
登壇者:オリバー/オダギリジョー監督
『THE オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ MOVIE』に出演しているオリバーが岡山県警察特殊詐欺等被害防止一日広報警察犬に任命されるイベントが岡山県警にて開催された。オリバーは狭間県警鑑識課に所属する警察犬だが、全国で猛威を振るう特殊詐欺に心を痛め、オダギリジョー監督の地元・岡山で少しでも役に立ちたいという強い思いから今回の委嘱を受けた。委嘱式では、岡山県警本部長からオリバー(中の人はオダギリジョー)に委嘱状が手渡された。ハンドラーの狭間県警・青葉一平には、その姿は「酒と煙草と女好きの犬の着ぐるみを着たおじさん」と見えているが、その他の人々には警察犬に見えているため、フォトコールでは堂々と胸を張るものの、犬であるため自ら言葉を発することはできない。そこで、唯一その声を聞くことができる青葉から託された手紙を司会が代読した。(以下、代読文全文)
【狭間県警のハンドラー・青葉一平から託された手紙全文】
皆さん初めまして。私、警察犬をやっておりますオリバー・フォン・ボアハイムと申します。この度は岡山県警察特殊詐欺等被害防止一日広報警察犬という大役を務めさせていただくことになり、とても光栄です。普段は主に行方不明者の捜索や事件捜査のお手伝いをさせていただいていますが、ここ岡山県の詐欺被害が少しでも減るように一日広報警察犬として頑張りたいと思います。皆さん、今日は1日どうぞよろしくお願いいたします。
熱い意気込みが読み上げられると、会場は思わず笑い漏れる温かな拍手に包まれた。

続いて行われたトークセッションでは、警察庁の「ストップ・オレオレ詐欺47」通称SOS47プロジェクトから同じく岡山県出身のSTU48内海里音とともに、オリバーに代わりオダギリジョー監督が登壇し、警察犬にまつわるトークなどが展開された。司会者が直轄犬と嘱託犬の違いを紹介すると、オダギリは「任命式に登場したオリバーは直轄犬だったと思うんですけど、実は全国の警察犬の9割以上が民間からの嘱託犬で、要請があった時に行方不明者の捜索など幅広く活動しているんですね」と解説。実際に警察犬も応援に駆けつけ、岡山県警嘱託犬協会による活動紹介が行われた。
イベント終了後の囲み取材では、オダギリは「今まで岡山のためになるようなことをしてこなかったけれど、ようやくこの年になって恩返しのようなことができて嬉しい」と地元への思いを語った。さらに「昔の自分とは全然違う感覚になっていて、仕事が一段落したら(自身の実家である)津山のような場所でゆっくり余生を送ってもいいなと思うようになり、故郷の力を感じています」と心境の変化を明かした。
また警察犬への印象を聞かれると、「5年ほど前、ドラマ・シリーズ制作時に千葉県警の警察犬の指導の方法や訓練を見せていただいたんですけど、本当に犬との絆や信頼感がしっかりと構築されていて、仕事とかの領域を超えて、パートナーとして人生を共に歩んでいるようなものに近い関係性なんだろうなと深く感激しましたね」と取材時の経験を振り返った。
最後に詐欺被害防止に向けてメッセージを求められ、「怪しいと思ったらすぐ誰かに相談したり、1人で抱え込むことのないように。世の中いい人ばかりじゃないと思いながら厳しく接することも必要かなと思います」と地元・岡山の人々へ注意喚起を呼びかけた。
その後行われた舞台挨拶にはオダギリジョー監督が登壇。冒頭、「今日がこの映画の完成版を初めて観ていただく場になります。これまでの完成披露試写は未完成の状態だったので、今日が本物の最初のお披露目になります。それが岡山でできてよかった」と語り、会場から大きな拍手が起こった。

司会から地元での上映について特別な思いはあるかと問われると、オダギリ監督は「そうでもないです」と冗談めかして返し、会場の笑いを誘ったうえで、「せっかくの出身地ですし、親族や友達もたくさん来ていると思うので光栄なこと」と地元上映の意義を口にした。
作品の成り立ちについては「テレビ・ドラマではあまり扱われていない題材を探す中で奇抜な設定を考えた。俳優を長くやってきていろんな役を経験した結果、もう着ぐるみぐらいしか残っていなかった」と独自の発想の背景を説明。脚本段階から自ら着ぐるみ役を演じると決めていたと言い、「世界観を理解してもらうには時間がかかる。自分が演じることで全ての責任を背負えるし、説明もしやすい」とその理由を語った。また、監督と俳優を兼ねる現場については「楽しさはない。大変が一番」としつつも、「俳優同士だから何をしようとしているかが手に取るように分かる。演出はむしろやりやすかった」と振り返った。

長編映画としては『ある船頭の話』(2019)に続く2作目となるが、「一作目と方向性がまったく違うので成長や変化といえるかは分からない。ただ、1作目はプレッシャーがとんでもなく大きく、今回は余裕を持って好きなことができた」と率直に語った。
さらに岡山との縁についても言及し、「津山のごんご祭りの名前を登場させたり、幼なじみの名前をキャラクターに取り入れたりと、自然と岡山の要素が作品に入り込んでいる」と明かして地元との結びつきをアピール。

最後には編集作業へのこだわりにも触れ、「現場は大変なことが多いけれど、編集が一番楽しい。天気や時間が繋がらないシーンも工夫しながら理想の映像に仕上げている」と明かした。さらに上映環境の重要性について「この作品には劇場の5.1サラウンドでしか聞こえない音がたくさんある。家のテレビやパソコンでは再現できない音も多いので、配信やテレビで観るのはおすすめできない。ぜひ劇場で体感してほしい」と強調。「岡山で大ヒットするように、繰り返し劇場で楽しんでください」と観客に呼びかけ、舞台挨拶を締めくくった。

公開表記
配給:エイベックス・フィルムレーベルズ
2025年9月26日(金)より全国公開
(オフィシャル素材提供)
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