イベント・舞台挨拶

SFストップモーション・アニメ映画“JUNK”シリーズ〈第2章〉『JUNK WORLD』スペシャル上映会

© YAMIKEN

 独学でストップモーションアニメ制作に挑んだ堀 貴秀監督の情熱と才能が結実したSFストップモーション・アニメ映画『JUNK HEAD』。この作品は、2017年にカナダ・モントリオールで開催されたファンタジア国際映画祭で最優秀長編アニメーション賞を受賞し、数々の国際映画祭で高い評価を得た。2021年3月には待望の国内公開を果たし、口コミを通じて熱狂的な支持を集め、ミニシアターランキングで2週連続1位を獲得。興行収入は1.4億円を突破し、カルト的人気を博した。既報のとおり、2025年6月13日(金)からは、前作の1024年前を舞台にしたシリーズ第2弾『JUNK WORLD』の公開が控えており、大きな注目が集まっている。

 5月29日には、公開前のスペシャル上映会が新宿バルト9にて実施され、上映後には堀 貴秀監督の舞台挨拶が行われた。また、新たな情報も次々と解禁。公開前日の6月12日(木)に行われるカウントダウン舞台挨拶、公開翌日より各地で行われる公開記念舞台挨拶、来場者特典情報、「ゴニョゴニョ版(日本語字幕)」上映情報が発表された。ゴニョゴニョ版については約1分半のサンプル映像も披露された。

 上映後、満席となった観客から盛大な拍手で迎えられた堀 貴秀監督。公開前に多くのファンに新作をお披露目できた今の気持ちは?と問われると「まだ今回ゆっくり見直す時間もなくて……この映画が面白いかどうか、いまだに不安です。皆さんいかがでしたか……?」と逆に問いかけると、会場からは大きな拍手が起こり、少しホッとした表情に。

<3Dプリンタ&モデリング、CGの導入によってパワーアップした制作体制>

 前作の制作期間は7年だったのに対し、今作は3年と、前作の2倍以上の速さで完成した続編。「前作は、ひとりで作り始めた4年間に加えて、(スタッフ2人が加わった)3人で3年と合計7年間かかったんですが、今回、多少予算も増えまして、6人で作ったんです……まあ、それでも少ないんですけど」と制作体制の変化を振り返る堀監督。「カット数自体は2,700カットくらいあって。たぶん、ジブリ映画より多いんじゃないかな? コマ撮りなんで長回しで撮影するのが難しかったりもするし、アクションなんか特にそうなんだけど、カッコいいカットを繋げてとか、そういうことをやっていたら何か増えちゃったみたいな」と振り返った。登場するキャラクターも大幅に増えた。「前作『JUNK HEAD』はたぶん30~40体くらいだけど、『JUNK WORLD』は200~300くらいで数倍という感じです」とスケール感が増したことを強調する。また、「今回は3Dプリンタを導入したり3Dモデリングを使うとか、そういう新たな技術も柔軟に取り入れつつ、コマ撮りの良さも失くさないバランスを目指しました」と技術的な進歩も積極的に取り入れた。司会から、「人形を一体作るのにどのくらいかかるものなんですか?」と質問されると、「昔は本当に粘土をこねてこねて、それを石膏で雌型(めがた)を作って、その中にゴムを流して焼いてみたいな作業をしていたんですが、今回はそれをパソコンの中で雌型を作って3Dプリンタで出力するっていう方法でやりました。それで結構、作業が節約できたんです。でも、時間的にはデジタルっていくらでも拡大できちゃうから細かいところまで気になってしまって……結局、トータルの時間はあまり変わっていない(笑)」と、技術の進歩によりクオリティは上がっても、変わらず相当の手間がかかっていることも付け加えた。

<時空を超えた4幕構成という物語への挑戦と、試行錯誤を繰り返した日々>

 ジャンク・シリーズは従来のストップモーション・アニメからは想像できないSF的な世界観も人気の一つとなっている。「作品には監督の未来像が反映されていたりするんですか?」との質問には、「SFである以上、10年後、100年後、1000年後に人類はこうなっているんだろうな?という自分の考えはあります」とした上で、「予算をやりくりする中で、時空を超えた4幕構成にすることで、同じセットが4回使えるみたいなメリットもあります。前作に比べて、ちょっと分かりにくくなっている部分もあると思いますが、何回か観てもらうと、これがこうだったんだって繋がる展開が必ず来ると思うので、ぜひ何回か観てほしい」と再見することで更に楽しめる作品であることも付け加えた。「一番しんどかった部分は?」と問われると、「……まあ、全部ですね」と即答し、これには場内からも笑い声が起こる。「今回は、はっきりと締め切りがあって。特に終盤、インフルエンザにもやられたりして、これはちょっとやばいな……と。朝から夜の1時、2時くらいまで作業して、睡眠はとらなきゃいけないから心療内科で睡眠薬をもらって。寝る以外はすべて作業していたら、体はなんとか動くんだけど、頭はどっか行っちゃってるみたいな感じがずっと続いていてたんです」としみじみと制作中の苦労を振り返った。「前作でもそうだったんですけど、スタッフみんな映像を勉強した人間じゃないから、3Dプリンタも最初はなかなかうまくいかなくて、どうやって出力するんだろう?みたいなそういう研究期間は結構ありました。全体の1年くらいは試行錯誤でした」と打ち明けた。

<監督名が連なるスタッフロールにも変化が?監督による自主制作パンフレットも再び!>

 前作『JUNK HEAD』では、「原案:堀 貴秀 絵コンテ:堀 貴秀 撮影:堀 貴秀……」と一人で何役もスタッフをこなす堀監督の名前が連なるタイトルロールも話題を呼んだ。今回は頭に「監督・etc.:堀 貴秀」と1行出るのみだが、これは……? 「本当のところは、やっぱりほぼ全部になっちゃうんですが、前みたいにすると俺一人で作ったみたいになっちゃって。いや、それは違うでしょと思って。でも本当に2~3週間来てもらったアルバイトを入れても、たぶん10数行とかで終わっちゃうから、映画のスタッフロールとしては最短なんじゃないかなって思うくらいの短さで。ただ、公開後に自主制作のパンフレットを出すんですけど、そこにはバッチリ自分の名前がバーっと入ってます。ぜひご購入いただいて確認いただければ」と堀監督はパンフレットの宣伝にも抜かりがない様子。

<サプライズ告知が続々!深夜カウントダウン舞台挨拶、公開記念舞台挨拶、来場者特典、「ゴニョゴニョ版(日本語字幕)」も公開決定!>

 舞台挨拶の終了前には、新たな告知も発表された。まず、公開前日の6月12日(木)深夜のカウントダウン舞台挨拶だ。この日は前作『JUNK HEAD』の上映があり、続いて堀監督の舞台挨拶、そしてカウントダウンを経て13日を迎えると同時に『JUNK WORLD』の上映に繋がるというイベントだ。さらに、6月14日(土)は関東地区、15日(日)には大阪・名古屋で、22日(日)には福岡と監督の故郷・大分でも舞台挨拶が決定している。劇場の詳細は公式サイトにて確認できる。さらに、初日来場者特典としてオリジナルA5ステッカーもあるとのこと。こちらは先着特典となり数量限定のため、公開されたら早めに劇場に駆けつけてゲットしていただきたい(6月12日の深夜カウントダウン舞台挨拶でも配布される)。

© YAMIKEN

 最後に、この日一番のサプライズ発表となったのが、「ゴニョゴニョ版(日本語字幕)上映」だ。前作『JUNK HEAD』でも人気となったゴニョゴニョ版が本作でも制作され、日本語吹替版と同時公開となり、公開初日から全国の劇場で鑑賞できるという。司会から「今日は特別にゴニョゴニョ版の一部シーンを公開します!」とアナウンスされると、場内もオオッとこの日一番の歓声が上がった。ゴニョゴニョ版について堀監督は、「字幕とは全く関係ない変な言葉が頭に入ってくる、その混乱を楽しんでいただきたい。期待してもらっていいと思います!」と太鼓判を捺した。最後に、堀監督が「やっと第2部まで作ることができました。第3部も当然レベルアップして、この3部作は間違いなく楽しい作品になりますので、これからもよろしくお願いします。今日はありがとうございました」と締めくくると、改めて大きな拍手が監督に送られた。

 ※ ゴニョゴニョ版とは、堀監督が作った独自のゴニョゴニョした言語でキャラクターたちが話すバージョン

公開表記

 配給:アニプレックス
 6月13日(金) 公開

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