
第三回東京インディペンデント映画祭授賞式
登壇者:藤井道人(映画監督)、吉岡里帆(俳優)
受賞作品監督:寺田悠真(監督)、宮部一通(監督)、chavo(監督)、西端実歩(監督)、高平桃見(監督)
次世代の若手映画監督の登竜門映画祭【第三回東京インディペンデント映画祭】の授賞式が11月1日、WATERRAS COMMONホールにて実施された。
審査員長の藤井道人(映画監督)、特別審査員の吉岡里帆(俳優)、審査員の臼井真之介(東宝)、行実良(スターサンズ)、SYO(映画ライター)、根本飛鳥(録音技師)、菅井ひなの(映画祭学芸員)、受賞作品監督の寺田悠真監督、宮部一通監督、chavo監督、西端実歩監督、高平桃見監督が登壇した。
「次世代の映画監督を育成する」をモットーに、新たなムーブメントを呼び起こす「夢のある映画祭」として2022年に誕生した東京インディペンデント映画祭。グランプリ作品受賞監督には、総額1,500万円規模のスカラシップ支援のもと、藤井道人監督プロデュースによるオリジナル作品の制作権が授与される。
受賞式ではプレゼンターを藤井監督と吉岡が務めた。入選には西端実歩監督の『エッセル坂を越えて』と高平桃見監督の『軽トラック娘』が選ばれ、審査員特別賞にはchavo監督の『BARA』が選出。準グランプリには宮部一通監督の『つぐない』が選ばれた。そして栄えある「第三回東京インディペンデント映画祭」グランプリは、寺田悠真監督の『NOVA』が受賞した。

次グランプリ受賞の寺田監督は「本当に選んでいただき、光栄に思います。映画監督を目指して二十歳の頃に上京し、今は助監督をやりながら監督を目指しています。本作はその中で出会った仲間と一緒に作って3年程かけて完成させました。本作が監督への足掛かりになったらいいなと思います。『NOVA』は劇場公開もしたいと考えていますので、ご興味あれば御声がけください」と呼び掛けた。

一方、吉岡は「私にとってインディーズ映画は特別なものです。10代の頃に映画をやってみたいと思って、でもいきなり商業の世界には出れない中で、私に声をかけてくれた学生の友人たちや監督を目指している友人と出会って、そこでみんなで映画を作りました」と若かりし日々を回想。続けて「観てくれたのは数少ない人数だったのかもしれませんが、完成した作品に対して誰かが感想を言ってくれて輪が出来ていきました。映画はそういう力があるといつも思います。一つの作品が出来るとそこに大勢の人が集まって、普段起こらなかったような奇跡が起きる」と実感を込めた。

現在は商業作品で大活躍中の吉岡だが「インディペンデントで培った感覚やその時に覚えた感動を今でも引っ提げで頑張って仕事をしています。これから自分の仕事を頑張る時に、観てくれた方々にどんな感情になってもらいたいか、どんな新しい価値観を見てもらえるのかという事を、今回の受賞作品から学ばせていただきました。今後も受賞した監督の皆さんや会場にいらっしゃるみなさんと御仕事で出会えるよう頑張っていきますので、何かありましたら御声掛けください」と志を新たにしていた。
藤井監督は「どの作品も技術的に素晴らしいものがあって、それぞれの監督たちに語りたいストーリーがありました。その一つひとつの苦労を同業者として理解して審査するのはおこがましい行為だとは思いつつ、誰かにバトンを渡さないと循環していかないことも理解していますので、今回は寺田監督に面白い映画を作ろう!とバトンを渡しました」と明かし、「それら活動が循環して日本の芸術文化が海外の人にも受け入れてもらえるよう、今後も東京インディペンデント映画祭を続けていたいです。この映画祭が全国、全世界に広がることを祈ると共に、僕もプレイヤーとして日本映画の振興のために頑張っていきたいです」と意気込んだ。
さらに、「第二回東京インディペンデント映画祭グランプリの秋葉監督の映画『東京逃避行』を長編映画として、無事完成して、今日最速試写会が行われます。自分も忙しい中で毎回この本打ちに参加して、秋葉監督と何がここが何でこうなっているのか分からないとかぶつかり合いながら脚本を作ったんですけども、完成した映画を見て、23、24歳の彼が今の社会に訴えたいこと、対話したいことみんなでこの映画を持って議論したいことが詰まっている映画だと思いました。来年の公開に向けて たくさんの人に観てもらえることを、僕もプロデューサーとして見守っておりますので、今日を皮切りにたくさん盛り上げていただければなと思います」とエールを送った。
映画『東京逃避行』最速試写会アフタートーク

登壇者:寺本莉緒様、池田朱那様、秋葉 恋監督
同作は、第二回東京インディペンデント映画祭にて、審査員の藤井道人、特別審査員の綾野剛らに選出され、グランプリを受賞した秋葉恋監督の短編を長編映画化したもの。出演者の寺本莉緒と池⽥朱那、そして秋葉 恋監督が登壇し、会場は約120名の観客で満席となり、上映後には熱気あふれるアフタートークが行われた。
家庭でも学校でも居場所を失い、憧れと逃避心を抱えて歌舞伎町に来た高校生・飛鳥を演じた寺本は「多くの人が目を背けていた部分がリアルに映画になるのは、観る機会も知る機会も少ないと思います。多くの方にトー横の現状を知ってもらいたいですし、この映画で救われる子もいると思うので、SNS等で感想をつぶやいて一緒に『東京逃避行』を盛り上げていただきたいです」と期待を込めた。
田舎を飛び出してトー横で暮らし、界隈から人気を集めているネット小説『東京逃避行』の作者・日和役の池田は「キャストスタッフみんなで愛情をたくさん込めて作った映画です。こうして無事に皆さんにお届けすることが出来て幸せです。公開は来年の春なので劇場でもう一度ご覧ください」とアピールした。

長編監督デビューの秋葉監督は「10代最後の初期衝動のような短編が、こうして多くの方の力を得てここまで来られたのは感謝でいっぱいです」と感極まりながら「何者でもない23歳の映画好きのガキが、本作によって映画監督という居場所を頂きました。この映画をきっかけに映画を仕事として続けていきたいという覚悟が出来ました。この先本作を必要としている人たちに届けられるよう精進いたします」と誓った。
実際の歌舞伎町でロケを敢行。秋葉監督は「短編からこの長編を撮るまで2年の時間があったけれど、歌舞伎町にいる人たちは変化しているようでいて変わっていなかった。確かに怖い部分もあるけれど、歌舞伎町での撮影は温かく、僕はこの場所が好きだと思った」と回想。

寺本は、「歌舞伎町をずっと走ってたんですよ。本当に歌舞伎町で撮影できるのって結構厳しくて、1回で、絶対1回で決めようって。10分くらい回しっぱなしのカットが1個あるんですよね。それを必死に練習しました」とエピソードを披露。
池田は「エキストラとして実際にその場にいる人が参加してくれたりして。出演承諾書を書いてもらわねばならず、スタッフさんが大変そうでした」とリアルな撮影状況を報告すると、リアル一般人参加の事実を知らなかった寺本は「えー!? 本当に!? 知らなかった!」とビックリしていた。
共演者のエド役の綱 啓永、メリオ役の高橋 侃については、寺本と池田は「お二人ともすっごく優しかったです。休憩中とかも役のままでいらっしゃるので、すごく役に入りやすかったですし、全然違和感なくお芝居できました。」と語った。
本作でエグゼクティブプロデューサーを務めたのは藤井道人。秋葉監督は、「初期のプロットの段階から二人で、これが公開される頃の歌舞伎町はどうなっているのか、など話していて 藤井さんからは、俳優部に聞かれて、 脚本のことで答えられないことが1個でもあったら許さないと言われ、それはすごく大事なことで覚醒しました」と振り返った。
会場は温かな拍手に包まれながらイベントは幕を閉じた。
■BABEL LABELとは
BABEL LABELは東京を拠点とするコンテンツスタジオで、映画、ドラマなどを数多く手掛けております。
映画『正体』、映画『⻘春 18×2 君へと続く道』、映画『余命10年』の藤井道人を筆頭に、映画『帰ってきたあぶない刑事』の原廣利、Netflixシリーズ「イクサガミ」の山口健人など気鋭の映像クリエイターが所属しており、国境を超えてあらゆる映像領域で、今の時代を表現していきます。
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