イベント・舞台挨拶

『法廷遊戯』特別講義 in 専修大学

Ⓒ五十嵐律人/講談社 Ⓒ2023「法廷遊戯」製作委員会

 原作者、五⼗嵐律⼈が第62回メフィスト賞を満場一致で受賞後、現役司法修習生時代に刊行。さらに「ミステリが読みたい!」2021年版新⼈賞受賞など、ミステリー界の新星として話題となった本格法廷ミステリー小説「法廷遊戯」が映画化、2023年11月10日(金)に全国公開となる。

 公開を前に10月26日(木)、映画の舞台にロースクールが設定されていることにちなんで、法律家を志す学生が集う専修大学法学部の法廷教室にて本作の特別試写会を開催! 上映後には原作小説を手がけた五十嵐律人、本作の深川栄洋監督、専修大学法学部の関 正晴教授による“特別講義”と称してトークイベントが行なわれた。さらにイベントの途中で、法律家を目指す学生たちにエールを送るべく、主演を務めた永瀬 廉がサプライズで登場! 学生との質疑応答も行なわれ、会場は大きな盛り上がりを見せた。

 弁護士でもある五十嵐は、原作となる小説を執筆したきっかけについて「もともと法律が好きだったんですが、その面白さがなかなか法律に携わってない方に伝わらないという思いがあり、小説という形で法律の面白さを描けないかと考えました。映画でも出てくる“無辜ゲーム(※生徒たちがゲームとして繰り広げる模擬裁判のようなゲーム)”がアイデアの着想となり、そこからどんどん発展していきました」と明かす。

 深川監督は、この小説を映画にする上での難しさについて「まず法律用語が難しい(苦笑)。若い人にどう見てもらい、乗ってもらうか? どういうふうに広い裾野に物語の面白さ、法律の面白さと危うさを感じさせるかが難しいポイントでした」とふり返る。

 そうして完成した映画について、五十嵐は「どの時間を切り取っても面白い。事件だけでなくそこに至る過程や裁判のパートも飽きさせない工夫や展開の仕方があって、原作をより面白く、エンタテイメントにして完成させてくださって感謝の気持ちでいっぱいです」と称賛を送る。

 関教授は法律家の視点で、本作について「いろいろな場面で法律の制度や手続きについて出てきますが、そこをうまく使うというのが(よい)アイデアだなと思いました。時効や再審制度、証拠の追加などもそうですし、証人尋問のシーンは特に感心しました。一問一答で現実の裁判に近いものを感じました。普通の刑事ドラマだと主人公がしゃべりまくって尋問している感じではないんですが、今回の映画は尋問の仕方が実務に近かったです」とそのリアリティを含め、絶賛! これには五十嵐も「刑事訴訟法を専門にしている先生のお墨付きをいただけて嬉しいです」と笑みを浮かべていた。

 そして、イベント中盤に完全サプライズで主演の“セイギ”こと久我清義を演じた永瀬が登場すると、会場は悲鳴のような歓声に包まれた! 真ん中の裁判長の席に座った永瀬は「緊張します……」とはにかみつつ「(映画の中では弁護士なので)こっち側じゃなかったので、ホンマに全部が見渡せる席で、特別な感覚がありますね」とご満悦。学生たちに向けて「弁護士の役をやらせていただき、ロースクール生の頃も少しだけ演じさせていただいて、弁護士になるために並々ならぬ努力をしないといけないことをこの映画を通じて学びました。皆さんも、そういう思いをされているかと思うと、少しだけ皆さんのお気持ちがわかるし、親近感がわきます」と笑顔で語りかけた。

 そんな、永瀬の劇中での弁護士ぶりについて、関教授は「一問一答の形式で、テキパキと杉咲 花(織本美鈴役)から言葉を引き出すところの歯切れが良く、まさに法廷でやっている尋問に近かった」と称え、永瀬は良い弁護士になれるか?という質問に「訓練を積んでいけば」という条件付きで太鼓判を押す。これには、法律用語のセリフに苦戦したという永瀬は「えげつない訓練じゃないですか!」と苦笑いを浮かべていた。

 学生の中には劇中の無辜ゲームのようなことをやった経験があるという人も。ある学生は、この法廷教室で「模擬裁判をやりました。学生が一からシナリオを考えて、役になり切りました」と明かす。ちなみに裁判の中身は「殺人事件で死刑か?無期懲役かなど量刑の争い」とのこと。

 別の学生は「おとぎ話の『ヘンゼルとグレーテル』を題材に、2人が魔女を殺したことを立証できるか?」というユニークな模擬裁判をやったと語る。これに“裁判長”永瀬は「テーマが面白いですね!」と感心しつつ「『ヘンゼルとグレーテル』についてそこまで知らないけど、殺すのは良くないですね。有罪で!」と即判決を下し、会場は笑いに包まれる。

 また、法律を学んでいた役に立ったことについて、ある学生は相続法の知識を今後の遺産相続の際に活かせると明かし、労働法を専門とする別に学生は、アルバイト先での有給や休業補償について、バイト先に働きかけた経験を明かし、永瀬は「法律は僕らの生活と切り離せないので、知っておいて損はないですよね。知識があると、行動もできますもんね」と感心しきりだった。

 またある女子学生は永瀬に「法律を学んでいる女性のイメージ」についての質問が。永瀬は、法律家になるための勉強の大変さやその量の多さに言及しつつ「過酷な状況に耐えられる忍耐力がある強い女性が多いのかなと思います」と語った。

 また、学生からは本作の撮影において苦労したことについての質問も。永瀬はやはり、耳慣れない法律用語に苦労したようで「発音も含めそれらをすらすら言わないといけなくて、常にそうした言葉が板についている感じで芝居をしないといけない。一度、法廷シーンで噛んでしまって、長回しで皆さんに申し訳なかったですが、2回目ももっと噛んでしまって……(苦笑)。スイッチが入ると取り戻しづらい空気感で、大変でした」と緊張感のある法廷シーンならではの苦労も明かした。

 五十嵐は、そんな永瀬について「なりたての弁護士という役で、専門家だけど分からないところもあるんですよね。僕も同じ気持ちでしたし、そういう不安や悩んでいる姿や、法律家も完璧じゃないところを表現されていて素敵でした」と自身と重ね合わせてその演技力、表現力を称えた。

 さらにある学生からは、King & Princeが歌う本作の主題歌「愛し生きること」について「お気に入りのフレーズは?」というユニークな質問も! 永瀬は「綺麗な嘘で抱き締めるから」というフレーズを挙げ「全体的に今回の映画のために作られていて、バシッとハマった感覚があるし、どこかで救われた自分がいる感覚もあります。『綺麗な嘘で抱き締めるから』という言葉は、どこかでセイギの美鈴(杉咲 花)に対する気持ち、馨(北村匠海)に対する思いに通じる部分があると思うし、好きです」と明かしてくれた。

 イベントの最後に永瀬は「この物語はセイギと美鈴と馨がメインで進んでいきますが、それぞれが抱えている過去や思い、人それぞれに自分の正義感があると思うけど、その正義感や信念を突き通すことの苦しさ、つらさ、難しさも含めて描かれてると思います。あまり、法律が近くない存在の人にも十分に楽しんでいただけると思うし、映画をきっかけに、もしかして法律に興味持ってくださる方もいるんじゃないかと思います。余白を残して、考えていただくところが多々ある映画なので、観終わって感想を話し合って、それぞれの意見を交換し合っても面白いと思います」と呼びかけ、温かい拍手に包まれてイベントは終了した。

 登壇者:永瀬 廉、深川栄洋(監督)、五十嵐律人(原作者)、関 正晴(法学部教授)

公開表記

 配給:東映
 2023年11月10日(金) 全国公開

(オフィシャル素材提供)

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