
登壇者:北村有起哉、円井わん、岩崎う大(かもめんたる)、内田英治監督
内田英治監督の最新作『逆火』(KADOKAWA配給)が、7月11日(金)より公開がスタートした! 同日、初日舞台挨拶が行われ、北村有起哉、円井わん、岩崎う大(かもめんたる)、内田英治監督が登壇した。映画の内容とは違ったほっこりした温かい感じの舞台挨拶となった。
完成した作品を観た時は「台本を読んで内容を知っていたけれど、衝撃でした!」と感想を伝えた北村。特に印象的だったのはラストのからくりだったそうで「そっちかよ〜!」と⽗としての衝撃があったと明かす。映画を観た後は家に帰るまで、モヤモヤなども含めて「いろいろなことを引きずりながら(笑)。余韻として後味として楽しんでもらえると思っています」と本作の魅⼒を語りながらも、結末も含めて「すべて僕(演じた野島)が悪いと思っています」と謝罪し、笑わせた。

撮影から完成した作品を観るまで時間があったそうで、「試写にはクリアな気持ちで⾏きました」と振り返った円井だったが、「内容は知っていたはずなのに『え?』と⾔ってしまいました」と北村と同じく、物語に改めて衝撃を受けたと明かす。試写会場では「(映画が)終わったけれど席を⽴てていない、みたいな雰囲気があって。ちょっと帰りたくないみたいなものを(⼀緒に観た⼈と)共有し合いながら、『ご飯でも⾷べに⾏こう!』って感じで」と、鑑賞後に湧きあがった思いを胸に、会場を後にしたと話した。

岩崎は「きつい話だなぁ」というのが本作の感想だったそうで、「最後まで観ましたよ!」と語気を強めて、いろいろとキツい話ではあるもののきちんと⾒届けたと強調し、観客を笑わせていた。

映画を舞台にしたサスペンスをやりたいと思っていたという内⽥監督。「何が真実なのか分からないみたいなことを映画の世界でやろうと思いました」と着想に触れつつ、そこまで⽬を覆うような衝撃的な内容を意識して考えたものではないとニヤリ。「最近はニュースのほうが⽬を覆いたくなるようなものが多いけれど、(映画に関しては)結果としてこういう感じになっちゃったという感じです」と意識的に衝撃的な内容を作り上げたことをやんわりと否定していた。

北村演じる野島は、仕事はうまくやっているのに、家庭はうまくいかないというキャラクター。「家庭がうまくいっていれば、こんな頑なな暴⾛はしなかったのかなと思いました」と野島の設定を分析。さらに「仕事では意地になって『僕のやりたいことをやるんだ!』と⾃⼰暗⽰をかけてどんどん沼にハマっていくタイプ」と解説。岩崎演じる監督とのシーンを挙げ、「⼀騎打ちになっている。野島は基本的には誰とでも⼀騎打ちで、⼤体打ちのめされちゃう(笑)。爆発できないんですよね」と説明しながらも、「最後、踏んづけているところはスカッとしました!」と、打ちのめされたままでは終わらない思い出のシーンでの動きを再現し、笑顔を⾒せていた。野島とは「似ている部分はあるかもしれない」と語った北村は「彼みたいな部分があるのは憧れ。こういう⼈がいてくれないと……とは思います」としみじみ。ノジマのような⻘臭さ、情熱、ピュアさは「持ってなきゃいけないと思っています。やっていてきつかったけれど、フィクションだと割り切って演じました」と充実感を滲ませていた。

北村との共演シーンで印象に残っているのは「海辺のシーン」と話した円井。「リラックスできるシーン」と北村が反応すると、カメラが回っていない時は「家族の話とかをしてすごく和やかでした」とニコニコの円井。「海が綺麗じゃないのがよかった」と北村がクスッとすると、円井が「クルー・チームと絡むことがなく、ほぼほぼ北村さんとしか会っていないからにやーっとしながらやっていました」と劇中の雰囲気とのギャップを明かして笑わせた。

円井演じるARISAの「⾃分の作品が映画になるのって……」から始まるセリフが好きだという北村。セリフは撮影当⽇に内⽥監督から「『エモい』って⾔ってと⾔われて」との円井の暴露に「⾔ったっけ?」とおとぼけの内⽥監督。「しょっちゅう付け⾜しているから、覚えてない(笑)」と笑い⾶ばした内⽥監督は、「当時、エモいって流⾏っていたよね」と採⽤した経緯をなんとなく説明。「沈黙があってからの『エモい』だったから、ガーンってきた」と強く印象に残っていると北村が話すと、岩崎は「『エモい』って⾔われたらその場では何も⾔えない。家に帰ってから『あいつ、エモいって⾔ってたぜ』とバカにするしかない!」とその場に居合わせたキャラクターの⼼情を予想し寄り添う場⾯もあった。
岩崎が演じた映画監督のキャラクターは「こういう⼈いるよなって感じ。今、う⼤さんの話を聞いていてもいるなぁって、っぽいなぁって思います」とニヤニヤの内⽥監督。オファー理由は、岩崎が出演した舞台の芝居がきっかけだったことを伝えられると「いい芝居していたんでしょうね」と岩崎が⾃画⾃賛すると、会場は笑い声と拍⼿に包まれほっこりとしたームードに包まれた。
北村演じる野島と岩崎演じる映画監督の⼀騎打ちシーン撮影前には、本作の撮影現場で“最⼤の事件”が起こっていたことも明かされた。実は、北村が結婚指輪を紛失しており、スタッフが探し続ける期間があったという。「⾒つからない」という状況のモヤモヤが「野島には合う」と役作りにもなったいい話のように伝えた北村だったが、⾒つかったという連絡を電話で受けている瞬間を⾒た岩崎には、⾒つかってホッとしている北村が「完全にリラックスの状態だったので、これから(⼀騎打ちが)やれんのか?って思っていました」とツッコミ笑わせる。「ちゃんと頑張りましたよ。ホッとしつつもホッとしちゃいけないという思いで……」と⾔い訳をした北村だが、改めて「すみませんでした」とペコリ。まるでコントのようなやりとりに観客は⼤笑いしていた。北村の指輪は、違う現場経由で北村の妻が預かっていたそうで、「妻が預かっていることを⾔うのを忘れていて。しばらくずっと泳がされていたのかな」と苦笑いの北村。当時の⼼境について「⾃分だけで⼼の駆け引きをやっていました」と思い出し笑い。結局は、指輪の紛失くらいでは⼤騒ぎにならない北村夫婦の仲良しエピソードだったという結論でまとまったと現場で盛り上がっていたようだ。
北村を主演に起⽤したのは「映画監督はみんな⼤好きな⼈。他の監督としゃべっていても、北村さんはお墨付き。⼀度ガッツリやってみたかったので」と理由を語った内⽥監督。お墨付きの理由については「役に⼊るのが早いし、ストーンと役の世界に⼊っていく。⾒ていて⾯⽩いし、監督はみんな好きな役者さんです」と⼤絶賛。北村は照れながらも「ありがとうございます」とマイクを通さずに恐縮気味にお辞儀。監督のお墨付きだが、指輪事件もあったため「⾐装さんやスタッフさんはどう思っているのか。指輪であたふたしていたから……」とニヤリとした内⽥監督のコメントにちょっと慌てた北村は、居⼼地が悪かったのか別の話題に切り替える。「⾐装合わせの時にメガネをかけて⾏ったら、『そのメガネで!』と⾔われて。それがひとつのモヤモヤでした」と、本作にはさまざまな場⾯で「モヤモヤ」な気持ちになっていたと話し、「メガネのせいで役との境界線がモヤモヤしていた。こんなのは初めて」とオンオフの切り替えに影響があったと笑いながら指摘。しかし「先⽇メガネを修理に⾏った際に『ここで買ったメガネで映画に出ました!』とチラシを置いてきました!」と宣伝に⼀役買ったことを伝えていた。

キャスティングの話の流れで「シドニー・ルメット監督の⾔葉に、キャスティングで演出の8割は終わっているというのがあります」と話した内⽥監督。他の現場に⾏くとカット割の多さに驚くことがあると明かした円井にカットを重ねない理由として「キャスティングで演出がほぼ終わっているから」と解説。もう⼀度観てほしいシーンは野島と映画監督の⼀騎打ちシーンとした岩崎は「この前に、指輪事件があったというのを込みで落差を楽しんでほしい。セッション、ジャズみたいなところを楽しんで!」とアピールし、内⽥監督の⾔葉を借りて「演出の8割はキャスティングなので」と、北村とのシーンはキャスティングの時点でほぼ完成しているものだと、ちょっと得意げにおすすめし笑わせていた。
北村は岩崎演じる映画監督の⺟親が充電コードを届けるシーンが「たまらないですね」とニコニコ。「育ちのよさが出ているシーン。あまちゃんです。あのシーンがあるのとないのとでは全然違う!」と重要なシーンだとも強調。内⽥監督は「参考にした具体的な監督はいない」としたが、円井は「こういう⼈いるよね。う⼤さんの役すべてがそう。『いる……』って思っていました」と暴露。内⽥監督が「映画監督は変な奴が多いから」とニヤリとすると、会場のあちこちから笑い声が聞こえていた。

最後の挨拶で内⽥監督はこの⽇舞台挨拶を⾏ったテアトル新宿について「10数年前に連⽇レイトショーでトークショーなどをやっていました」と振り返る。「あの頃はお⾦はないけれど、好きな役者と映画を撮るみたいなことをやっていて。それが今回の映画でまたできた、形になりました。たくさんの⼈に観ていただきたいのですが、宣伝費がないので、皆さんのスマホを打つ⼿が宣伝になります。悪⼝でもいいので、⼀⽂書いていただいて、こういう⼩さい映画も応援してください。そうしたら、またこの三⼈と仕事ができるので」と映画が盛り上がることで、再共演が叶うとアピールし、「応援をよろしくおねがいいたします!」と呼びかけ、ほっこりムードの舞台挨拶を締めくくった。



公開表記
配給:KADOKAWA
テアトル新宿ほか全国順次公開中!
(オフィシャル素材提供)