記者会見

『てっぺんの向こうにあなたがいる』完成報告会見

©一般社団法人 田部井淳子基金  © 2025「てっぺんの向こうにあなたがいる」製作委員会

 登壇者:吉永小百合、のん、木村文乃、若葉竜也、工藤阿須加、茅島みずき、天海祐希、佐藤浩市、阪本順治監督

 世界初女性エベレスト登頂という偉業を成し遂げた登山家・田部井淳子の実話をもとに、その勇壮な生涯を壮大なスケールで描いた映画『てっぺんの向こうにあなたがいる』。5月13日(火)に都内で本作の完成報告会見が実施された。会見冒頭に、本作のモデルとなった田部井淳子氏の貴重なアーカイブ映像を交えた約100秒にわたる本作の特別映像が上映され、場内の本作への期待が最高潮に高まる中、主演の吉永小百合、共演の佐藤浩市、天海祐希、阪本順治監督に加え、本日解禁となる追加キャストとして、のん、木村文乃、若葉竜也、工藤阿須加、茅島みずきら豪華キャスト陣もサプライズ登壇し、総勢9名がステージ上にラインナップ。

 本作の主人公・女性として初の世界最高峰エベレスト登頂制覇を果たした多部純子(たべ・じゅんこ)役の吉永は「本当に過酷な撮影だったのですが、何とかやり遂げられてホッとしています。本物の田部井淳子さんがてっぺんの向こうから、『よくやったね、頑張ったね』って私たちに言ってくださっているような気がします」と手ごたえ十分。124本目の映画出演作となった本作で初の登山家役に挑み「田部井さんには2012年に初めてお会いして、その時にすごくファンになってから、こういう形で私が演じることになって、すごく幸せでした」と万感の想いを語った。

 登山家・そして母として頑張る妻・純子を優しく見守り支える夫、多部正明(たべ・まさあき)役の佐藤は「この世界に入る45年前、将来吉永さんの相手役をやることになると周りに言ったら、鼻で笑われるか、怒鳴られるかのどっちかでしたでしょうね。今こうして吉永さんの相手役をさせていただくなんて想像もしていませんでした。でも、撮影に入る直前、吉永さんに、『撮影期間中は、お母さん、お父さんと呼ばせてください』と言ったら快く受け入れてくださって、それがすごく心の支えで。支えているようで支えられている、映画の外でもそんな関係性が出来ればいいなと思っていました」と撮影を振り返った。

 純子の盟友であり、エベレスト登頂の相棒でもある北山悦子(きたやま・えつこ)役を演じた天海。吉永とは『最高の人生の見つけ方』以来の共演となり、今回も吉永と盟友となる役柄を演じた天海は「(純子と悦子のことを)支え合い、お互いの存在に励まされていた関係だったのでは、と今では思いますし、おこがましいけれど、小百合さんとの関係もそうだと思います。素直にまっすぐに悦子さん役に入れたと思います。(純子は)すごくバイタリティがあって、力強くひたむきで、吉永さんにぴったりな役でした。そばで見つめ続けることができて幸せでした」と想いをこぼした。

 70年代と現代、2つの時代がクロスする本作で、純子と正明の青年期をそれぞれ演じたのんと工藤。
 のんは「素敵な役を頂けて興奮していました。撮影に入る前に、吉永さんの出演作をたくさん拝見しましたが、吉永さんの瞳の力に魅了されました。どうにか1%くらいその瞳パワーを表現できないかと研究しました。」と語り、記者からの瞳パワーを表現するために意識していたことはありますか?との質問には「スマホのゲームをやめたり、ブルーライトカットの眼鏡をかけたり、目を守る行動をとりました」と語り、会場からは笑いが起きた。

 工藤は「このお話をいただいたとき、本当に心から嬉しくて、飛び跳ねました。吉永さんを始め、素敵な先輩方、そして監督のもと、この作品に携われたこと、僕の役者人生にとっても大きなものになりました。クランクイン前に佐藤浩市さんともお話して、ちょっとした演技のポイントも伺いました。佐藤さん演じる正明さんにどうすれば近づけるか、と毎日毎日想像して考えていました」と明かした。また、雪山での撮影についてのんは「雪山の洗礼を受けました。良いタイミングで吹雪がやってきて、撮影の合間に待機していたバスの中に霜が降りてきたり。スタッフさんに手足が凍るので動かし続けてください、と言われながら撮影に臨んだり」と過酷な撮影の日々を振り返った。

 本作では“家族の絆”もテーマの一つ。多部家の長女で母を陰ながら支え、応援する教恵(のりえ)役を演じた木村は「緊張して現場に入ったら両親がすごくかわいくて。この両親を見て育ったら娘もそうなるよね、というくらいチャーミング。将来、私もこんな夫婦になりたい、と思ったくらいかわいい夫婦でした。夫婦役のお二方とご一緒した時間は短いですが、本当の家族になれたような気がします」と田部井家の絆が現場でもリアルになった思い出を振り返った。

 多部家の長男であり、時に両親に反発をするもやがて母の意志を継ぎ、登山を通じて家族の絆を取り戻す、真太郎(しんたろう)役を演じた若葉は、「吉永さんと正面切って演じるのはとてつもない緊張感と恐怖に向き合わなければいけませんでしたが、現場に行ったら、佐藤浩市さんが軽やかに『よろしくな』と声をかけてくれて安心しました」と、以前にも共演経験がある佐藤の言葉に救われたエピソードを明かした。

 天海演じる北山悦子の青年期を演じた茅島は、実在する人物をモデルとした演技に挑戦したことに「自分が生まれていない時代の話なので、見たことがないものがたくさんあって。登山の経験もないので、やったことがないこと、見たことがないものをどう演技に落とし込めばいいのか、という苦労がありました」と苦労をのぞかせつつ、「北山さんの人柄がすごく素敵で。彼女の田部井さんへの思いというところを一番に意識して演じました」と自身が役に込めた想いを語った。

 実話をベースとして本作を撮った阪本監督は「田部井さんの寛容さに支えられてできた映画です。人の人生を2時間にまとめるのは不可能です。純子さんの信念はぶれないようにしながら、ご家族が託しますとおっしゃってくださったのが心の支えでした」と撮影時の心境を語りつつ、とっておきの秘密を暴露。「純子にアプローチするために、今回吉永さんは田部井さんと同じピアスを同じ位置に開けたんです。これ記事になるでしょう? これ言わなければと思って」と会場の笑いを誘い、吉永は「今日もつけてきました。本物の田部井さんのピアスです」と満面の笑顔でピアスを披露した。

 また、会見の後半には、マスコミからの質疑応答も実施。

Q:のんさんとの二人一役で田部井淳子さんを演じられましたが、何か印象はありますか。

 吉永:のんさんが本当にかわいくて。自分にこんな娘がいたらいいなと思うくらいでした。坂本龍一さんとのコンサートで朗読した時に心が通い合っていましたが、今回も良かったと思います。

Q:124本目の出演作ということで、本作にかけて、ご自身の芸能人生で今は何合目だと思いますか?

 吉永:8合目くらいでしょうか、元気でやれる限りは、田部井さんのセリフじゃないですけど、一歩ずつ歩いて行けたらと思います。
 佐藤:今は7合目あたりまで来て、引き返そうかな、と思っております(笑)。
 天海:万年5合目。これからも頑張ります!

Q:登山ロケでのエピソードを教えてください。

 吉永:田部井さんが実際にトレーニングされていた埼玉県の日和田山に登ったのがハードで。汗でびちゃびちゃになりながら、常にお父さんが引っ張ってくれて。
 佐藤:吉永さんは、撮影中、一言も疲れたとおっしゃらないんですよ。僕は隣で疲れただのなんだの言っているのに。感服しました。

Q:吉永さんは本作で124本目の映画出演でしたが、本作の撮影で得たもの、新たに感じたことはありますか?

 吉永:だんだんセリフが覚えられなくなって、今回佐藤浩市さんと若葉さんにとってもご迷惑をおかけしたシーンがあったんです。それは多分ずっと後まで引っかかっていくことだと思いますが、これからも役をいただけることがあったら、もっともっと勉強して、これからも乗り越えていきたいと思います。

Q:木村さんや若葉さんも登山しているシーンはありましたか? 撮影はいかがでしたか?

 若葉:富士山はどんどん天気が変わっていって、雲がどこかにいくまで、何時間も待機しているんです。その間も吉永さんはずっと天気を見つめながら、そんなふうに映画に携わっていて。僕は絶対に疲れたなんて言えないなって、外でずっと立って待っていました。役者・スタッフそれぞれ心血注いで作った作品です。
 木村:私は軽装備で登れるような軽い登山シーンしかなかったのですが、山登りも山映画も大好きで……。なので、今回そんな山登り映画の一員に慣れることがとても嬉しかったです。

Q:のんさん、工藤さん、茅島さんは、名優の若い頃を演じることについて、プレッシャーはありましたか?

 のん:プレッシャーは巨大でした。本当に緊張して……。お話しいただいたときは舞い上がったのですが、いざ演じるとなると……吉永さんの青年期に見えなきゃいけないんだということがのしかかってきて、気合いが入りました! 一生懸命頑張りました!

 工藤:プレッシャーしかなかったですね。もちろん役者人生において尊敬する先輩の若かりし頃を演じるということはそんなにあることではないので……マイナスなプレッシャーよりはプラスなプレッシャーにどんどん変えていこうという思いでいました。また、佐藤浩市さんはもちろん、クランクイン前に阪本監督と話したときにたしか、「うん、大丈夫だろう」と言ってくださったと思うんです。阪本監督の中で大丈夫と思うものがあったということに安心しました。

 茅島:皆さんと同様に、本当にプレッシャーしかないくらい緊張していました。違う作品で少しだけ天海さんの幼少期を演じたことはあったのですが、緊張と不安とプレッシャーはたくさんありました。クランクイン前にお会いしたときに優しい言葉をかけていただき、こんな素敵な方の青年期を演じられたことがうれしかったです。

Q:本作のためにピアスの穴を開けたという話がありましたが、開けたことによってどのような影響がありましたか?

 吉永:この役は開けるしかない!と思って開けました。ただ大変だったのは、1ヵ月泳いではいけないということ。泳がないというのは私にとってとても辛いことでした。とにかく、今回の役に没頭するために開けましたが、今とっても解放されたような気持ちになっています。

Q:阪本監督は、絶対にヒットさせるぞという意気込みで撮影に挑まれたと思いますが、13年ぶりの吉永さんとの撮影はいかがでしたか?

 阪本監督:初めての時より緊張したかもしれません。自分のことが、弱みも含めてバレてしまっているので。毎日殺伐としたニュースが流れていますが、この映画は必ず人を元気にします。老若男女、すべての人が元気になると思います。『ミッション:インポッシブル』よりヒットするでしょう!

 最後に主演の吉永は「今こうしてみんなで集まって、撮影の時を懐かしく思い出しています。これからみんなで力を合わせて、皆さんに観ていただけるように10/31の公開まで頑張りますので、応援よろしくお願いします」、阪本監督は「よく僕が言っていることですが、僕らが映画の生みの親だとしたら、観客の皆さんは育ての親。映画館はゆりかごのようなものです。ぜひ映画館で、本作を観ていただきたいです」とアピールして、会見は幕を閉じた。

キャスト&スタッフ

 出演:吉永小百合
    のん
    木村文乃、若葉竜也
    工藤阿須加/茅島みずき
    天海祐希/佐藤浩市

 監督:阪本順治
 脚本:坂口理子
 音楽:安川午朗
 原案:田部井淳子「人生、山あり“時々”谷あり」(潮出版社)
 製作総指揮:木下直哉

 (2025年、日本)

公開表記

 配給:キノフィルムズ
 2025年10月31日(金) 公開

(オフィシャル素材提供)

関連作品

半世界 Blu-ray (通常版)
コロムビアミュージックエンタテインメント
スポンサーリンク
シェアする
サイト 管理者をフォローする
Translate »
タイトルとURLをコピーしました