イベント・舞台挨拶

『次元を超える』大阪舞台挨拶

© 次元超越体/DIMENSIONS

 登壇者:窪塚洋介、豊田利晃監督

 絶賛公開中の『次元を超える』。11月2日(日)に、主演の窪塚洋介・豊田利晃監督が、大阪・kino cinéma心斎橋にて舞台挨拶を実施した。二人映画の制作秘話や演技へのアプローチ、そして観客へのメッセージなどを語った。

〜観客の想像力に委ねられた「余白の多い映画」〜

 豊田監督は「この映画、観終わったは、もう全員ポーンとしてますから」と、観客が放心状態になることを示唆しつつ本作を「余白の多い映画」だと表現し、トークはスタートした。

 豊田監督「この映画の最初で千原ジュニア扮する阿闍梨が言っているように、物語は自分で作ってくれ、と。皆さんにあの物語を作って完成させてほしい。エンディング曲のThe Birthdayの『抱きしめたい』も自分の気持ちが入っているので選曲させていただきました」。

 窪塚「パンフレットにある、この映画に足りない、もしくはこの映画にとって実は一番大事だと思う要素が愛だけど、それをうまく描けなかったんじゃないかなっていうのを、The Birthdayのチバさんが音楽でカバーしてくれたというか、それでピースが埋まった。というのを読んで、なるほどと思いました」。

 窪塚は、「狼蘇山シリーズ」を通して「余白だらけ」であり、観客の想像力に任される、あるいは試される作品だと評した。
 窪塚「最近こんなにね、こちらに委ねてもらう作品ってそうないから、本当に委ねられてるんだなと思った。監督がさっきもおっしゃってましたけど、余白が本当に多くて。この生まれ変わりがこいつかなとか、この出来事がこれに繋がってるのかなっていうようなことが非常にこちら側(観る側)の想像力に任される作品」と語った。

〜次元を超える演技・脳波が変わる瞬間〜

 本作のテーマの一つである「次元を超える」という概念は、窪塚自身の演技アプローチとも深く関わっている。
 窪塚は、主演の狼介という役について、自身(窪塚洋介)とはかけ離れた役のように感じられるかもしれないが、マインドセット的には役作りが必要なかったと語る。
 窪塚「すっとセリフが入ってくるんですよね。難しい、一見難しそうなセリフも自分の中にすごく染み込んでくるというか、なんだったら自分のほうから湧いて出てきてそこに届くっていうか」。
 窪塚は、以前行った脳波の測定実験について明かした。通常時の脳波は普通だが、芝居をしている時の脳波を測定したところ、「夢を見ている状態の脳波」が出ていたという。
 窪塚「僕がこう、役をやってる時っていうのは、この現実から一回切り離されて夢の世界で、その役を生きてるっていう感覚になっている。それはそれで次元を超えてるなと思いました」。
 これに対し豊田監督は、将棋のプロの集中力実験でも睡眠状態の脳波が出ることがあるというエピソードを紹介し、窪塚の演技のアプローチに共感を示した。

〜怒りと祈り、そして視点を変える重要性〜

 窪塚は、豊田監督の映画の作り方は、監督自身の体験や感覚からしか生まれず、作品の中に一貫して「怒り」と「祈り」が深く入っていると指摘する。
 豊田監督は、過去には直接的な「怒りの映画」を多く作ってきたが、それでは何も変わらないのではないかという気もしてきたと語り、現在の自身のテーマを語った。
 豊田監督「視点を変えるっていうことが今のこの時代に重要じゃないか。物の見方の視点を変える」と言い、窪塚も「俺もなんかすごい好きな言葉で、世界を変えることは難しいしできないけど、だったら自分が変われば世界が変わる」と言い、幸せな方へチューニングを合わせることで、生きる世界を変えることができるという考えを述べた。

 また、来場者からの質疑応答では、「豊田作品では、世界に対する不条理や怒りが常にテーマにあると思うが、本作についてはどうか?」という質問に対して、豊田は「直接怒りの映画が結構多く作ってたんですけど、もうそれは何も変わらないんじゃないかなっていう気も少しして。だから視点を変えるっていうことが今のこの時代に重要じゃないか」と応えた。

〜映画館への熱いメッセージ〜

 最後に、豊田監督は映画館で映画を観る意義について熱く語った。
 豊田「最近配信の世の中、若い人の多くは映画館で映画観ないんですけど、kino cinéma心斎橋は、いいところに映画館があるんで、ぜひ映画館で映画を観てください。あの、音が良いです。それだけは保証します」。
 窪塚「知らない人たちと共有してる時間っていうのもまた映画館ならではないか、と思います」と締めくくった。

公開表記

 配給:スターサンズ
 絶賛公開中

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