://www.instagram.com/uplink_film/(外部サイト)

公開表記

 配給:アップリンク
 8.25(金)より池袋シネマ・ロサ、アップリンク吉祥寺、8.26(土)より新宿K’s cinema ROADSHOW

(オフィシャル素材提供)

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