登壇者:金子清文、藤村拓矢、内藤正記、安原寛之、奥野 翼、瑚崎まい、日比茉鈴、蒼井小鳥、宮脇 優、大迫茂生、神馬 譲(Storytellings)、TOA(Storytellings)、
井上森人監督、永田雅之プロデューサー
映画『温泉シャーク』公開記念舞台挨拶が7月6日(土)、東京・ヒューマントラストシネマ渋谷で行われ、出演の金子清文、藤村拓矢、内藤正記、安原寛之、奥野 翼、瑚崎まい、日比茉鈴、蒼井小鳥、宮脇 優、大迫茂生、音楽を担当したStorytellingsの神馬 譲、TOA、プロデューサーの永田雅之氏、メガホンをとった井上森人監督が登壇した。
本作は、サメ×特撮×温泉を掲げた日本発のサメ映画。市⻑の万巻が主導する複合型巨大観光施設の建設が進むS県暑海(あつみ)市を舞台に、温泉を自由に行き来する獰猛な古代ザメと人々の戦いを描く。2023年に実施したクラウドファンディングでは開始からわずが5時間で目標金額100万円を達成し、最終的には1278人の支援者と1支援ごとにサメが増えるプランで432匹が登場決定した。
イベントでは、撮影時のエピソードや井上監督へのクレームなどをテーマとしたトークが展開され、総理大臣役を演じた大迫は「ずっと1人で撮影をしていたので、(この日の登壇者の)ほとんどがはじめましてなんですよ。現場で会ったのはマッチョだけです」と告白して笑いを誘い、「ここにいていいのかなって感じなんですけど(笑)、ぜひ新婚旅行は暑海のほうに行っていただければと思います」と作品の内容に絡めてコメントした。
暑海市長役を演じた藤村は「今日は満席ということで200人の圧を感じてビビっていますが、昨日から公開いたしまして、Xとかで評判を見ているとすごくよくて、ひたすら“いいね”をしていても追いつかないくらいで……」と嬉しい悲鳴を上げつつ、SNSでの反響の中に気になる質問がいくつかあったそうで「僕らはそういうものなんだなと思って飛ばしていたんですけど、あのマッチョはなんなんですか?」と質問。これに井上監督は「設定は考えているんですけど、やっていくうちに台本から9割セリフを削りまして、最後まで書いて正体を明かしたかったんですけど、ないほうが面白いなということで、もし続編とか何かがあったらもしかしたらという感じなので、今は何も言えないです」と明言を避けつつ、続編ができることに期待を寄せた。
暑海警察署署長役を演じた金子は「束伝兵衛という役なんですけど、つかこうへいさんの『熱海殺人事件』の木村伝兵衛から来てるんです」と役名に関する秘話を明かし、「(本作は)熱海の発展も兼ねているんですけど、熱海は思ったより近いし安く行けるのでじゃんじゃん行ってください」と熱海をアピール。加えて、本作が『ジョーズ』をオマージュしていることを打ち明けると、井上監督は「結果的には喜んでもらいましたけど、熱海から怒られる可能性があったから暑海なんですけど、熱海は海沿いで観光地なので、これで『ジョーズ』をオマージュしなかったらウソだろと。サメ映画を作る者としてはちゃんと『ジョーズ』をリスペクトしないといけないので、市長も出すし警察署長も出しました」と説明した。
これに、再び藤村は「市長も出て、警察署長も出て、どこでマッチョが生まれたんですか?」と追求すると、井上監督は「初期の初期にアイデアを人にぶつけるわけですよ。何を言ってもみんな意味が分からないって顔をしてくるんですけど、『マッチョとサメが殴り合うってどうかな』って言ったら、みんなが『いいね』って言うものだから、入れるしかないよねってなりました」とマッチョ誕生秘話を明かした。
また、花子浩平役を演じた内藤は「今のを聞いてもらった通り、現場はほぼほぼめちゃくちゃで、現場に行ったらヘルメットを渡され、日本刀を渡され、出番になってグリーンバックでサメに噛まれて、“何やってるんだろう”って」と撮影時の胸の内を明かし、「最終的には眼帯までして、包帯を忘れたって言われてタオルを巻かれて……あれはなんだったんですかね」と首を傾げた。加えて、英語字幕も手伝っているという内藤は「全部英語字幕をつけて海外用に出すんですけど、とにかく今回のセリフを英語にするのが大変でした。今回は相当頭を抱えながら、ニューヨークにいる友だちと一緒に仕上げました」と苦労を明かし、「これから海外でもやると思いますので、楽しみにしていてください」と笑顔を見せた。
音楽を担当した神馬は「最初に台本をいただいて、普通は監督からのイメージについてお話とかあるんですけど、まったくなくて『お任せします』ってきたんですよ。情報が台本しかなくて、台本を読んでも意味がわからないので、マッチョの曲を作るしかないな。なので、テーマ曲の『灼熱の戦歌』はマッチョ目線です」と裏話を披露し、渾身の作だと自信を持って監督に送ったところ、1ヵ月くらい返信がなかったそうで、その理由について井上監督は「合成を300カットやったあたりで気が狂ってしまって、今まで1時間でできた合成が6時間かけても終わらない状態で、何も受け付けないところだったんです」と当時の状況を説明しつつ、「絶対に強い音楽を作ってくるだろうと思っていたので、あれは挑戦状だったんですけど、本当に応えてくれたのでよかったなって思います」と神馬に感謝した。
そして、『灼熱の戦歌』を歌唱したTOAは、最初に「マッチョの曲」と説明を受け、その意味を追求してもそれ以上の答えが返ってこず困惑しつつも歌ったそうで「歌ったら壮大だったんですけど、本編はめっちゃギャグですよね」とコメントすると、井上監督は「登場人物は誰もふざけていないんです。みんな真剣な結果、こうなっちゃっただけの映画です」とにっこり。さらに、金子から「紅白に行こうぜ」と声をかけられたTOAは「紅白に行きたいです!」と言葉に力を込め、永田氏が歌収録のときに感動して泣いたことを明かすと、井上監督は「公開前から『曲がいいぞ』って話題になっていたんですけど、歌から話題になり始めるサメ映画ってないじゃないですか、その時点でおかしかったですね(笑)」と笑い飛ばした。
防災無線の声と、マンホールに引きずり込まれる女性役を演じた蒼井は、自身の肌に貼った海外のクラウドファンディングのリターン品であるタトゥ・シールを主張しつつ「グッズもたくさんあるのでよろしくお願いします」とアピール。加えて、グッズに込めた思いを井上監督に質問すると、井上監督は「パンフレットに関しては、僕もプロデューサーもそこまでやれって言っていないのに、パンフレットを作る方々がすごく気合を入れてくれて、パンフレットのために新しいイラストが出来上がるってどういうことみたいな(笑)。拍も押されているし、ページ数も倍になってるし、その熱量がこの映画とリンクしているのか……」と遠くを見つめつつ、「お値段以上の仕上がりです」とおすすめした。
市長の取り巻きで広告代理店の女性を演じた日比は「撮影の日がすごい雨で、撮るか撮らないかって話になるくらいでした」と回顧すると、井上監督は「再撮影はできないだろうから、まず1回撮っておきましょうって話になって無理やりやっていただきました」と説明。これに金子は「YouTuber(役のキャスト)が浜辺で撮影をしていて、それを市長が高みから見ているシーンがあるんですけど、浜辺はピーカンなのに市長のところは大雨で、普通の映画だったら繋がらないんですけど、『山の天気は変わりやすい』の一言で片付けたのが『温泉シャーク』です」と撮影秘話を明かして観客を笑わせた。
同じく、広告代理店の女性を演じた瑚崎も「本当に大雨で、台風直撃の日だったので、撮影できるのか不安だったんですけど、撮影に入ったら雨は降っていたんですけどなんとか撮影できて、撮影が終わった直後に豪雨になった記憶があって、運に恵まれているなと思いました」と目を輝かせた。
公園の足湯でサメに襲われるカップルの男性を演じた宮脇は、台本を見て思ったことがあるそうで「足湯がある滑り台を滑るシーンがあって、ゆっくり滑るんだろうなと思ったら、現場で『もっと強く(彼女の背中を)押して』って言われて、強く押したら彼女溺れちゃわないかなって考えながらやっていたんですけど、出来上がりを見たら自分からサイコパス味を感じて、自分の新しい一面が見られて未来を感じられたので、監督には感謝です。ありがとうございます」と声を弾ませた。
暑海市長を守る捜査員役を演じた奥野は「今の優くんの押す話の前に捜査員として別の場所で撮っていたんですけど、監督に『まだ撮影があるので待っていてください』って言われて、その押すシーンを遠目で見ていたんですけど、撮ったあとに『もう撮影ないです』ってバラされ(解散させられ)ました(笑)」と井上監督にクレームを入れると、井上監督は「香盤表を読み間違えていました。映像業界のことを知らないで初めて長編をやっちゃったので、完全に読み間違えていて、とっくに熱海から帰っていいのに警察役4人にも残ってもらって、本当に申し訳なかったです」と謝罪した。
そして、暑海警察署捜査一課の刑事役を演じた安原が「僕が温泉施設に入って、掃除道具でサメと戦うシーンが印象に残っているんですけど、1日かけて撮ったんですね。僕は現場に入る前に演技を迷っていたんですけど、エキストラの方々がすごくリアルにやってくださって、そこで僕もスイッチが入って、エキストラの皆さんと作り上げたと思って(本編を)観たら、めちゃくちゃカットされていました……。あれ、なんでですか?」と不満げな表情を浮かべると、井上監督は「テンポを重視してしまった……。カメラ3、4台使ったと思うんですけど、たぶん1、2カメラしか(映像には)使ってないです」と申し訳なさそうな顔をしつつ、「でも1番かっこよく映っているところを使いました」とフォローを忘れなかった。
最後にコメントを求められた井上監督は「このスタートダッシュは夢みたいな光景で、ドラえもんにもしもボックスを頼んだみたいな景色なんですけど、このムーブメントがどこまでいくのか、皆さんにも見守っていただいて、ぜひ盛り上げていただけると嬉しいです」と感無量な表情を呼びかけた。
なお、永田氏は、本作の脚本が『月刊シナリオ』の2024年8月号に掲載されていることを明かし「聞き取れなかった博士の早口も『月刊シナリオ』を読めば分かるので、もしご興味ある方は手に取ってください」とおすすめした。
公開表記
配給:ニチホランド
109シネマズ木場、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国公開中
(オフィシャル素材提供)