イベント・舞台挨拶

『ミッシング』完成披露試写会

© 2024「missing」Film Partners

 登壇者:石原さとみ、中村倫也、青木崇高、森 優作、小野花梨、細川 岳、𠮷田恵輔監督

 俳優の石原さとみが新境地に挑んだ映画『ミッシング』の完成披露試写会が都内で行なわれ、主演の石原、共演者の中村倫也、青木崇高、森 優作、小野花梨、細川 岳とメガホンを取った吉田恵輔監督が舞台挨拶に出席してクロストークを行った。

 本作は、出産(22年)後、石原の1年9ヵ月ぶりの復帰作。『空白』、『ヒメアノ~ル』の吉田恵輔監督によるオリジナル脚本。愛する娘が失踪し、娘が見つからないまま3ヵ月が過ぎていく――。事件をめぐるマスコミと、世間の声に翻弄される母親とその家族が、出口のない迷路を彷徨い続ける姿が描かれる。愛娘を必死に探す母・森下沙織里役を石原が本気で演じている。

 花柄の春らしい柔らかなロングドレス姿で登壇した石原は、「今日はお集まりいただきありがとうございます!」と(涙を抑え)震える声で挨拶。「私の夢が叶った作品です。こうして皆さまにお届けできることは嬉しいのですが、怖い部分もあります」と言葉を選びながら話した。

 さらに石原は、作品に対しての深く、強い思いを告白する。「7年前に『いまのままの私じゃいけない、変わりたい』という思いと『自分を壊してほしい』という思いから、自分を変えてくれる作品を撮る監督を探し続け、吉田監督を探し当てたことを明かす。『この人だったら私のことを変えてくれる』『絶対に学びがある』という強い想いを抱いて吉田監督に『出させてほしい』と出演を直談判したという。

 吉田監督は華やかな石原に対して苦手意識があって、一度は断わったのだが、、3年後に『脚本を書きました』と石原に連絡を入れる。石原は「飛び跳ねるように嬉しかった」と話す。そして、石原の出産後に企画は実現するのだった。
 「石原さんは僕の作風に合わないと感じていた」と明かした吉田監督は、「ある種のギャンブルというか、こっちの世界に引きずり込めないかなと思い、一緒に努力して、新しい脚本を書きました。皆さんが知っている石原さとみじゃないものが映っている自信があります」と語った。

 沙織里の役作りについて石原は「パサついた髪の毛にするために、ボディソープで髪を洗いました。ほんとに痛みます(苦笑)。ほかにもいままでの自分を消す方法や肌荒れだったり、爪の汚さや身体の緩さを出したり……」となりふり構わない状態の自分をだすためのすさまじいまでの役作りの工夫を明かす。

 そんな石原について吉田監督は「役を自分の中に下ろして、何かに取りつかれているような状態で、そういうタイプの役者さんに初めて出会ったので、恐る恐る撮っていました」と述懐する。

 撮影後、石原は役から抜けだすことが難しかったそうで、「切り替えが難しくて、撮影が終わった瞬間にすぐに髪をショートカットにしました」とホッとした様子でにっこり。

 報道記者砂田裕樹役を演じた中村は、石原と19年ぶりの共演となる。石原とは「同い年で同じ誕生日で同じ血液型なんです」と明かした中村。「僕がこの仕事を始めた時に、さとみちゃんは仕事をしていて、同世代のトップを走っていました。『石原さとみの背中を追いかけていたんだな、俺』って」と再共演で気づいたという。19年前の作品には青木も出演しており、中村は3人による再共演の輪を嬉しそうに明かした。

 夫・森下 豊役を演じた青木。豊は、妻の沙織里を支えながら自身も心の痛みを抱えている人物。青木は「沙織里の在り方をまず感じて、自分がどう立つかというのが重要だと思っていました。監督と石原さんが沙織里像について確認しているところを、そばで聞いたりしていました。沙織里が絶対的な存在なので、彼女をどう思いやるかを大切にしました」と話す。

 そんな青木に向かって、石原は「夫の青木さんのことを、たくさん睨みました。すっごい青木さんのこと睨んだ記憶があります」と申し訳なさそうに話す。劇中、沙織里が圭吾を殴るシーンもあり迫力満点のシーンになっている。

 砂田の後輩にあたる新人記者・三谷役の小野は「何かやらなきゃいけないという向上心のある役で共感できました」と自身の役柄を振り返る。中村との共演について「中村さんはとても面白い方で、楽しい時間でした!」と笑顔だった。

 沙織里の弟・圭吾に扮した森はクランクイン当日に吉田監督から「素人の方ですか?」と冗談を言われたことを明かし、「求められているトーン(素人みたい)なんだなと思いました」と撮影を振り返る。カメラマン・不破役の細川も「僕の立ち位置もそうだったと思います」と森に同調した。

 最後に、吉田監督は「ハードルを上げて(観て)いいと思う」と作品に太鼓判。そして、「この映画を観たお客さんがちょっとでも優しい気持ちになれたらいいなと思います」。石原は「(私の)宝物のような作品です。この作品が”転機”といえる作品です。優しい光が必ずあります。観たあとに(その光を)誰かに渡していただけたら嬉しいです」と涙声で熱い思いを伝えた。

 (取材・文・写真:福住佐知子)

公開表記

 配給:ワーナー・ブラザース映画
 2024年5月17日(金) 全国公開

(オフィシャル素材提供)

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