イベント・舞台挨拶

『658km、陽子の旅』完成披露試写会舞台挨拶

©2022「658km、陽子の旅」製作委員会

 今年の6月に中国で行われた第25回上海国際映画祭で、コンペティション部門・最優秀作品賞、最優秀女優賞、最優秀脚本賞の最多3冠を受賞した映画『658km、陽子の旅』の完成披露試写会が都内で行われ、舞台挨拶にキャストの菊地凛子、オダギリジョー、竹原ピストル、黒沢あすか、吉澤 健、風吹ジュンと熊切和嘉監督が登壇してクロストークを繰り広げた。フォトセッション時には脚本家の室井孝介氏も参加した。

 本作は、TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM(ツタヤ・クリエイターズ・プログラム・フィルム=TCP)2019脚本部門の審査員特別賞を受賞した、室井孝介氏のオリジナル脚本を原案に、熊切監督が菊地を主演に迎えて映画化した。

42歳の独身女性・陽子(菊地)に、20年以上も疎遠になっていた父の訃報が届く。東京から青森県弘前市の実家までヒッチハイクをする陽子が、旅先で出会う人々とのトラブルや温かい交流を通して、他人と関わることで長年引きこもりがちの生活だった自分への後悔をあらわにし、孤立した心を癒やしていく姿が描かれる……。

主人公の陽子を演じた菊池は、熊切監督とは2001年に公開された『空の穴』以来のタッグとなる。上海映画祭授賞式での思いを聞かれると「映画祭の会場が広くて、私たちはど真ん中の席に座っていたのですが、『受賞はないよね』と思っていました。来られてよかったと思っていたら、自分の名前が呼ばれ、ビックリしました。受賞は光栄ですし、初めて(作品を)観ていただける場所。皆さんの反応が温かかったです」と、感慨深げに振り返った。

授賞式の模様を撮影していたという熊切監督は菊地の受賞を確信していたという。「感極まった。感動しました。こみあげるものがあって手が震えてしまった」と告白した。熊切監督は、妻と共同のペンネーム「浪子想」で共同制作した脚本で、最優秀脚本賞を受賞した。さらに、作品賞をも受賞した熊切監督は、「頭が、真っ白になった」と、笑いながら振り返っていた。

 陽子が旅の道中で出会う人々を演じた共演者のひとり、竹原は、熊切監督作品は5作目となる。「久しぶりの撮影現場で、懐かしくて胸がギュッとしました」と熊切監督と久しぶりのコラボに喜びを溢れさせる。「監督はカットを掛けたあとに『イイスッネ』って言うのが昔からの口癖で。今回は『ナイスカットですね』という初めての口癖が増えていました(笑)」と熊切監督の演出時の口癖を披露した。

 菊池との共演について聞かれた竹原は「一緒にいて居心地がとても良かった」と話すと、共演の黒沢も「居心地が良かったです。黙っていてもその瞬間を共有できました」と思いを馳せる。風吹は「撮影時はお天気が悪かったけれど、監督は優しくて居心地が良かったです」と振り返っていた。

 陽子の父親役を演じたオダギリは、撮影時のエピソードを披露。「菊地さんと話すシーンを撮ったあとに、メイクを落としたら顔半分と首にじんましんが出ていたんですが、菊地さんが座っていた側は何もなってなかったんです。何か効能があるのかな?」と不思議な現象が起こったことを告白。菊池は困惑しながらも「ブツブツになったって言われるよりはいいかな」と苦笑だった。

 最後に熊切監督は「コロナ禍の影響もあって久々に撮れたのがこの映画です。清らかな気持ちでワンカットワンカット丁寧に撮ったので、ぜひ味わってください」と呼びかける。

 菊地は「20年前、熊切監督から映画の楽しさや面白さを教えていただき、40歳になって頂いたのが今回の役でした。思い入れもあって、自分にとってもすごく宝物の映画になりました。ずっと陽子が登場する映画なので、お客さんの目を離さない芝居ができるか不安に思いながら歩んだ東北の旅でした。キャストとクルーの皆さんに支えられました。どこか皆さんの心のひだに伝わるものがあるように――と願っています」思いを伝えた。

 登壇者:菊地凛子、オダギリジョー、竹原ピストル、黒沢あすか、吉澤 健、風吹ジュン、熊切和嘉監督

 (取材・文・写真:福住佐知子)

公開表記

 配給・宣伝:カルチュア・パブリッシャーズ
 7月28日(金) ユーロスペース、テアトル新宿他 全国順次公開

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