イベント・舞台挨拶

『正欲』アジア舞台挨拶ツアー

ⓒ 2021 朝井リョウ/新潮社 ⓒ 2023「正欲」製作委員会

 朝井リョウによる小説『正欲』を、監督・岸 善幸、脚本・港 岳彦で、稲垣吾郎、新垣結衣、磯村勇斗、佐藤寛太、東野絢香を迎え映画化した映画『正欲』が、11月10日(金)より大ヒット上映中!
 先日開催された第36回東京国際映画祭で最優秀監督賞と観客賞をダブル受賞し、先週末11月10日からの劇場公開も大ヒット・スタートを切った本作。その勢いのまま、岸 善幸監督と音楽を手がけた岩代太郎がアジア各地の映画祭を弾丸で駆け巡り舞台挨拶を実施。台北金馬映画祭と香港アジアン映画祭での様子を伝えるリポートが到着した。

 現在開催中の台北金馬映画祭にて、11月10日(金)にインターナショナルプレミアが行われ、上映後のQ&Aに岸善幸監督と音楽の岩代太郎が参加。アジア圏でも人気を誇る稲垣吾郎や新垣結衣といった豪華実力派キャストを出演者に迎えた本作の上映には台湾メディアと多くの観客が押し寄せ、ソールドアウトとなっていた400席の劇場はエンドロール中も固唾をのんでラストまでスクリーンを凝視していた。場内が明るくなり、拍手喝采に迎えられて岸監督と岩代太郎が登壇。
 観客からは本作で重要なキーアイテムとして登場する“水”の描かれ方についての質問が相次いだ。それに対し、「水は命の源という面がある。本作は人と繋がれない人々が登場する映画なので、“水なのに乾いている”ということにこだわった」と岸監督が語った。そして、ジョン・ウー監督作『レッドクリフ』シリーズやポン・ジュノ監督作『殺人の追憶』の音楽などを手掛け、日本アカデミー賞のみならずアジア圏の主要映画賞を多数受賞してきた岩代。「水の感覚をどのように音で表現したのか」と問われ、「劇中で一番長い音楽がかかったのは、大学生の大也と八重子が語り合うシーン。ふたりの感性は異なるが、会話をしながらだんだんと分かり合っていく。僕にとってはとても大切なシーンだと思いました。皆さんの周りにあって当たり前の“普通”について、ふたりは全く違う感覚を持っていましたよね。この“普通”はそれぞれの感性によって形が変わります。この価値観が変わるということは人間にとって怖いことだと思っています。あえて“普通”という言葉を“正義”という言葉に置き換えてみると、いま世界中でも自分が信じる“正義”のために戦いが行われている。“水”=“普通”ということ、これがいかに人間にとって脆いのか、というのを表現したかったのです」と語った。

 11月11日(土)に日本で開催された公開記念舞台挨拶を終えるやいなや岸監督はすぐに香港へ旅立ち、11月12日(日)に開催された香港アジアン映画祭に参加。上映後に行われた岸監督登壇のQ&Aでは、若者を中心に熱心に質問する姿が見られた。日本語で「とても素晴らしかったです」と話し出す人も数名おり、日本文化への関心の高さも伺えた。
 本作で描かれるテーマについて岸監督は「朝井リョウさん原作の同名小説を読むまで、僕も“多様性”を言葉だけで理解していた。それを映像化するのは大変でした。社会的に目に見えない指向ゆえに、生活するうえで“普通ではない”ということを抱えなくてはならない人たちがいる。互いの境界を越えるべきというのが普通の作品の考えかもしれないが、境界を越えなくてもどう生きていくのか、というのが、我々が向き合ったテーマだった」と語り、引きも切らず続く質問の一つひとつに丁寧に答えていた。

 日本では大ヒット・スタートを迎え、劇場で鑑賞した観客からは「まさに“観る前の自分には戻れない”というコピーの通りだった」「俳優陣の凄まじいほどの生きる葛藤の表現」「人間の心の奥底にあるものを炙り出す映画。傑作」などSNSで絶賛の声が上がっている。そして、映画祭で鑑賞したアジア各国の観客からも「このようなジャンルの映画は初めて観たが、“多様性”とは何かを改めて考えてみたいと思った」という感想が多く寄せられた。台北、香港共に、Q&Aの後のロビーでは岸監督に感想を伝えようとする人々で溢れ、さらにサインを求めて長蛇の列ができた。映画が発したメッセージが国や言葉を超えて評価され、人々の胸に届いたのを実感する上映会であった。

公開表記

 配給:ビターズ・エンド
 11月10日(金)、TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー

(オフィシャル素材提供)

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