
登壇者:窪塚洋介、松田龍平、千原ジュニア(お笑いコンビ・千原兄弟)、芋生 悠、渋川清彦、豊⽥利晃監督
窪塚洋介と松田龍平がダブル主演を務める映画『次元を超える』のDolby Atmos完成披露試写会舞台挨拶が都内で行われ、窪塚と松田、共演者の千原ジュニア(お笑いコンビ・千原兄弟)、芋生 悠、渋川清彦、そしてメガホンを取った豊⽥利晃監督が出席して、クロストークを繰り広げた。

本作は、豊田監督の7年ぶりとなる長編作品。 “狼よみがえり信仰”を軸に『狼煙(のろし)が呼ぶ』(2019)、『破壊の日』(2020)、『全員切腹』(2021)と毎年、混沌の時代に挑む作品「狼蘇山シリーズ」を生み出し、2022年に映画『生きている。』を発表。本作は、短編『狼煙が呼ぶ』に始まる、「狼蘇山シリーズ」の集大成となる。舞台を宇宙まで広げ、時空を超越するような壮大な人間の物語を作り上げた。
孤高の修行者・山中狼介役を演じた窪塚は作品について「豊田版『火の鳥』が完成しました」と紹介した。オファーがあったときを振り返って、「豊田監督は、ず―っと“SFがやりたい”と言っていたので、そんな作品にオファーしていただき、“本当にやるんだ!? シリーズ(「狼蘇山シリーズ」)が完結するんだ”と驚きました」と話した。

謎の暗殺者・新野風役を演じた松田は「脚本を読むと、実際にやってみないと分からないシーンが多くて、どうなるかな?と撮影を楽しみにしていました」と話す。以前出演した『I’M FLASH!』(2012)と『破壊の日』と同じ役名のキャラクターを演じることについては「役がそのまま繋がっていて、嬉しかったです」と話した。

SF要素も加わり、他に類をみない内容と技法が惜しみなくそそがれる本作について、豊田監督は「『泣き虫しょったんの奇跡』以来、7年ぶりに手掛けた長編フィクション作品です。多くの観客に届きますように!」と願った。

窪塚と松田は、今作が『破壊の日』以来、5年ぶりの共演となる。窪塚は「前作ではスレ違うだけだったので、今回では俳優・松田龍平と対峙する楽しさを存分に味わえました」と手ごたえを明かす。また、「昔、豊田監督と『青い春』(2002)をやっていたころに俺が『ピンポン』やっていて、龍平を認識したころの松田龍平がそこに現れて対峙する――。そういうエモい現象に陥ったりしながら楽しい時間を過ごさせてもらいました」と続けた。

松田は、窪塚について「今回はお芝居の現場で会って、窪塚くんの恰好がロン毛で肌が焼けていたので、メチャ洋介だなって(笑)」と印象を話し、「あれは何で焼いたの?」と質問。窪塚が「焼いたほうが山伏らしい」と役作りだと答えたが、松田が「ヴァカンスに行ってたんじゃないの?」と返し、普段の楽しいやり取りで客席を笑わせた。

危険な宗教家・阿闍梨役を演じた千原ジュニアは豊田監督とは『ポルノスター』(1998)、『ナイン・ソウルズ』(2003)などでタッグを組んでいる。「『ちょっとだけのシーンだから、出てくれない?』と監督に言われたので『いいですよ』と現場に行ったら、メチャクチャセリフのある役だった(苦笑)。法螺貝もスタジオに入って練習させてもらった。それと、現場では皆さんに優しくしてもらいました」と撮影を振り返る。また、法螺貝について豊田監督が、どこにでも持って行って吹いていると言い、窪塚が「ミッドタウンで(法螺貝を)吹いていたそうです」と明かすと、豊田監督は「ビルの中で響きがよかった」とにっこり。

狼介の恋人・野々花役の芋生は『全員切腹』に続いてのヒロイン役。「豊田監督作品は大好きです。出演させていただいて光栄です」と大きな笑顔。そして、「豊田監督はセリフで音の響き方とかも丁寧に教えてくださいます」と監督への感謝を伝えた。続けて「監督がこの作品に魂をそそいでいる姿が見られました」と現場の様子も話した。

鉄平役を演じた渋川は団吉役の切腹ピストルズの隊長・飯田団紅と狼蘇山シリーズの常連(『破壊の日からの登場』)。コンビで動き、コメディリリーフ的役回りを熱演して強い印象を残している。

窪塚は豊田監督について「監督は柔和になられた。怒りと祈りの人だと思っています。おおらかさで包んでくれる……」と印象を話した。

最後に、窪塚は「普段見慣れないほどの余白を持っている映画です。何を観せられているんだろう……と自分の解釈で楽しんでください」とメッセージ。窪塚に松田も同調し、「楽しんでください」。豊田監督は「観客を宇宙の果てまでブッ飛ばそうという思いで作りました!」と観客の期待をあおった。

(取材・文・写真・福住佐知子)
公開表記
配給:スターサンズ
10月17日(金)よりユーロスペース他にて全国順次公開