
登壇者:水戸川由美(公益財団法人日本ダウン症協会理事)
MC:秋元麦踏(「生活の医療社」代表・『アハーン』配給担当)
ヒンディー映画で初めてダウン症当事者が主役を務めることで話題の映画『アハーン』の先行上映会が8月12日(火)に新宿シネマカリテにて開催。上映後のトークイベントは、生活の医療社代表であり本作の配給担当である秋元麦踏の司会のもと進行。ゲストとして日本ダウン症協会理事 水戸川真由美が登壇した。
秋元はまず、水戸川に「本編を観て何を感じたか」と投げかける。水戸川は、自身が、脳性麻痺の長女、ダウン症候群の長男を持つ三児の母であるという立場から本編で描かれるような、ダウン症のある人が直面する課題について(親が障がいを持つ子に対して過保護になってしまったり、障がいのある人が働き先を見つけることに苦労することに対して)、インドでも日本でも共通して起こっていることだと感じた、と述べた。
また、制作の視点から、ダウン症当事者のアブリ・ママジを務める映画ということで、ダウン症のある方が自分ではない誰かを演じるということへの可能性も感じたと話した。
秋元は、主演のアブリ・ママジが、本作で主人公アハーンを務めるに至った経緯を説明する。彼は、映画を作るためにリサーチを行っていた本作のニキル・ペールワーニー監督と出会い、「主役を演じたい」という熱意を伝え、主演に抜擢されるに至ったという。こうした背景を踏まえ、秋元と水戸川は、障がいを持つ方の当事者キャスティングにおいて、本人がやりたいからやる、という姿勢が大切だと述べた。

そして話題は、「障がいを持つ方への家族や周囲の人間の関わり方」に移ります。水戸川は、障がいのある子を持つ親は、わが子の想いに蓋をしがちであると話す。そこで二人は、アハーンを決して“人助け”しようとするわけではなく、家を出ていった妻に再び会うために”利用”することから関係性が始まった、もう一人のメイン・キャスト、オジーにも触れながら、家族ではない関係性(斜めの関係)であるからこそ障がいのある人の想いに踏み込められる場面がある、と話した。
イベントの最後には、秋元が国際線の機内上映にて日本未公開であった本作を鑑賞し感銘を受け、本作を配給するに至ったという経緯と、多くの人にこの作品が届いてほしいという秋元の想いが述べられた。
映画『アハーン』は、2025年9月5日(金)より新宿シネマカリテほか全国順次公開となる。
公開表記
配給:生活の医療社
配給協力:ラビットハウス
2025年9月5日(金)より新宿シネマカリテほか全国順次公開
(オフィシャル素材提供)