イベント・舞台挨拶

『木の上の軍隊』大阪先行上映会舞台挨拶

© 2025「木の上の軍隊」製作委員会

 登壇者:堤 真一、山田裕貴

 太平洋戦争末期、終戦を知らずに2年間、ガジュマルの木の上で生き抜いた2人の兵士の実話を基にした、映画『木の上の軍隊』(7月25日全国公開)。大阪での先行上映終了後、約500人の観客で満席となった会場の余韻冷めやらぬ中、ダブル主演を務めた堤 真一と山田裕貴が登場。「雨の中、ありがとうございます。こんなにたくさんの方にお集まりいただいて感謝しています」(堤)、「去年11月に、沖縄の伊江島で1ヵ月間撮影させてもらって、髪の毛もここまで伸びました。今日は短い時間ですが楽しんでください」(山田)と挨拶。

 早速MCから、「関西へお帰りなさい! 関西に帰って来たなという感じはありますか?」と聞かれた堤は、「ただいま!」と元気に返答。続けて「(出身は)西宮なので大阪だと仕事……という感じで」と本音ものぞかせた。山田は大阪について、「大好きです!」と即答し、「お笑いの街なので大好きです。吉本新喜劇とか! 愛知県名古屋市出身なので土曜の昼は新喜劇を観て育った」と大阪への親近感を滲ませた。また、「先月も大阪で、(大阪出身の)嫁ちゃん家族と、嫁ちゃんお兄ちゃん家族と、おじいちゃん、おばあちゃん、親戚の方の中、僕一人で食事会に参加しました」と、最近来阪したことも明かした。そして堤と2人、「さっき、たこ焼きを食べました」と、今日1日の大阪キャンペーンの中の少ない大阪の思い出を報告。大阪といえば……お決まりの阪神ネタを聞かれた大の阪神ファンの堤は「今年は調子いいけど、まだまだ波乱があるから安心してはいけない」とコメント。「昨日も携帯を見ながら『負けてるやん……』と呟いていた」と山田に暴露され、会場の笑いを誘っていた。

 いよいよ本題の映画の話となり、完成した作品を観た時の感想を聞かれ、堤は「反戦の映画ではあるけれど、作品全体が被害者であるとか英雄視とかではなく、いかにして生き延びることが素晴らしいか、いかに今が平和か気づくだろうし、それを守っていかないといけない。観終わった後に、本当にいい映画だなと思った」と、作品への想いと自信をのぞかせた。

 山田は「監督の想いでもあると思うのですが、戦争映画となると気を引き締めて劇場へ行かないといけないと思うけど、戦争の悲惨さや、戦争がダメなことだけを訴えたいのではなく、価値観の違う2人がどうやって一緒に生きていくか、生きようとするか。今の僕たちの世界では当たり前にある幸せな時代を生きていて、過去にはそうではない時間があって、それを知らない世代、僕も含めて、そういう人たちに伝えていける映画になるのかなと思った」と、山田の世代ならではの想いを吐露。

 2人が約1ヵ月、沖縄本島と伊江島で監督やスタッフとリアルにこだわって撮影したエピソードなども語り、山田は「沖縄で撮影した沖縄の作品だからではなく、スタッフみんな元々熱量の高い人が集まっていて、そこに沖縄の朗らかさが加わり温かい現場でした」と、一丸となって撮影したことを振り返った。本作で初共演の堤と山田が最初に撮影したシーンは「ソテツの実を食べられるようにするシーンだった」という裏話も。そして、堤との共演について山田は「楽しかったです! 戦争を題材にしている作品なので、苦労や大変なことを聞かれますが、何かを苦に思ったことはなく、それは堤さんがどんな芝居をしても拾ってくれる安心感があって、木の上の2人の関係性をつなぎとめてくれる安心感があって、ただ楽しかった」と明かした。

 お互いの演技で印象に残っているシーンについて、堤は「海のシーンですね。(山田の)振り返った表情、あれは感動しました」と答えると、山田は「(自身が演じた)安慶名の気持ちもリンクしているのかもしれないけど、木の上で言い合うシーンや、ごみ山で堤さんがパスタを食べるシーンでは、怒りと悲しみが混じっていろんな感情になって、どういう顔をしてよいかわからなかった。不思議な感覚でした」と語った。

 堤と山田の2人きりの舞台挨拶は、実は今回が初めて。山田から堤に、「先に僕のクランクアップ・シーンがあって、スタッフにも囲まれて、僕が堤さんに『ありがとうございました』と言うと、ハグしてくれて、顔を見たら目がウルウルしていて。それは、そのシーンの続きの上官としてなのか、僕、山田裕貴として過ごした日々にお疲れ様なのか、どっちか気になっていた」と、撮影中に聞けなかったことを質問。すると堤は「あんなところで芝居をするわけないだろう!!」と言い切り、会場からは拍手喝采。続けて堤は「戦友という気持ちが強く、苦労しただけではなく楽しかったし、前向きな現場だったし、スタッフみんな明るくて、いい作品ができる!という思いもあって、山田くんに労いの言葉とハグをしました」と熱弁。それを聞いて感動している山田を前に、「堤さんは、山田さんに聞きたいことはありますか?」とMCに聞かれ、「ないですね」とキッパリ。山田は新喜劇のようにズッコケ、その息のピッタリさに会場は笑いに包まれた。

 最後の挨拶で、山田は「実際にモデルとなった佐次田さん、山口さんお二人が、どんなことを感じながら木の上にいたんだろうと、そこに思いを馳せながら1ヵ月間過ごしました。お二人の思いだったり、過去生きてきた人たちの戦争に対することだったり、戦争だけでなく今を生きるすべての人たちに、“生きることが何よりも大事なんだ”ということを、この作品はメッセージとして持っていると思います。明日も頑張って生きるか!という力を、皆さんに与えられたらなと思っております。これから全国に届けるために頑張っていきますので、皆さんも感想などあったら、つぶやいてください」と熱く語った。続いて、堤は少し考えながら「戦争はやっぱりいけないっていうのは、みんな分かっていることで、そんな目にも遭いたくないし、でも今までの映画は死んでいく人たちを、ある種美しく描いたりするものが多いけど、これは唯一、最も腰抜け野郎がヒーローの映画だと思っています。時代が変わって、腰抜けでもいいんだ、生き抜くことの方が一番難しいんだ、そのことが一番大事なんだ、ということを多くの人に伝えたい。監督もそう願っていると思う。沖縄の人たちが、この映画を作るにあたって全面的に協力してくれて、それは“こんな目に遭ったから、これを見ろ”という思いではなくて、“いいものを、本当のことを伝えて欲しい”という気持ちと、彼らの前向きに生きる姿がすごく反映されていて。みんなも僕たちもいろんな意味で自分たちの祖先が生き残ってくれたから、今僕が存在しているんだということを、この映画を観た後に感じたので、皆さんもそういう思いを感じてもらえたらすごく嬉しいなと思います。そしてせっかくですから、お友達とか、(観客の中に)小学生の子もいるけど、きっと(内容を)理解してもらえると思うので、たくさんの子供たちにも観てもらいたいと思います」と幅広い世代へ向けてのメッセージを語って舞台挨拶は終了した。

公開表記

 製作幹事・配給:ハピネットファントム・スタジオ
 6月13日(金) 沖縄先行公開/7月25日(金 )新宿ピカデリー他全国ロードショー

(オフィシャル素材提供)

関連作品

スポンサーリンク
シェアする
サイト 管理者をフォローする
Translate »
タイトルとURLをコピーしました