イベント・舞台挨拶

『見はらし世代』公開記念舞台挨拶

© Olivier Vigerie

 登壇者:黒崎煌代、遠藤憲一、井川 遥、木竜麻生、団塚唯我監督

 世界から注目を浴びる団塚唯我監督の長編デビュー『見はらし世代』がついにBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、新宿武蔵野館、アップリンク吉祥寺ほかにて全国公開した。

 この度、黒崎煌代、遠藤憲一、井川 遥、木竜麻生、団塚唯我監督が登壇し、公開記念舞台挨拶を実施した。
 カンヌ国際映画祭で日本史上最年少監督作品として選出されてから今日に至るまで、上海、ポーランド、メキシコ、ニュージーランド、オーストラリア、香港、スペイン(サン・セバスティアン)、カナダ、更にこれからはノルウェー、アメリカ(シカゴ)、フィリピンと、12ヵ国の映画祭で上映される本作。キャスト、そして監督がついに10月10日に日本公開を迎えた気持ちや撮影中のエピソードなど、それぞれの思いを語った。

 10月10日に初日を迎えた本作、公開2日目となるこの日にも大勢の観客が来場。映画上映後、キャスト、監督がステージに来場すると大きな拍手が送られた。

 本作は黒崎と団塚監督にとって映画初主演、初長編監督ということになるが、あらためて映画の初日を迎えた気持ちを「この映画は今年の1月、去年の夏と今年の1月に撮ったんですけど、去年の夏と今年の1月に撮影を行って。本当に長いようで一瞬だな、という気持ち。ありがたいことに、カンヌ国際映画祭とか、いろんな映画祭に参加したので。昨日から公開できてうれしい気持ちでいっぱいです」と挨拶した黒崎。

 団塚監督も「言いたいことはだいたい同じなんですが、自主映画をつくってきた身としては、映画が完成することもそうだし、そもそも上映できること自体、奇蹟的なことだと思っているので。こんな素敵な場所で上映できてうれしいです」と晴れやかな顔を見せると、「実は昨日の初日に、ここでトークショーをやったんですけど、その時に黒崎くんも観に来てくれたんです」と明かして驚いた様子の会場内。その言葉に黒崎も「僕、客席に座ってました。いつか(壇上に)呼ばれるんじゃないかと思ってドキドキしてました。本当に普通にパジャマみたいな格好で行ってたんで」と笑ってみせた。

 今年5月に開催された「第78回カンヌ国際映画祭」の監督週間に、日本人史上最年少となる26歳で選出され、日本国内でも大きな話題となった本作。ベテランである遠藤と井川にとって、この若き監督との仕事は新鮮な経験だったという。遠藤は本作への参加を振り返り、「正直、最初は低予算の小規模な作品で。みんなで手作りで作っていくみたいなスタートだったんです。しかも監督は若い子で、初めて会った時は『嘘だろ』と思ったぐらい」と振り返ると、「それが、あれよあれよで完成して。カンヌに選ばれて。今、十何ヵ国もの映画祭に呼ばれている。本当に不思議な作品だなとすごく感じてます」と驚きを隠せない様子だった。

 一方の井川も「最初に監督とお会いした時も、すごくシャイで。気持ちが落ち着いてからにお話しましょう、みたいな感じで。すごく緊張されていたんです。でも、その純粋さみたいなものがこの映画の核にあるような感じがしました」と述懐。だが実際に団塚監督との映画づくりに参加してみて「そのフレッシュさと裏腹に、とても鋭いんです。こんなに若い監督なんですけど、成熟した視点が素晴らしいなと。だからすごく手作り感のある現場だったんですけど、(映画をめぐる環境が)どんどん盛り上がってきていて。今日こうして公開日を迎えられたこともすごく光栄に思っていますし、一番いい形で映画が広がっていく瞬間に立ち会えている感じがして、すごく嬉しく思います」と感慨深い様子で語った。

 本作の英題は『BRAND NEW LANDSCAPE』。「新しい景色」という意味を持つこのタイトルにちなみ、登壇者たちには、これから見てみたい「新たな景色」という質問がぶつけられた。

 それにはまず団塚監督が「今回、たくさんの取材を受けさせていただたいたんですが、9割9分ぐらいの方に『次は何を撮るんですか?」と聞かれまして。本当に皆さんの期待をひしひしと感じているので、新しい映画をすごい良い形で届けられるようなりたいなと思いつつですが」と切り出しつつも、「でも正直言うと、今日まで『見はらし世代』にお客さんがたくさん入ってほしいなとしか考えてなくて。次回作のことは何も考えてなかった。だから取材で聞かれてどうしようかと思っていたんですけど、これからゆっくりと少しずつ形にできたらいいなと思ってます」と正直にコメント。それには木竜も思わず「正直すぎる」と笑ってしまうひと幕もあった。

 続く木竜は「わたしはこの映画のこと、この映画を一緒に作ったチームの皆さんのこともすごく大好きなんです。なので、昨日から無事に公開して。こうやって映画を観に来てくれる皆さんがこんなにいて。こうやってここで挨拶ができていること。ここから見ている景色がとんでもなく素敵で。できればまた団塚さんと、ここにいる皆さんと、ここにはいないけれど一緒に力を持ち寄った皆さんと作品を作って、ここでまたこういう景色が見られたらいいなと。今、すごく思いました」としみじみ。

 さらに井川が「来年で50歳になるんですけれども、映画というものにすごく久しぶりに参加したんです。けっこう間が空いたんですが、またこうして呼んでいただけたことがすごく嬉しくて。50歳になった時に、今のような活動をしているような自分を想像してなかったので。まさに見たこともない景色を、来年迎えるんですけど、その前に今日、こうしてここに登壇させていただいていることもそうですし、こうした映画に参加できるということにも感謝して、次に繋げていきたいなと思っています」としみじみと語る

 さらに遠藤が「俺は64歳になるのかな」とおどけてみせると、「60代はだいたいこういう感じ、というのが見えてきたんで。70になっても、とりあえず元気で。こういう新しいエネルギーを持った人たちと再度、元気にやれたら嬉しいなという感じですかね」と力強く続けると、黒崎が「もう一度、カンヌ国際映画祭の景色を見てみたいかなと思います」と決意を語るひと幕があった。

 そんな大盛り上がりのイベントもいよいよ終盤。最後のコメントを求められた団塚監督は「この映画は、家族について、街について考えながら初めて作った長編映画です。この映画館から出てすぐのところに、この映画のロケーションとなった場所がたくさんあって。今日は雨なんですけど、よかったら、ちょっと歩いてみてもらって、感じる部分があったらいいなと思っております。先ほど木竜さんもおっしゃっていたんですけど、僕もまた皆さんとご一緒できるように頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いします」と語りかけた。

 そして黒崎も「映画が公開するというのは本当に奇跡に満ちたものなので。そういう奇跡が皆さまのおかげで成り立っているわけで。本当に感謝の思いでいっぱいです。そしてまたこの場をお借りして……団塚さん、本当にありがとうございました。本当にこれからの日本の映画を引っ張っていく監督になると、絶対に確信しておりますし、そのデビュー作に携われて嬉しかったです。そして本当に……なんか言おうと思ってたんだけど……」とたどたどしく語ると、木竜が「これから告白するの?」とツッコんでみせて会場は大笑い。その言葉に照れくさそうな顔を見せた黒崎は「本当に感謝の思いを述べようと思ってたんですけど、なんか本当に……間違いなく日本を引っ張っていく方になると思うし、我々もまたご一緒できたらと思います。監督、おめでとうございます。本日はありがとうございました!」と力強く語り、会場を大いに沸かせた

公開表記

 配給:シグロ
 絶賛公開中

 (オフィシャル素材提供)

関連作品

スポンサーリンク
シェアする
サイト 管理者をフォローする
Translate »
タイトルとURLをコピーしました