映画『ヴィレッジ』完成披露イベントが都内で行なわれ、主演の横浜流星、共演の黒木 華、一ノ瀬ワタル、奥平大兼、作間龍斗(HiHi Jets)、古田新太とメガホンを取った、藤井道人監督が舞台挨拶に登壇した。
本作は、「村」という閉ざされた世界を舞台に、同調圧力や格差社会、貧困、道を誤ったら這い上がることが困難な社会構造の歪み中で生きる人々のリアルな姿を描き、現代社会の抱える闇をあぶりだすヒューマン・サスペンス。
『新聞記者』(19)や『MOTHER マザー』(20)など意欲作を世に送りだし、2022年6月に亡くなったスターサンズの河村光庸プロデューサーが手がけた最後の作品となった。
劇中にも登場する能舞台の篝火をモチーフにしたセットを構えたステージに、燃え盛る炎の中、キャスト陣と監督が登場した。
横浜は藤井監督とは「新聞記者」(Netflix)など6度目のタッグで、今作が初主演となる。髭を蓄えたワイルドな装い。横浜は「渾身の作品が完成しました。一人でも多くの方に届くことを願っています」と語り、並々ならぬ熱意で本作に挑んだことを明かした。
藤井監督は「スターサンズという僕を育ててくれた映画会社の作品で、責任がすごくあって、押しつぶされそうになった瞬間もあったけれど、ホン(脚本)づくりの段階から、流星が励ましてくれた」と横浜の存在に大いに支えられたと話す。
そんな横浜は、「より一層気合が入って参加しました。今自分が役者をやっている中での怖れや迷い、今感じているいろいろなものを監督に伝えました。監督は、それをすべて受け止めてくれて、何度も何度も作り直しながら、愛のある脚本を完成させてくれました」と藤井監督に感謝の思いを伝えた。
閉塞的な村を出ることができず、希望のない日々を送る優を熱演した横浜は「感情を捨ててゾンビのように過ごしてる。優にとっては、それが日常。会社や学校、何かしらのコミュニティに属している人なら共感できることはあるんじゃないかと思い、優として生きていました」と役柄を分析して話した。そんな横浜の撮影現場での様子を、共演者たちが称賛。
優に手を差し伸べる幼なじみ・美咲を演じた黒木は横浜とは初共演。横浜について「集中力がスゴイ。緊張の糸をずっとピンと張られていた」と現場での横浜の姿勢を称賛する。
美咲の弟・恵一を演じた作間は、自身の撮影後に現場を見学していたことを明かし、横浜について「深夜の撮影でも集中力が途切れることなくずっと終わるまで弱音を吐くこともなく、ずっとピシッとした顔でやっていらっしゃった。すごいなと思いました」と、横浜の役者魂を絶賛した。
横浜は、映画は2作目の作間について「すごく実直」と印象を語り、「作品に対するまっすぐな姿勢を見て、すごく好感を持ちました。これからもっとお芝居をやってほしい」と背中を押していた。
借金返済のためゴミ処理場で働く筧龍太役を演じた奥平は「物語が進んでいくにつれ、僕が演じた龍太と作間(龍斗)くんが演じた恵一の進む道も変わっていく。その対比で作品を観るのも面白いかなと思っています」と作品をアピール。
美咲に横恋慕する透役を演じた一ノ瀬は、自身の役作りについて「物語の中では悪役ですが、見る人が見たら“本当に悪いのか?”と思わせることができたらいいなと思いながら演じていました」と語った。
マイペースの古田は村長の大橋修作役。「ロケ先の京都では撮影が終わったら飲んでました。撮休の日は昼から飲んでました」と、会場の笑いを誘う。
この春、新生活がスタートする若者へのメッセージを求められる場面があり、古田は「新年度で“よしやるぞ”って思ってる人はやればいい。そんなに気張らず、肩肘張らずに頑張ってください」とエールを送る。作間は「元気が一番。よく寝て健康でいてください」。黒木は「私は頑張らないことをオススメします。なんとなく友達と遊んだり美味しいもの食べたりして頑張らないでいることも大事です」とアドバイスを送った。
横浜は「人生一度きりだし、明日死ぬかもしれないので、僕は、後悔のないように過ごしたいといつも思っています。皆さんも後悔がないように過ごしてほしい。どん底に落ちてもいいんです。落ちたらあとは上がるだけですから……」と、熱いメッセージを送っていた。
最後に、横浜は「本作のプロデューサー・河村光庸さんの熱い思いを、藤井監督が脚本にして、僕らが体現しました。その思いが詰まった作品が観てくださる皆さんの心に届いてくれたら嬉しいです」とメッセージを送ってイベントを締めくくった。
登壇者:横浜流星、黒木 華、一ノ瀬ワタル、奥平大兼、作間龍斗(HiHi Jets)、古田新太、藤井道人監督
(取材・文・写真:福住佐知子)
公開表記
配給:KADOKAWA/スターサンズ
4.21(Fri) 全国公開