
登壇者:竹野内豊、堺 正章、風吹ジュン、エリック・クー監督
映画『SPIRIT WORLD -スピリットワールド-』の全国拡大公開初日記念舞台挨拶が都内で行われ、キャストの竹野内豊、堺 正章、風吹ジュン、メガホンを取ったエリック・クー監督が登壇して作品についてクロストークが行われた。

本作は、日本・フランス・シンガポールの合作。コンサートのために訪れた日本で命を落とし、さまよえる魂(=スピリット)となったフランス人歌手・クレア(カトリーヌ・ドヌーブ)が、魂の旅路をテーマに、死後の世界で出会ったユウゾウ(堺)と共にユウゾウの息子ハヤト(竹野内)の旅を見守るさまが描かれる。
フランスを代表する名優カトリーヌ・ドヌーヴが、日本での撮影に初めて臨んだ作品。群馬県高崎市や千葉県いすみ市で撮影が行われた。最初の挨拶で、エリック監督は「大好きな日本に戻って来られて嬉しいです。素晴らしいキャストたちとの仕事は、特別な経験となりました。ドヌーヴも『日本で撮影するという長年の夢が叶いました』と、とても喜んでいました」と話す。
エリック監督の印象について聞かれた竹野内は「とにかく撮影がスピーディーなんです。そして、エネルギッシュで、純粋な心を持つ少年のような素敵な監督です」と話す。そして「この映画は、監督の人柄がそのまま映し出されていると思います」と伝えた。

エリック監督について堺は、「お酒が好きな監督です」と紹介し、エリック監督が日本に来るたびに、スコッチをプレゼントしていることを明かす。「さっきも何杯が飲んでいました」とエリック監督に目をやり、「少しでも僕のカット(出番)が多くなればいいなと贈っていたんですが、大して効果はなかったようです」と秘めた下心を明かし、会場に笑いを誘った。さらに、エリック監督については、「陽気な感じで、芯の強さを内に秘めている方。現場のムード作りがとてもうまかったですね」と話した。

ハヤトの母・メイコ役を演じた風吹は「エリック監督は、優しい微笑をいつも浮かべているんです。この合作映画を作れたのは監督のおかげです」とまずは感謝を伝え、作品については「私はこの作品の脚本がすごく好きです。これまで無かったような表現がたくさんありました。監督の息子さんが脚本を書いているんです。父であるエリック監督の人柄があってこの作品が出来たんだなと思います」と笑顔で伝えた。

俳優3人について、エリック監督は「3人と一緒に仕事が出来て素晴らしかった。私が求めているのは、俳優がどれだけ役柄に入り込んでくれるかということなんです。3人はそれぞれの役柄にふさわしい形でセリフを練り直し、命を吹き込んでくれました。3人がたくさんの質問をしてくれることで、(作品に)深みが増していきました」と話す。

また、「ユウゾウ役の堺さんとドヌーヴの間にはいい化学反応が生まれていて、堺さんは現場でいつも冗談を言ってたりする雰囲気がありました。竹野内さんは(ハヤトの)繊細さを表現してくれました。繊細さがこの役柄には非常に重要で、そのおかげで感情移入ができるんです。風吹さんは母性あふれるメイコを美しく演じてくれました」と3人の演技への姿勢を称賛した。
そんなエリック監督に竹野内は「監督がいろんな意見を聞いてくれたので、自由に演技することができました。やりやすかったですね」と感謝を伝えた。

堺は、ドヌーブとの共演シーンについてのエピソードを披露。「千葉で海を見るシーンで、カトリーヌさんが歌を口ずさむシーンがあるんです。カトリーヌさんが『どうしたらもっと盛り上がるだろうか?』とおっしゃるので、僕が『こういうのはどうでしょう?』と2つアイデアを出したのですが、すべて却下されました(苦笑)。結局台本通りになりましたが、ぜひそのシーンにご注目ください」と残念そうに話し、キャストと客席を笑いに包んだ。

最後に、竹野内が「エリック監督が独特な感性で、物語を静かに描いてくださっています。どんな人生を歩んできたかで、感じ方もさまざまだと思います。最後まで、楽しんでいただければ……」と伝える。


堺は「私も高齢者になり不安を抱えていますが、この映画では、来世はまだまだ現世の続きだよねと感じさせてくれます」とアピール。

風吹は「自然で“そのまま”のドヌーブさんの姿が映っています。とても近くに感じていただけると思います。エリック監督でなければ、あんなふうに映せなかったと思います。それを楽しんでください」と作品の魅力を伝えた。
エリック監督は「息子と『人間は亡くなったらどうなるんだろう?』と夜通し考えながら作り上げていきました。ポジティブに死をとらえています。いまの世界に必要な作品になったと思います。個人的にとても思い入れのある映画です。希望と愛のこもった映画です」と熱くメッセージを伝えた。


(取材・文・写真:福住佐知子)
公開表記
配給:ライブ・ビューイング・ジャパン
2025年10月31日(金)~全国拡大公開
10月10日(金)~TOHOシネマズ シャンテにて先行公開
(オフィシャル素材提供)






