イベント・舞台挨拶

『桜色の風が咲く』完成披露試写会

©THRONE / KARAVAN Pictures

 映画『桜色の風が咲く』の完成披露試写会が都内で行なわれ、主演映画は12年ぶりとなる小雪と共演者の田中偉登(たけと)、今作のモデルとなった福島智教授、メガホンを取った松本准平監督、製作総指揮を努める結城崇史プロデューサーが登壇して作品について語った。

 本作は、9歳で失明、18歳で聴力を失うも、世界で初めて盲ろう者の大学教授となった東京大学先端科学技術研究センターの福島智教授と母・令子さんの実話をもとに描かれたヒューマンドラマ。

 母・令子役を務めた小雪は「この作品が皆さんにお届けできることになって、とても嬉しく思います。(コロナ禍も経て)やっと映画が公開されるんだなとひしひしと感じています」と公開の喜びをかみ締める。演じる役へのプレッシャーについては「人間の懐の豊かさやはかりしれない人生だったろうなと想像しながらも、この作品を多くの人に伝えなければ……という強い思いで演じていました」と話す。また、「監督、スタッフ、キャストが一丸となって大切に丁寧に毎日相談しながら作品を作っていきました」と述懐した。

 さらに小雪は、指文字(指点字)の練習には苦労したようで、「1週間くらいで、勉強する時間がなくて、いつでもどこでも指点字のことが頭に浮かび、寝ている間も残るような感じでした」と集中して練習したことを明かした。役作りについては「智とともに家族として生きていく――。母としては息子の気持ちの少し先を歩いていく感じを心がけて演じていました」と語った。小雪が演じた福島さんの母親は、指点字を発明した人物。

 息子の智役を演じた田中は「撮影から2年が立ちました。実在の人物を演じると言うことで大きなプレッシャーでした。福島教授に実際にお会いしてお話させていただくと、とても明るい方でした。ちゃんと現場で演じることが“出来るかな”というプレッシャーもありましたが、(福島教授の半生を)ちゃんと観てくれる人に伝えなければならないという気持ちでした」と真摯に役作りに取り組んだことを明かした。

 田中は、母役の小雪が撮影現場で、その日の体調や食事のことも気にかけてくれたことを明かし、「本当のお母さんのようでした」と感謝だった。

 今作のモデルとなった福島教授は「最初は僕が主演するのかなぁ~って。そうも行かなくて……(笑)」と明るく話して、会場に笑いを誘う。「僕役の田中さんとは同じ関西出身なので、波長が合いました。エネルギーもガッツもありますね」と自分の役を田中が演じることに満足げな様子。小雪の母役については「兄が『そんなええもんか!』」と驚いていたことを笑顔で明かした。作品については「すごく自然な感じ。自分自身の人生を追体験するような気持ち」と感想を語っていた。そして、「小雪さんは見た目は違っても母親として生きるパワーは私の母と同じで、“これはやっていただけるな”と確信しました」と大満足な様子。

 松本監督は「前作の『パーフェクト・レボリューション』(17)の上映会で対談したときに福島さんにお会いして映画化を決心しました。福島さんは深い洞察力をお持ちで、鋭い感性に衝撃を受けました。福島さんが書かれた多くの著書からは深い感銘を受けました」と福島教授への強い尊敬と信頼を語った。

 最後に、結城プロデューサーは「真面目で地味な作品ですが、心のこもった強いメッセージがある」とアピール。

 松本監督は「母の愛の強さを目の当たりにしながら撮影していました。驚きとともに感動を感じて欲しい」とメッセージ。

 福島教授は「生きていく中で、辛いこと、苦しいことは誰にでもあります。そんな辛さとどう向き合い、生きていくか、そのヒントになれば……」とあたたかいメッセージを伝える。

 小雪は「監督の作品に対する熱い想いや3人の子どもの母としての私、いろいろな想いがこの作品には込められています。福島先生の“生きるエネルギーの強さ”を多くの人に知ってもらいたいなと思います。皆さんが生きている意味、生かされている意味を感じられる作品になっています」と心からのメッセージを伝えた。

(取材・文・写真:福住佐知子)

公開表記

配給:ギャガ
11/4(金) シネスイッチ銀座、ユーロスペース 他全国順次ロードショー

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