映画祭・特別上映

「ニナ・メンケスの世界」予告編解禁&斉藤綾子氏コメント到着

 5/10(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほかにて全国順次公開される、ニナ・メンケス監督『マグダレーナ・ヴィラガ』『クイーン・オブ・ダイヤモンド』、現時点での最新作ドキュメンタリー『ブレインウォッシュ セックス-カメラ-パワー』。この度予告編が解禁になった。あわせて、明治学院大学教授の斉藤綾子氏からのコメントも到着。

 自らプロデューサーや撮影を務める特異な作品づくりと、そこから生み出される研ぎ澄まされた映像世界によって、多様なアメリカ映画界の中でも唯一無二の存在として1980年代初頭から現在まで活動を続けてきた女性監督、ニナ・メンケス。近年、初期作品がレストアされるなど評価の機運が高まり、日本でも昨年国立映画アーカイブで開催された特集「アカデミー・フィルム・アーカイブ 映画コレクション」にて代表作『クイーン・オブ・ダイヤモンド』が上映。その圧倒的な映像に観客の度肝を抜いた。シャンタル・アケルマンやケリー・ライカート、ウルリケ・オッティンガーといった女性監督の上映、再発見に続き、最も注目を集めていると言っても過言ではないメンケス監督の三作品が5/10(金)より日本劇場初公開!

 今回解禁となった本予告は劇映画2本、初の長編『マグダレーナ・ヴィラガ』と代表作『クイーン・オブ・ダイヤモンド』、そしてドキュメンタリー『ブレインウォッシュ』の二部構成。初期の劇映画の主演はどちらもメンケス監督の最大の協力者にして実の妹、ティンカ・メンケス。『マグダレーナ・ヴィラガ』では社会から隔絶された娼婦の役を、『クイーン・オブ・ダイヤモンド』ではラスベガスのディーラーの役を演じ、どちらも孤独なキャラクターながら力強くもある女性像を類まれな存在感で圧倒する。真紅のネイルや指輪にウエディングドレス、ネオンの煌めきからターコイズブルーのプールサイドと、メンケス自身のキャメラがとらえる詩的な映像美も魅力だ。また、一本の木が燃え盛るさまを映した『クイーン・オブ・ダイヤモンド』での驚異のロングショットのシーンも一足先に確認することができる。『ブレインウォッシュ』は現時点での最新作で、現在に至るまで映画がいかに「Male Gaze=男性のまなざし」に満ち、その描写がいかに我々の実生活にも影響をもたらしているか、多くの映画のクリップを用いて解き明かしていくドキュメンタリー。予告でもアルフレッド・ヒッチコック『めまい』、クエンティン・タランティーノ『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』、ポール・トーマス・アンダーソン『ファントム・スレッド』などのクリップが登場。映画という視覚言語がもつパワーについて、そして男性中心の社会に溢れる問題をめぐって投げかけるメンケスの問いと対話は、我々の意識とまなざしを振り返る絶好の機会となるはずだ。

斉藤綾子氏(明治学院大学教授)コメント
 公開から30年。私たちはやっとニナ・メンケスのイメージに出会える幸運を味わえる。
 スロット・マシーンの音が鳴り響くラスヴェガスのカジノ。真っ赤な爪が光り、黙々とカードを配るディーラーをじっと見つめるカメラ。色鮮やかなウィール・オブ・フォーチュンの前にじっと立つ監督の妹、ティンカ・メンケス。バーバラ・ローデン、シャンタル・アケルマン、ウルリケ・オッティンガー、アニエス・ヴァルダ、ジェーン・カンピオンの孤独なヒロインたちと同じく、ティンカは寡黙だ。内なる抵抗を、怒りを表す女たちの沈黙。ネヴァダの砂漠、ロサンジェルスのモーテル。
 メンケスが描く荒涼としたアメリカ西部にジョン・ウェインはいない。
 そのカラフルでミニマルな映像を一度目にしたら、決して脳裏に焼き付いて離れない。

「ニナ・メンケスの世界」上映作品

『マグダレーナ・ヴィラガ』

©1986 Nina Menkes ©2024 Arbelos

 (1986年、アメリカ、上映時間:90分、原題:Magdalena Viraga

 監督・製作・脚本・撮影:ニナ・メンケス
 編集:ティンカ・メンケス、ニナ・メンケス
 出演:ティンカ・メンケス、クレア・アギラール

 殺人の容疑で、ひとりの娼婦が捕まった。彼女の名前はアイダ、そしてこうも呼ばれる──マグダレーナ・ヴィラガ。刑務所を、ネオンがきらめくダンスホールを、プールサイドを、彼女が長い時を過ごす寝室(ブドワール)を横断し、時系列を曖昧にしながら、映画は女の肉体的、精神的な細部をとらえ、孤独な<囚われの女>アイダが生きる血濡れた世界と、内なる心の世界を描き出してゆく。主演は、メンケスの5本の映画に出演した最大の協力者にして実の妹、ティンカ・メンケス。
 ※ アルべロス・フィルムとアカデミー・フィルム・アーカイヴによるレストア版。共同提供:EOS ワールド・ファンド

『クイーン・オブ・ダイヤモンド』

©1991 Nina Menkes ©2024 Arbelos

 (1991年、アメリカ、上映時間:75分、原題:Queen of Diamonds

 監督・製作・脚本・撮影:ニナ・メンケス
 編集:ティンカ・メンケス、ニナ・メンケス
 出演:ティンカ・メンケス、エメルダ・ビーチ

 ラスベガスで生きる女性ディーラー、フィルダウスの倦怠に溢れた日常を描いた傑作。昼間は瀕死の老人を介護し、夜はカジノでカードを配る。眩暈がするほど煌びやかなネオン、無機質なアパートメント、純白のシーツやウェディングドレス、業火に焼き尽くされる大木。大胆な構図でとらえたショットがことごとく美しく圧倒的で、永遠に続くかのような反復とそこかしこに横たわる暴力に感覚が麻痺していく。
 ※ アカデミー・フィルム・アーカイヴと映画財団によるレストア版。
 資金提供:ホブソン/ルーカス・ファミリー・ファウンデーション
 共同提供:EOSワールド・ファンド

『ブレインウォッシュ セックス-カメラ-パワー』

©BRAINWASHEDMOVIE LLC

 (2022年、アメリカ、上映時間:107分、原題:BRAINWASHED: Sex-Camera-Power

 製作・監督:ニナ・メンケス
 撮影:シェイナ・ヘイガン
 作曲:シャロン・ファーバー
 製作総指揮:ティム・ディズニー、スーザン・ディズニー・ロード、アビゲイル・E・ディズニー
 共同製作者:マリア・ギーズ、グオ・グオ、サマー・シンレイ・ヤン、サンドラ・デ・カストロ・バフィントン クリエイティヴ・プロデューサー:インカ・ルシ
 出演:リアノン・アーロンズ、ロザンナ・アークエット、キャサリン・ハードウィック 他

 フェミニストの映画理論家たちが何十年にもわたり探求してきた「Male Gaze=男性のまなざし」の問題。本作は、映画というメディアがいかに「男性のまなざし」に満ちているか、そしてその表現がいかに我々の実生活に影響を及ぼしているかの事実をヒッチコックからスコセッシやタランティーノ、さらには2020年代の最新作まで大量の映画のクリップを用いて解き明かしていくドキュメンタリー。

©BRAINWASHEDMOVIE LLC

公開表記

 配給:コピアポア・フィルム
 提供:マーメイドフィルム、Respond
 【ニナ・メンケスの世界】
 『マグダレーナ・ヴィラガ』
 『クイーン・オブ・ダイヤモンド』
 『ブレインウォッシュ セックス-カメラ-パワー』
 5/10(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次ロードショー

(オフィシャル素材提供)

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