
登壇者:安部伊織、葵うたの、角 心菜、加藤雅也、監督:清水友翔
MC:落合プロデューサー
映画『僕の中に咲く花⽕』初⽇舞台挨拶が8月30日(土)、東京・渋谷のユーロスペースで行われ、主演の安部伊織、共演の葵うたの、角 心菜、加藤雅也、メガホンをとった清水友翔監督が登壇した。
本作は、田園風景の豊かな岐阜県にある田舎町を舞台に、家にほとんど帰ってこない父親と不登校で引きこもっている妹に頭を悩ませ、10年前に亡くなった母を未だ忘れられない思春期の少年・⼤倉稔(安部)が、迷い、苦しみながらも周りの温かい人々に支えられながら、いつかは大切なものがなくなって消えてしまう喪失と恐怖を受け入れ、大切な今を生きていこうとする姿を描く、すべての人たちに捧げるひと夏の物語となっている。
本作の中で、1番好きなシーンを聞かれた安部は「たくさんあるんですけど、僕はおでん屋のシーンが印象に残っています」と答え、「(おでん屋の店主・酒井を演じる)渡辺 哲さんとうたのさんとのシーンで、稔のターニング・ポイントになるようなシーンだったので、すごく印象に残っていますね」とコメント。

同シーンについて、稔の⽗・大倉 剛を演じた加藤は「脚本では屋台だったんですけど、大人の事情でおでん屋になったのは残念ではあったんですけど、もう1回映画を観ていただけるときは屋台だと思ってもらえたら」と鑑賞直後の観客に声をかけ、「あのシーンで“星空が見える”というのが台本の中にあったんですけど、おでん屋に変わっても監督は上手く表現したなと思いました」と称賛。

清水監督は「夜のシーンですけど、日光を遮断して真昼間に撮っていました」と裏話を明かした。
逆に、1番苦労したシーンを尋ねられた清水監督は「基本的にスタッフの中で自分が最年少で、初めての規模の映画制作で、考えることが多すぎて基本現場ではパンクしていて頭が空っぽになっていたんですけど、特にしんどかったのは、お母さんの遺品を燃やすシーンで、台風だったので撮っているときにいきなり雨が振り出したり、かと思ったら急に雨が止んだりして、撮影しづらい環境で、そのときは頭が真っ白になって大ベテランのスタッフの皆さんに回していただいた思い出があります。キツかったですね」と振り返り、最初に編集した際に清水監督は同シーンをカットしたが、周りの助言もあり最終的には入れたというエピソードが明かされると、清水監督は「完成して1年くらいだと思うんですけど、自分も映画と近い距離にあったのが、少し離れてお客さんのような距離感で見ることができて、この作品の中であのシーンは必要だったなと再確認できましたね」と納得した表情を浮かべた。

また、東京から帰省し稔と出会った水石朱⾥を演じた葵は、MCを務めたプロデューサーから「神社でタバコを吸っているシーンがよかった」と絶賛され、改めて岐阜の大自然の中でタバコを吸う気持ちよさについて聞かれると「空気もおいしいですし、そこであえてタバコを吸うという解放感があるんですけど、とにかく暑かったですね。公園のシーンで遊具に座るシーンがあるんですけど、『あつっ!』って自然と言葉が出ちゃうくらいでした(笑)」と回顧し、「ヘビースモーカーの役で、吸い方にも人柄とか生活感が出ると思っていたので、いろんな吸い方を試してみました」と明かした。

さらに、引きこもりの稔の妹・鈴を演じた⾓は、引きこもっていた部屋の中で鈴は何をしていたと思うか尋ねられると 「鈴の部屋を見ていただくと、たくさんのぬいぐるみがあったと思うんですけど、(鈴は)ぬいぐるみとしゃべっていたのかなって思いました」と語り、自身もそういうことをするか追及されると「私はしゃべらないですね(笑)」と笑顔で答えた。

そして、同年代の監督と仕事をした感想を聞かれた安部は「オーディションの段階で監督のプロフィールを拝見したんですけど、特異な経歴をお持ちで、高校生のときにアメリカに行って、日本に帰ってきて映画を撮るというバイタリティーがすごいなという印象だったんですけど、プライベートでも仲良くさせていただいていて、監督は優しい顔をされているんですけど、付き合えば付き合うほど僕の知っている人間で1番狂気を含んでいて(笑)、独特なエネルギーを持った人だなと思いますね」と語り、逆に、安部と仕事をした感想について清水監督は「今はプライベートでも一緒に飲みに行ったりするくらい仲がいいですけど、最初のオーディションで主人公の役は80人くらい来てくださって、その中で1番印象に残った人が伊織さんで、入ってきたときの目線だったり顔の向きだったり雰囲気全体が、芝居で入ってきたのか、この人の本性なのか分からないくらいで、その後もずっと伊織さんが頭に残っていて、現場でも自分は初めての演出で慣れていない部分もあったんですけど、丁寧に理解してくださってありがたいなって思っていますね」と感謝した。
一方、親子ほど歳の離れた清水監督と仕事をした感想を聞かれた加藤は「もともとパーティーで知り合ったんですよ。横に座っていて『何してるの?』って聞いたら『映画監督です』って言っていて、『アメリカでやってるんだったら大変だな』って話をして、今度日本で撮る予定があるって言うから、アメリカと日本のやり方は違うから『何かアドバイスできたらいいね』って言ったら、彼はガンガン電話をかけてきて、アメリカに帰る前に会えますかということで会って、今後はアメリカから台本を持って帰ってきて話を受けているうちに、いつの間にか僕がお父さんの役をやることになっていました」と経緯を明かし、「40くらい歳が違うからひよっちゃうんだけど、彼のバイタリティーがよくて、僕は『やるよ』って話になって、哲さんの役も僕が『哲さんがいいよ』って言ったら、彼も同意見で、電話をかけたら出てくれることになったんです」と告白。加えて、加藤は「(当時)22くらいの男の子が映画を作ってすごいことなんですよ。僕が22のときなんて俳優もやってなくて、ただの学生でしたからね。それが今日、実現したということはすばらしいですことだと思いますね」と清水監督を労いつつ、「映画を観た感想は厳しく言ってくださいね。彼は謙虚に聞くタイプの人なので。褒めるだけじゃ伸びないので」と観客に呼びかけた。
なお、稔と父親がケンカ別れをするシーンは撮り直しをしたそうで、清水監督は「撮り直す前のお芝居は怒鳴り合って出ていくという話だったんですけど、相手に対して怒るということはそれだけ愛情がまだ残っていることだなと思って、本当に愛情のない関係だったら、むしろお互いが怒鳴ることもなく、突き放す感じかなと思ったので、『もう1回、自分の演出を変えたいんですけど』とお願いしました」と打ち明け、同シーンについて安部は「撮り直したんですけど、あのシーンが1番難しくて、僕の中で脚本を読んで怒鳴り合う感じでいたので、それで大丈夫なのかなって思ったんですけど、『空気になってください』って言われて、空気になりすぎて1回セリフが飛んでしまったんですけど(笑)、完成されたものを見ると“なるほどな”と監督の思い描く設計図に感激したことを覚えていますね」と目を輝かせた。
最後に、観客から稔を演じる上で意識したことを聞かれ安部は「稔って自分でも何を考えているのか分からなくて、衝動的に行動してしまうキャラクターだと思うんですけど、お芝居するときってある程度目的であったりをはっきりさせるべきだと思うんですけど、あえてぐちゃぐちゃのまま衝動というのを大事にしたいなとやる前から思っていて、おでん屋のシーンで朱⾥とおでん屋のおっちゃんと話しているときに、変な間が空いてしまうんですね。あのシーンはぐちゃぐちゃしたものを考え込んでしまって、撮影ということを半分忘れるくらい没頭しちゃって、“あっ、俺のセリフか”ってなってセリフを言ったんですけど、それくらいぐちゃぐちゃした思考を持ってやろうと意識していましたね」と答えた。
今後も、全国の劇場で舞台挨拶が開催されるので、ご注目いただきたい。
公開表記
配給:彩プロ
8⽉22⽇(⾦)より名古屋・岐⾩先⾏公開
8⽉30⽇(⼟)よりユーロスペースほか全国順次公開
(オフィシャル素材提供)