作品紹介

『静謐と夕暮』

イントロダクション

 2020年度サンパウロ国際映画祭にて上映。主人公・カゲを演じるのは新人の山本真莉。カゲが出会うキーパーソン・老人を演じるのは入江崇史。「大切な人が生きていた頃の記憶が時間と共に薄れていき、過去を失ってしまうようなモヤついた感覚に陥った」という監督自身の経験が、かつてのあの感覚の正体を追い求め、「人を想うこととは何か」を突き詰めていく作品へと結実。本作は、カゲが原稿に書き記していった「かつて」の時間と、その原稿を読み進める人々の「今」の時間が並行する世界を、記憶の断片のような象徴的な色や映像、そして音といった言語化できないイメージで紡いでいくことで、カゲが今は亡き大切な人を忘れていく自分を受け入れ、再び日常へと戻っていく過程を描く。覚えていることとは。生きていくこととは――。本作は、終わらない問いを、静かに切実に観客へと投げかけていく。

ストーリー

 人気のないアパートに一人住む物書きの〈カゲ〉は、いつも両親と通った川辺の夢を見る。
 その夢で見た景色を追って、今日も川辺に向かうと、黄色い自転車と座る男を見た。男は、〈カゲ〉の隣室に越して来た人だった。夜な夜な隣室から聞こえるピアノの音を漏れ聞くうちに、その男の生態が気になり、毎朝、黄色の自転車に乗って出ていく彼の後ろを追いかけ、この日々を原稿にしたためはじめた。
 そんなある日、黄色い自転車の男が失踪する。
 〈カゲ〉は川のほとりに居座る老人の手に書き終えた原稿を託して、この街を去っていく。
 吹く風に吸い寄せられるように、街の人々は川辺を訪れ、一人また一人と原稿へと手を伸ばす。静謐に満ちた夏の終わりの夕暮が、それぞれの新たなはじまりを告げる。

(2022年、日本、上映時間:136分)

キャスト&スタッフ

監督・脚本・撮影:梅村和史
主演・制作・美術:山本真莉
プロデューサー・録音・編集::唯野浩平
出演:山本真莉、延岡圭悟、入江崇史、石田武久、長谷川千紗、梶原一真、仲街よみ、野間清史、ゆもとちえみ、栗原 翔、和田昂士、岡本大地、石田健太、福岡芳穂、赤松陽生、吉田鼓太良、南野佳嗣、鈴木一博、中山慎悟

ギャラリー

オフィシャル・サイト

https://mitei10kisei.wixsite.com/silence-sunset-jp(外部サイト)

公開表記

京都・出町座にて11月18日(金)より公開

関連作品

スポンサーリンク
シェアする
サイト 管理者をフォローする
Translate »
タイトルとURLをコピーしました