インタビュー

フォト・ドキュメンタリー『鉛筆と銃 長倉洋海の眸(め)』河邑厚徳監督 オフィシャル・インタビュー

©2023 アフガニスタン山の学校支援の会 ルミエール・プラス

 「写真家は過去にさかのぼり未来を見通すシャーマン。」写真家・長倉洋海は、鋭いカメラアイで世界を見つめ、愛をこめて人間を写してきた。運命的な出会いにも恵まれた。“文明の十字路”アフガニスタンでソ連軍と戦った抵抗運動の指導者・マスードと仲間たち。ドキュメンタリー『鉛筆と銃 長倉洋海の眸(め)』は、2001年に48歳の若さで自爆テロに倒れたマスードの教育への思いを共有すべく今も支援を続ける北部パンシール渓谷の山の学校の記録。
 この度、公開を前に、河邑厚徳監督のオフィシャル・インタビューが到着した。

【監督・撮影】河邑 厚徳(かわむら あつのり)

 映画監督。元NHKディレクター
 1971年にNHK入局以来、40年以上、ETV特集・NHKスペシャルを中心に現代史、芸術、科学、宗教、環境などを切り口にドキュメンタリーを制作。現代の課題に独創的な方法論で斬り込み、テレビならではの画期的な問題提起をするスタイルが特徴。これまで制作してきた番組は、国内外の賞で入賞するなど、その独自の手法は評価を得ている。定年後はフリーで映像制作を続ける。

本ドキュメンタリーは、写真家・長倉洋海さんの半生を紹介していますが、長倉さんについてのドキュメンタリーを作りたいと思ったきっかけをお教えください。

 写真家はたくさんいるんですけれど、長倉さんの写真はすごく好きな写真です。写真からいろいろなものが伝わってくるので、その写真を撮った人物に関心が強くありました。会ったらとても素敵な人だったので、映画にしたらいいものができるかなと考えました。

本作をフォト・ドキュメンタリーと呼んでいる理由を教えてください。

 僕自身は映像を半世紀以上やってきているので、写真集を見るのとも、写真展を見るのとも全く違う見方で、写真に新しい命を吹き込みたいと、写真だけで物語・ドラマを作ろうと思いました。新しい写真体験ができるんじゃないかと思っています。

河邑監督は2001年に亡くなられたマスードに直接会ったことはないかと思いますが、長倉さんがNGO「アフガニスタン山の学校支援の会」を設立するきっかけとなったマスードに関してはどういう思いですか?

 世界を支配する巨大な国に対して、小さなところから抵抗して、そのまま支配されないという生き方が、チェ・ゲバラと共通点があると思います。アメリカと並ぶ超大国のソビエトという国が侵略してきた時に、アフガニスタンの中で、いろいろな方法をトライしながら、絶対に侵略されないようにした。長倉さんを通してマスードのことを知ると、新しい発見があり、面白かったです。

公式サイトの本作の「コンセプト」として使われている「長倉洋海の一人称で、切れ良く語り進めてゆくハードボイルド作品」という言葉は監督の言葉だと思いますが、ハードボイルドという言葉を辞書で引くと、「簡潔な文体で現実をスピーディーに描くのが特徴」とあります。ハードボイルドというスタイルにした理由はありますか?

 一人称で、男性が主人公になって、語り進めるというスタイルで、比較的感情的なものや気持ちでなくて事実を、乾いた文法で語っていくというのが僕のイメージです。長倉洋海さんという一人で暮らしている自立した写真家の生き様を伝えるのに一番いい手法かなと思いました。

監督が何度か長倉さんのことを「独り身の男」と言っているのを聞きましたが、同じ独り身の男として、特別な親近感があるのですか?

 僕自身も今までいろいろなことがあって、一人で暮らし始めて、7~8年経っていると、同じような環境にあることにシンパシーがあります。彼の家で取材をすると、彼が台所に立ってコーヒーを淹れてくれたり、一人で庭の手入れをしたり、洗濯物をしたりしている。結構若くない男性が自立して、家事もしながら、一方では世界のどこにでも駆けつけ、すごく大きなテーマの作品を撮っている。自分の生き方と繋がっている部分があると思います。

本作は、河邑監督にとって、どのような作品になりましたか?

 1971年にNHKに入って、僕自身は世界中で放送されている「シルクロード」の第二部で中国以西、パミール高原を越えて、インド、パキスタン、シリア、トルコ、ローマまでの取材班だったんですけれど、その時唯一入れなかったのがアフガニスタンだったんです。というのも、1979年にソ連がアフガニスタンへの侵攻を始めているので、私が取材をしていた1981~1985年くらいまでは、まだ戦いが続いていて、アフガニスタンだけ抜け落ちていたのが心残りだったんです。今回の映像も、見方を変えれば、「シルクロード」みたいな風景があり、そういう意味では、作り手としては、ずっとできなかった宿題であるアフガニスタンの映像のドキュメンタリーが今回ようやくできたことを、とても嬉しく思っています。

長倉さんや関係者は、完成した作品を観て、どう言ってくださっていますか?

 長倉さんは、「自分で撮って、何度も見た写真なんだけれど、時間の軸の中で、編集されていくと、全然違う世界に見える」と言ってくださっています。みんな同じようなことを言ってくださっています。

読者にメッセージをお願いします。

 今アフガニスタンは、世界のメディアから忘れられてしまった国になっていますが、日本にとってはアフガニスタンはシルクロードの中の、文明の十字路の中心で、本当に豊かでいろいろなものが通りすぎていった国なんです。そこが、武装勢力タリバンが首都カブールを制圧したという現状にある。本作は、今起きていることを単に伝えるのではなく、あそこで暮らす人たちへの深い気持ちの表れがあるので、アフガニスタンという国がどういう国なのか、これから未来に向かって、あの国がどうなっていくべきか、アフガニスタンに対して関心を持ってくれるような力を映画からもらっていただければ、これ以上嬉しいことはないです。

オフィシャル・サイト(外部サイト)

映画『オジさん、劇団始めました。』
8月18日(金)より池袋シネマロサほかにて本公開!

 公式X: https://twitter.com/enpitsutojyuu(外部サイト)
公式Facebook:https://www.facebook.com/enpitsutojyuu(外部サイト)

公開表記

 配給:アルミード
 9月12日(火)~9月24日(日) 東京都写真美術館ホールほかにて公開

(オフィシャル素材提供)

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