
登壇者:菊川 怜、金子隼也、清水くるみ、朝井大智、篠原哲雄監督
MC:八雲ふみね
映画『種まく旅人 ~醪のささやき~』の公開を記念して10月11日(土)、TOHOシネマズ 日比谷にて舞台挨拶が行われ、主演の菊川 怜をはじめ、金子隼也、清水くるみ、朝井大智、篠原哲雄監督が登壇した。
本作で実に15年ぶりの映画出演を果たした菊川は「私自身、映画出演が久しぶりで、しかも主演ということで、本当に撮影できるのかな?というくらい、忘れているような感じで、セリフは入るのかな……?という感じで、初挑戦くらいのイメージで臨みました」とふり返り「こうやって、皆さんに作品として観ていただける状態になれたのが、本当に感激で嬉しく思っています」と公開を迎えた喜びを口にする。
『種まく旅人』シリーズ第5弾となる本作だが、篠原監督がメガホンを握るのは2015年公開の第2弾『種まく旅人 くにうみの郷』以来、シリーズ2本目となる。篠原監督は「塩屋俊監督が第1弾をつくられて、日本の食に関して、これこそが人間の生活の根本であるっていうところから始まったシリーズなので、こうして続いていることがとても貴重な映画ですし、これからも続いて、日本の食に対しての思いを深めていただきたいという思いで作っておりました」と感慨深げに作品、そしてシリーズへの思いを語る。

菊川は、日本酒を愛する農林水産省の官僚で、淡路島の酒蔵・千年一酒造を視察に訪れる神崎理恵を演じたが「淡路島の酒蔵に行って、みんなの心に種をまいて、それが育って花を咲かせ、やがて実を結んでいくところがヒューマン・ドラマとして描かれていて、農作物もすごく大事だし、人と人の交流も実を結んでいくという2本立てで、素晴らしい作品になっていると思います」と本作の魅力を熱く語る。

金子は、自身が演じた蔵元の若き跡継ぎである孝之について「自分も含めて、いまの20代の若い人たちは、悩んでいることをなかなか周りに相談できないところがあり、自分と重なるところでもあり、意外と等身大の自分と近いと感じました」と語り、演じるにあたってはもともと大好きだという日本酒について、勉強をして臨んだと明かす。

唯一の女性の蔵人である夏美を演じた清水は「撮影に入る前に『とにかく体力勝負だよ』と言われていて、私はヨガもピラティスもやってるし、絶対に大丈夫だろうと思って少しだけ筋トレをして入ったんですが、重い米俵を運んだり、麹室もすごく暑くて……(苦笑)」と過酷な撮影を述懐。それでも現場は楽しかったようで「宿に帰って、みんなでごはんをつくって食べたりしていました」と明かし、朝井からは「寮母のようでした」と感謝と称賛の言葉を贈られていた。

朝井が演じた岡村は、職人ではなく、営業マンの役ということで「みなさんとは違って過酷ではなく、気楽な撮影でした」と飄々と語り、菊川からは「チャラい感じ(笑)」とツッコまれていたが、それでも「お酒をつくるにあたって、(酒米の)山田錦を育てるためのいろんな勉強をして、良いお米ができないと良いお酒はできないということを改めて教わりました」と真摯に語る。

この日の登壇陣は、みんな「お酒が大好き(笑)!」(菊川)とのことで、それぞれにお酒がおいしいと感じるシチュエーションについて語ってもらったが、菊川は「(公開舞台挨拶が行われる)今日じゃないですか? 1年前にみんなで(撮影を)頑張って、こうやってお客様に観ていただき、味わっていただけることを考えながら飲む――今日ですよね。どんな味がするんだろう?という感じです」としみじみと語る。
金子はハイボールが大好きだと明かし「仕事が終わった後の一杯目のハイボール!」とニッコリ。一方、清水は「日本酒は父とよく飲みます。(撮影の時に)千年一酒造でも買って、正月に父と飲みました」と嬉しそうに明かしてくれた。
「毎日飲むタイプ」だという朝井は「いままでは、酔えればいいと思って飲んでいたんですが、この映画を観て、こんなに大変な過程を踏んで、いろんな方が関わったお酒をそういうふうに飲むのは申し訳ないなと思って、今後一切そういう飲み方せず、酒の味を楽しむことを重視していきたいなと思っています」と語っていた。
舞台挨拶の最後に、菊川は「この作品のテーマである日本の農業、第1次産業の素晴らしさを改めてエンターテイメントとして、ヒューマン・ドラマと一緒に感じていただけたらなと思います。私自身、いままでも食に感謝してきたつもりでしたし、日本酒もおいしくいただいてきたつもりだったんですけど、上辺だけで感謝していたと反省しました。今回の作品に関わらせていただいて、どれだけの人の努力と愛情と手間ひま、汗水がかけられて、消費者の元に届くのかということを知り、そして、それは当たり前じゃなくて、この先の未来にわたって確実にあるという保証はないものであり、みんなの力で守っていきたいものだと感じました。そして改めて食は人間が生きていくエネルギー、喜びであるということを感じたので、このテーマを皆さんにも持って帰っていただければと思います」と呼びかける。

篠原監督は前作、本作と続けて淡路島を舞台に作品を撮ったが「まだまだ魅力的な土地で、南淡路もありますし、ぜひ次も淡路でやりたいです!」と宣言。「この作品は、伝統から新しい見方を模索していく映画です。日本には守っていかなくてはいけない文化があり、日本酒や食もそうですし、映画もそうです。映画は皆さんに観ていただいて、お客様によって育てられていくものだと思います。ぜひこれからも応援していただけたらと思います」と語り、会場は温かい拍手に包まれた。
映画『種まく旅人 ~醪のささやき~』はTOHOシネマズ 日比谷ほか全国にて公開中。
公開表記
配給:アークエンタテインメント
公開中
(オフィシャル素材提供)