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『旅と日々』第30回釜山国際映画祭 公式上映Q&A

©2025『旅と日々』製作委員会

 登壇者:三宅 唱監督、シム・ウンギョン、髙田万作

 30周年を迎えるアジア最大級の国際映画祭である「釜山国際映画祭」で初めて設けられたコンペティション部門において、9月19日(金)に『旅と日々』の公式上映とQ&Aが行われた。
 釜山国際映画祭は1996年に創設された国際映画製作者連盟公認の国際映画祭であり、釜山シネマセンターをメイン会場に国内外の200作品以上が上映され、来場者数は約20万人を記録することも多く、名実ともにアジア最大級の映画祭。本年は例年の10月開催より早い、9月17日(水)~26日(金)の開催となる。本年よりコンペティション部門が新設され、グランプリ、監督賞、審査員特別賞、主演男優/女優賞、芸術的貢献賞が与えられるとともに、グランプリ受賞作は映画祭のクロージング作品として上映される。

公式上映、Q&A

 釜山国際映画祭のメイン会場である「映画の殿堂」の800席が満席のなか、三宅 唱監督、主演のシム・ウンギョン、出演の髙田万作が登壇した。アジアプレミア上映に三宅監督は「今日の朝、上映テストをしたときに、映画って生きているんだなと感じました。映画を観ていると、生きているという実感を得られる気がします。そうやって、全身でこの映画を観て感じていただければと思います」、シム・ウンギョンは「初めてこの映画を観た皆さんがどのように感じたのか、聞きたい気持ちでいっぱいです」と30周年という節目に新設された釜山国際映画祭のコンペティション部門でのアジアプレミア上映に期待を膨らませ、髙田万作は「大好きなお二人とこんな貴重な場に立つことができてとても光栄に思います」とそれぞれ思いを述べ、上映がスタートした。

 時折笑い声も響く上映が終わり、場内が明るくなると会場は温かい拍手につつまれ、Q&Aがスタート。

 まず、「たくさん笑えて、とても幸せな気分になりました」という観客の感想から、三宅監督が映画への想いを述べた。「自分が初めて映画を作ったときの気持ち、あるいは初めて映画館で映画を観たときの気持ち、そういう驚きを皆さんに感じてもらいたいと思ってこの作品をつくりました。それが、劇中劇という構造にするアイデアに結びつきました。この映画は旅についての映画ですが、映画そのものについての映画です。 映画が何か、という答えはたぶん誰にも分かりませんが、不思議な現実だなという驚きを感じることが、僕はとても面白いと思っています」。
 続いてシム・ウンギョン演じる李、堤 真一演じるべん造の掛け合いの演出について聞かれると、「原作であるつげ義春さんのマンガがベースにあり、マンガのとおりの台詞もあれば、僕が少し加えたものもありますが、原作自体に、悲しみもありながら、軽やかな笑いもあるんです。それを映画で演じるのはとても難しいんじゃないかと心配していましたが、シム・ウンギョンさんと堤 真一さんの2人が、丁寧に、真剣に演じてくださったからこそ、軽やかになったのだと思うんです。2人は別に笑いを取ろうなんて思っていません。 役として、本当に人生について考えている。 その姿に、僕も愛着があるし、チャーミングだなと思っています。今日、皆さんもそれを感じてくれたんだなと思って、もっと2人の会話を書けばよかったなと思ったぐらいです」と原作の持つ力、さらに俳優の存在について語った。

 監督の演出について問われると髙田からは「監督に、劇中映画の登場人物だということを意識してお芝居をしたほうがいいのか、と伺ったときに、そこはよく考えなくてもいい、とにかく、万作君らしく芝居をしてくれれば、とおっしゃっていただき、すごく自然に、自分らしく臨むことができました」と、オーディションで本作に抜擢された際のエピソードを明かした。

 さらにシム・ウンギョンが本作への想いを「ここ数年間いただいた台本の中で、この映画の台本が一番好きでした。というのも、この物語自体が私の物語のように感じられたからです。誰もが、李のような状況になったことがあると思います。この映画を観ながら、スクリーンの中に入って、自分自身を見つけるための旅を一緒にできればいいな、と思っています。この映画は、私にとって運命のようで、もし、私がいつか自伝を書くとしたら、まさにこの映画のとおりになるだろうと思うくらい、とても親しみを感じました。そして、これはみんなの物語でもあると思います」と語った。

 最後には、監督からは「何回観ても楽しめる作品だと思います。ぜひ、また観てもらえたら嬉しいです」、シム・ウンギョンからは「たくさんの方に一緒に旅に出ていただけたことを本当に感謝しています」、髙田万作からは「とにかくたくさんの人に観てほしいです。この映画は観れば観るほど魅力が増していくし、不器用で純粋な登場人物たちに、必ず心を奪われるのではないかと思います」と改めて胸の内を明かし、歓声も飛び交う和やかな雰囲気のなか、イベントは終了した。

© 2025『旅と日々』製作委員会
公開表記

 配給:ビターズ・エンド
 11月7日(金) TOHOシネマズ シャンテ、テアトル新宿ほか全国ロードショー

(オフィシャル素材提供)

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