イベント・舞台挨拶

『愚行録』ティーチ・インつき試写会イベント

©2017「愚行録」製作委員会

 1月27日(金)、映画『愚行録』のティーチ・インつき試写会イベントが開催され、上映後に石川 慶監督が登壇した。

 石川 慶監督は「ティーチ・インは初めてなので、勝手がよくわかない部分もありますが、よろしくお願いいたします」と、緊張気味で挨拶。「愚行録」という作品との出合い、ポーランドで学んだ映画術、ココでしか言えない撮影秘話などを熱く語った。

MC:大学では物理を勉強されたと伺っております。そもそも、監督を目指したきっかけはなんだったんでしょうか?

石川 慶監督:ずっと「映画を撮りたい」と思っていたのですが、中々映画を勉強できる環境に至らず……。物理をずっと好きで学んでいたので、まずは僕自身が一番興味がある方向に進みました。

MC:監督はポーランドで映画を学んだそうですが、なぜポーランドだったんですか?

石川 慶監督:映画学校に行くことを考えた時に、アメリカに行くのも考えたんですけど、自分の一番好きな監督やハリウッドで活躍している監督などはヨーロッパから来ている方が多くて、ヨーロッパで学ぼうと思いました。そこでなんとなく旧社会主義圏の映画学校に行こうと考えました。もともと旧社会主義圏の映画学校って国策として映画を撮っていきましょうという理念で学校を作られていて、学校というよりもスタジオに近い感じなんですね。それが面白くて、ここで試してみたい、あとはヨーロッパ中から映画をやりたいと考えている人たちが集まってるところでやってみたいなと考えました。

MC:『愚行録』を撮るに至っての経緯をお伺いできますか?

石川 慶監督:最初、プロデューサーとリサーチしている中、「愚行録」に出会いました。「愚行録」の原作に出会って読んだ時に感じたのは、ミステリーというより、一つひとつのディテールがすごく美しいと感じました。あとは、登場人物がどいつもこいつも愚かな面があって、いつの間にか自分も同じテーブルにいるように感じてもらえるんじゃないかと思いましたね。フィクションというよりも、今の日本の縮図というものを感じまして、これをやってみましょうという話になりました。

MC:今回主演の妻夫木さん、満島さんの演じたキャラクターはどうやって作っていったのでしょうか?

石川 慶監督:妻夫木さんはまだ脚本もできてない状況で、一番最初に手を上げてくれたんです。ただ原作を読んでいただき、「田中が登場しないじゃないか!?」と言っていました(笑)。でも妻夫木さんが最初に手を上げてくれたからこの企画が進んだと思いますね。最初は、この田中というキャラクターを中心に物語を構成していきました。そこで、原作にはない、あの冒頭シーンもあえて入れて“愚行”を象徴するようにしました。
 満島さんは、現場でも、現場以外でも、本当にとことん話し合いました。例えば、デーブルにつく登場人物同士の距離感について30分かな……いや、1時間ぐらいは話しましたね(笑)。とにかく話し込んで話し込んで役を作り上げたので、満島さんは真正面から本気でぶつかってくれる人だと痛感しましたね。

観客:登場人物の中で、印象に残っている人物は?

石川 慶監督:自分の学生時代を思い出しては、一番近かったかと考えるのは、尾形孝之(中村倫也)ですね。宮村淳子(臼田あさ美)が緒方に対して「もうちょっと上を目指して欲しいわ」というセリフがあるんですけど、実は、学生の時に付き合ってた人に同じことを言われたんですよね(爆笑)。だから緒方には親近感が湧きます(笑)。

観客:過去の回想シーンでは、カメラが揺れているような動きを感じました。何か狙いはあったんですか?

石川 慶監督:今回の作品は非常にシンプルな会話劇なのです。現在から過去を回想し現在に戻るような……。そこで、過去と現在どう区別しようかを考え、三脚を使って撮影したり、手持ちカメラで撮影したり、違うレンズを使ったりとキャラクターへの距離感を過去と現在で違ったように見えるように工夫しましたね。

観客:どのキャラクターもどうしようもない人たちなのに、どうも嫌いになりきれないと思って、監督の人間への温かさを感じました。何か意図があったのでしょうか?

石川 慶監督:それは僕の人間不信な面が逆に出ているんだと思います(笑)。良い人の悪い面や、悪い人の良い面を見てしまうところがありまして。この“愚行”を際立たせるには、登場人物の悪い面だけではなく良い面も描かなければと思ったからですね。でも嫌な演技をして、嫌な演出をして、嫌な音楽を使って、嫌な編集をすることって、あまり難しいことではなくて、『愚行録』で何をしたかったかというと、嫌な人間かは置いといて、このモヤモヤした感じ、この怒りをどこにぶつければいいのかというのを最後観ている方に残したいと思って撮りました。

MC:最後にご挨拶をお願いいたします。

石川 慶監督:ヴェネチアでもジャパンプレミアでも上映しましたけど、可能なら、みなさん一人ひとりとお茶でも飲みながら感想を聞きたいです。今日は本当にありがとうございました。

登壇者:石川 慶監督

(オフィシャル素材提供)

公開表記

配給:ワーナー・ブラザース映画/オフィス北野
2017年2月18日(土)、全国ロードショー

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