イベント・舞台挨拶

『バカ塗りの娘』青山スクエアトークイベント

©2023「バカ塗りの娘」製作委員会

 今月25日に青森県先行公開を迎え、現在絶賛公開中、今週9月1日(金)よりいよいよ全国公開する映画『バカ塗りの娘』。この度、全国公開を目前に青山スクエアにてトークイベントが実施され、家庭画報の編集長・千葉由希子と本作の企画・プロデュースをした盛 夏子が登壇した。
 自身が香川県高松市出身でもあることから、香川漆芸と海外のハイブランドを結びつけ、数々のコラボ商品の企画を実現させてきた千葉は、伝統工芸・津軽塗をテーマにした本作を観て「漆塗りのシーンがとても綺麗。漆器がどのように出来ていくのか、普段見られる機会は、なかなかないと思いますが、この映画をご覧になると、ああこんなふうに(出来ていくんだ)……と思えるシーンが出てきます」とコメント。さらには「(鑑賞して)とても温かい気持ちになりました。人が生きるということがどういうことか、それぞれが自分の物語を生きている、どんな人生であっても価値があるという想いにもさせていただきました」と語った。そして、印象的なシーンを二つあげる。
 前述の“漆塗りのシーン”と、漆塗り職人だった主人公の祖父が「やり続けること」と3回繰り返して言葉にするシーン。
 ひとつめは、まさに盛プロデューサーが「本当にこだわった」シーン。「BGMもなく、(親子の)会話もなく、ただひたすら作業を重ねるシーンなんですが、こういうシーンはドキュメンタリー映画でなければプロデューサーとしてはカットしたくなるところ。ですが、自分で観ていても、もっと観たいと思ってしまい……。監督も編集マンともこのシーンいけるよねと話し、残しました。結果、あのシーンを褒めてくださる方がとても多かった。台詞も音楽もない、その場で撮った(漆塗りの)ハケの音や、磨く音を大事に作ったシーンです」とこのシーンに自信をのぞかせる。
 ふたつめのシーンは、この映画のテーマのひとつでもある伝統工芸を「やり続けること」の大切さと「やめられない」ほど漆塗りの仕事が魅力的だということが伝えられるシーン。映画を作るにあたりたくさんの職人を取材した盛プロデューサーは「漆塗りは本当に難しく、前の日と同じことをやっているのに、出来るものが違う、それが本当におもしろいと、ベテランの職人さんが話していました。その皆さんの想いを映画に込められたら」と語った。

 そして、千葉の伝統工芸へ関わり・取り組みについて語られる場面も。自身の出身地である香川県の香川漆芸を拡げるために思い付いた海外ブランドとのコラボレーション。
靴のヒールや、クラッチバック、先には食器などに塗りを施し販売。
「これまでになかったかなというものに、職人さんたちにも挑戦をしていただいた。今の生活に合うもの、皆さんが驚いてくれるものを考えた。」と、伝統工芸の受け継がれる良さだけでなく、新しい挑戦についての興味深いトークも繰り広げられた。

本作でも、伝統工芸の漆塗りを新しいもの=ピアノに漆塗りを施す……という主人公の挑戦が描かれているが、イベントの最後に、観客から映画の予告編にも映し出されていたピアノのシーンついて質問があると、盛プロデューサーから「実際にピアノをばらして職人さんに塗っていただき組み立てています。弘前市からピアノを3台お借りして、塗る前、途中のもの、塗った後のものを使用して撮影、最後まで塗ったものを組み立てて完成品となりました。観ていただいたら分かるのですが、津軽塗りは、本当に多彩な色が表現できるのです。このピアノには本当に面白い色が施されていますので、お楽しみいただければと思います」と明日からの映画公開に先んじて、撮影秘話を語った。

 日本の伝統工芸に深く関わり、職人たちに多く出会ってきた盛と千葉が声を揃えて伝えたいという漆器に込められた想いとその工芸品の魅力。「塗っては研いで、塗っては研いで、の工程は、本当に人生のよう。だからその漆器が愛おしいものになる。映画の中でその漆器を使っているところを見るだけで、とても魅力的に感じる。少しいいものを自分に取り入れると気持ちを豊かにする」(千葉)、「職人さんの技術と手間……どうしても伝統工芸品は少し金額が高いと思われるかもしれないが、その製品にはそれだけの価値と意味があるということを皆さんにお伝え出来たら」(盛)。職人の技の工程はもちろんのこと、本物の漆塗りの魅力が随所に散りばめられた本作の世界を語り合う、アットホームで気持ちが豊かになるようなトークショーとなった。

 登壇者:千葉由希子(『家庭画報』編集長)、盛 夏子(映画『バカ塗りの娘』企画プロデュース)

公開表記

 配給:ハピネットファントム・スタジオ
 9月1日(金) 全国公開
 8月25日(金) 青森県先行公開

(オフィシャル素材提供)

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