インタビュー

『メカニカル・テレパシー』吉田龍一 オフィシャル・インタビュー

© Akiko Igarashi

 「心を可視化する機械」を巡る3人の男女の物語、五十嵐皓子監督の初長編映画『メカニカル・テレパシー』の主演・吉田龍一のオフィシャル・インタビューが到着した。

吉田龍一

 1989年5月28日生まれ。大阪府出身。
 映画を中心に活動。作品共に高く評価され、『インフォ・メン 獣の笑み、ゲスの涙。』(17)のメインキャストに抜擢。鋭くも圧迫感ある狂気と切なさを兼ね備えた人物を好演。引き付けられる独特の存在感で人気を博す。
 近年ではフランス人監督作品『UNZARI』や『彼岸のふたり』(21)への出演など国内外問わず可能性を広げる。

本作への出演の経緯をお教えください。

 関西だと、「映画=シネアスト・オーガニゼーション大阪(CO2)」という程知名度がある、映画の製作を行っている組織があって、関西で活動をしているのであれば、そこで1回はやってみたいという想いがあり、交流を持たせていただいたのがきっかけです。石井裕也監督などが若い頃にそこで映画作りに励んでいらっしゃったので、登竜門ではないですけれど、そこで1度やってみたいと思って、オーディションから参加させていただきました。

その中から、最後の1人に選ばれたんですよね?

 はい、助成制度に、映画の1作の主演ができる俳優枠もあって、俳優が全国から集まって、オーディションをするんですけれど、200〜300人が集まって、ありがたいことに、その中から選んでいただきました。CO2は何十年も映画製作の取り組みをされていたんですけれど、ラスト・イヤーに選んでいただきました。

碧は、キャリアウーマンでありながら、「どうしよう、間に合わなかったら」という弱い部分のギャップも魅力的だと思いましたが、真崎は碧のどこに惹かれたと思いますか?

 何か真崎に対して優しさをくれたからとか、見た目が綺麗だからだとかで惹かれたのではなく、碧さんが草一さんを必死に思い続けるその姿に惹かれたのではないかと思います。

碧役の白河奈々未さんとの共演はいかがでしたか?

 白河さんはお綺麗な方なんですけれど、碧という役柄もあったからか分からないですけれど、最初は近寄りがたい印象があったんです。けれど、カメラが回っていないところだとか、クランクアップ後にお話しさせていただいたら、すごくフレンドリーな方で、全然印象と違うんだと思いました。

実験で失敗して意識不明となっている碧の旦那さんの草一役の申 芳夫さんとの共演はいかがでしたか?

 申さんは、心が広いと言うか、とても穏やかな方で、優しくて、とても温かい方なんです。二人で芝居場に入っていく時に、演じて作られた草一と真崎で会話しているんではなくて、生身の二人でその場で会話できているような感覚がしました。撮影が終わった後に、申さんが、「いいなぁ。楽しいなぁ」と言ってくださったのがとても嬉しくて。僕が感じていたことと共鳴していたんだなと思いました。楽しかったです。

真崎に恋心を抱くアスミ役の伊吹 葵さんとの共演はいかがでしたか?

 芯があって、だけどガラスのように割れそうですごく透き通っていて純粋な印象を感じました。

アスミとのシーンが、本作が言いたいことなのではないかと思いました。真崎も試されますが、そのシーンはどう取り組みましたか?

 真崎もそうですし、登場人物みんな試されているような場面がめちゃくちゃあると思います。その試されている時に向き合うのかで先の答えが変わると思っていて、それって人生観に近いなと思います。そういうのを感じながら言葉を受けていました。

理事長役の青山雪菜さんは、宝塚歌劇団の元星組娘役スターですが、共演はいかがでしたか?

 お芝居では言葉をはっきり話す方で、強い印象を受けたんですけれど、それ以外のところでは、すごく謙虚で素敵な方でした。

印象に残っているロケ地はありますか?

 海です。めちゃくちゃ綺麗でした。撮影は真冬だったんですが、神戸ってめちゃくちゃ寒いんです。真冬の外ロケだったので、ベンチコートを着てやっていました。

完成した映画を観た感想はいかがですか?

 ラスト・シーンで電気が暗くなっていくんですけれど、黒くなって、情景の音だけが流れてくるんですね。その時に、自然と涙しました。「人やなー」とか、「こういうのって人生なのかな」とか、自分が大事にしていたいい思い出、今まで経験してきた思い出、楽しかった思い出が浮かんできました。

本作は、大阪アジアン映画祭のインディ・フォーラム部門で上映されました。観客の反応はいかがでしたか?

 知り合いの海外の方や国内の日本人の方だとかが一緒に観て下さいました。海外の方から「すごく興味深かった。人の本質的なところを描いている作品じゃないかと感じた」と言われ、とても嬉しかったです。

本作で特に注目してもらいたい部分はありますか?

 真崎は秀才で、社会的な世界に生きている人物なのですが、科学的根拠の説明・説得に重きを置いたコミュニティの中で、現代の社会や人の在り方に真崎がすごく重なりました。そういう人たちが自分のエゴとか自分たちの欲のために、目に見えがたいものを可視化すると、一体どうなるのか。何に気づいていくのか。全てを科学的な成長のために成功させることが正しいのかと言ったらそうではないこともあると思うんです。本来、人が人であるべき姿というか、信頼関係や絆って、人が大切にしなくてはいけない部分なのに、科学的な成功を優先させることによって、何か大切な物が消えてしまうんじゃないかなというのを感じています。物語だけでなく、そういうところも踏まえた上で観ていただけたら、より理解しやすいのではないかと思います。

AbemaTVの恋愛リアリティーショー「さよならプロポーズ2」で吉田さんを初めて知った方には役者としてどのようなところを見てほしいですか?

 「さよプロ」に関しては、「ナヨナヨして泣いてばっかり」とアンチもすごく多かったので、「少しは頑張っているんやぞ」という部分を見ていただけたら幸いです。

webインタビューの読者にメッセージをお願いします。

 命だとか心というものに対して、本質的なところがこもっている作品だと思っています。作品を通して少しでも自分の人生観だったり、今の社会であったり、何か気づきになったらと思います。それも踏まえて楽しんでいただけたらと思います。

公開表記

 配給:アルミード
 10月9日(金)よりアップリンク渋谷ほか全国順次公開

(オフィシャル素材提供)

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