インタビュー

『クィア/QUEER』ルカ・グァダニーノ監督&ジョナサン・アンダーソン インタビュー&場面写真・メイキング写真解禁

© Yannis Drakoulidis

 『君の名前で僕を呼んで』のルカ・グァダニーノ監督が、『007』のジェームズ・ボンドを卒業したダニエル・クレイグ主演でお届けするラブ・ストーリー『クィア/QUEER』がギャガ配給にて、5月9日(金)より新宿ピカデリー他にて全国公開となる。
 この度、ルカ・グァダニーノ監督が明かした撮影秘話、衣装を手掛けた世界的デザイナー、ジョナサン・アンダーソンのインタビュー、新たな場面写真が到着した。また、J.W.アンダーソンでの映画オリジナルグッズ再販も決定した!

『君の名前で僕を呼んで』のルカ・グァダニーノ監督×ジェームズ・ボンドを卒業したダニエル・クレイグが贈る、一途な恋のために、地の果てまでも行く男の、切ないラブ・ストーリー

 『君の名前で僕を呼んで』でひと夏の切ない恋を描いたルカ・グァダニーノ監督が、今度は愛する相手と心身共にひとつになりたいと切望する男を描く。主人公の孤独な中年男リーを演じるのは、007シリーズの主人公ジェームズ・ボンドの鎧を脱ぎ捨てた新生ダニエル・クレイグ。ボンドとは全く異なる魅力で、自分を保てないほどに相手を求める圧倒的ピュアネスを演じきる姿は、あまりに痛く愛おしく、私たちの心を激しく搔き乱す。2024年の第81回ヴェネチア国際映画祭でワールドプレミアを迎え、第96回ナショナル・ボード・オブ・レビューでダニエル・クレイグが主演男優賞を受賞。第82回ゴールデングローブ賞でも、主演男優賞(ドラマ部門)でノミネートされるなど、多くの映画賞を賑わせている。

 リーが恋する相手のユージーン役には、映画ファンの間で今年最高の“発見”との呼び声も高いドリュー・スターキー。一見クールで感情を露わにしない新世代に見えつつも、己のアイデンティティへの戸惑いや葛藤が垣間見える絶妙な表情で、ユージーンの心の中の繊細なゆらぎを観客に突き付ける。

 原作はビート・ジェネレーションを代表する作家ウィリアム・S・バロウズが、謎多き人生を赤裸々に綴り、一度は出版を封印した自伝的小説。トレント・レズナー&アッティカス・ロスが手掛けた音楽と、ニルヴァーナ、プリンス、ニュー・オーダーらの挿入歌が聴覚を、ファッションの新しい軌道を創り上げたJW Andersonのジョナサン・アンダーソンによる衣装が視覚を魅了する。愛を確かめるために男が選んだ数奇な手段とは──究極の愛を探し求める姿が、あまりに無様で崇高で、どこまでも愛おしいラブ・ストーリー。

 この度、ルカ・グァダニーノ監督が積年の思いで映画化した『クィア/QUEER』の制作にあたり、初めて挑戦したこと、『チャレンジャーズ』に引き続き、ジョナサン・アンダーソンへ衣装担当を任せた理由などについて語ったインタビューと新たな場面写真が到着した。

 ルカ・グァダニーノが映画監督として長年目指してきたことの一つが、チネチッタ撮影所で映画を監督することだった。同撮影所は、99エーカー(約40万㎡/東京ドーム約8.6個分)もの広さのローマにある伝説の撮影所で、1937年にオープンしてから、フェリーニ、ロッセリーニ、ヴィスコンティ、レオーネ、ベルトルッチ、コッポラ、スコセッシなどによる、3000本以上の映画が撮影されてきた。
 「僕は、『クィア/QUEER』のイメージやセットは、バロウズの目と心を通して映し出されるものでなければならないと考えていた。彼の小説の映画化について考え始めて30年が経っても、まだバロウズの原作に表現されている苦悩や欲望、イメージを反映する人工的な場所として、メキシコシティやパナマシティやエクアドルを再現することにこだわっていた」とグァダニーノ監督は振り返る。
 映画の冒頭のメキシコシティの章に関してグァダニーノ監督は、リーとユージーンが恋に落ちる街角、バー、そしてホテルの部屋などを、ジョン・ヒューストン監督の映画『黄金』(48)のように、ハリウッドのバックロットで作られた、1950年代の撮影所的な雰囲気にしたいと思ったという。この章の屋内シーンには、登場人物の孤立感や断絶感を強調する視覚要素として、意図的に非対称になっているセットを取り入れ、登場人物の心の中を映し出す風景を目指した。
 また、物語からにじみ出る鮮やかで明確な官能さを反映した色を選んだと語る通り、リーとユージーンが酒を飲みに行くバー「シップ・アホイ」や、リーがバーで出会った男性と向かう安ホテルの部屋などに、登場人物の熱望を反映するような、ネオンライトの光が溢れ、アール・デコ時代の色褪せた威厳が漂う空間を作り出した。グァダニーノとバイシは、ウォン・カーウァイの『花様年華』(00)に見られる、飽和状態で激しいロマンチックさをたたえた色を、これらのシーンの参考にしたという。

 官能的で催眠をかけるような視覚様式は、タイ生まれの撮影監督サヨムプー・ムックディプロームの、うっとりさせるようなカメラワークでさらに強調される。ムックディプロームは、以前にもグァダニーノとタッグを組んでおり、『君の名前で僕を呼んで』『サスペリア』『チャレンジャーズ』 でも撮影監督を担当。アピチャッポン・ウィーラセタクン監督の実験的で超越的な作品『MEMORIA メモリア』(21)や『ブンミおじさんの森』(10)などや、ポルトガルの映画監督ミゲル・ゴメスの様式化された歴史映画作品の撮影を担当することで、キャリアをスタートさせた。最近では、ロン・ハワード監督の『13人の命』や、M・ナイト・シャラマン監督の『トラップ』の撮影監督を務め、今日最も引っ張りだこの撮影技師だ。

 1950年代の衣装を再現するために、親しい友人で、頻繁に一緒に仕事をするジョナサン・アンダーソンと再びコラボを組むことにした。アンダーソンは、アイルランド生まれのファッション・デザイナーで、自身のブランドJ.W.Andersonや複数の高級ブランドのクリエイティブディレクターを務めている。アンダーソンは、『チャレンジャーズ』をきっかけに映画の衣装デザインの世界に入った。
 「1950年代の男性は、服を長い間キープするという習慣がなかった。外国人としてメキシコで暮らす、ウィリアム・リーのような男性は、特にそうだった。『クィア/QUEER』は、1950年代の男性服に潜むフェティシズムの概念に焦点を当てている。そこには微妙なニュアンスがあるんだ」とアンダーソンは語る。映画の序盤では、うだるような暑さの、メキシコシティの夏の街並みを舞台に展開する。リーは、淡い色の麻のスーツ、パナマ帽、そして現代風のサングラスを身につけて街をさまよう。アンダーソンは、「僕は彼を、『乱れのあるしゃれ男』と解釈した。からだが衣服に影響を与え、服が、第2の皮膚として彼のからだの一部になったように思えた。リーの服のスタイルは、究極的には、彼の身のこなし方と関係がある。ユージーンのスタイルは、少し堅苦しく、同時にヒッピー的で若い。それが性的な魅力を醸し出しているんだ」と明かし、リーの、しわくちゃのヘミングウェイ風スタイルとは対照的に、ユージンには、より垢抜けた大学生風の格好をさせ、2人の男の年齢、人生における立場、そして心理がいかに異なっているかをはっきりと表現した。

© Yannis Drakoulidis
© Yannis Drakoulidis

 終盤では、リーとユージーンが、幻のヤヘを求めてジャングルへと入っていく。その時の2人の服は、密林の湿気で汚れている。「物語が進んでいくにつれて、服はどんどん汚く、くたびれていかなければならない。彼らは、ジャングルの中で服を洗濯できないからね。これを強調するためには、それぞれのキャラクターには、衣装を1着しか準備しなかった。そうすることで、ジャングルを冒険する中で、服がどうやって劣化していくかを想像することができた」とアンダーソンはこだわりを明かした。

© Yannis Drakoulidis

 日本で1月25日に発売されたJW Anderson x QUEER限定カプセルコレクションが、映画の日本公開を記念して5月9日よりJW Anderson 渋谷店とJW Anderson 伊勢丹新宿メンズ店にて再販売されることが決定! コレクションでは、映画のポスターやメインビジュアル、そして『クィア/QUEER』のテーマに基づいたグラフィックを、ウェアやアクセサリーに落とし込んでいる。
 「QUEER」の文字はグレーのフーディーにプリントされ、ビーズで装飾されたドローストリングは映画を彩る要素と調和。フーディーの背面には「I want to talk to you… without speaking(言葉を使わずに、あなたに話しかけたい)」という台詞をプリント。さらに、公式ポスターのデザインを彷彿とさせる映画タイトルとクレジットがあしらわれたグレーのクルーネックスウェットや、映画からインスパイアされた印象的なビジュアルがプリントされた鮮やかなグリーンのスウェットシャツも展開。またスチールブルーのTシャツには映画タイトルを、グレーメランジのTシャツには映画の中で変身の象徴として登場する、ムカデのネックレスを模したデザインが取り入れられている。アクセサリーにも、ウェアのビジュアル・モチーフを反映。オフホワイトのトートバッグには映画から採用した画像が、またカーキとネイビーの2色のキャップには『QUEER』のタイトルが各々プリントされ、映画『クィア/QUEER』がもつ無二のイメージやテーマを際立たせている。

 映画『クィア/QUEER』は5月9日(金)よりいよいよ公開を迎える。ダニエル・クレイグがすべてをさらけ出し、挑んだ、孤独な中年男性・リーのどこまでも愛おしくなる恋の行く末をぜひ見届けてほしい――。

公開表記

 配給:ギャガ
 2025年5月9日(金) 新宿ピカデリー 他 全国ロードショー

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