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『彼方のうた』第80回ヴェネチア国際映画祭 ヴェニス・デイズ部門 公式上映

 2021年に『春原さんのうた』が第32回マルセイユ国際映画祭でグランプリを含む3冠を獲得し、その後もサン・セバスチャン国際映画祭、ニューヨーク映画祭、釜山国際映画祭など世界各地の主要な映画祭を巡り、国内外で評価の高まりを見せた杉田協士による待望の長編4作目『彼方のうた』(英題:Following the Sound)が、この度、イタリア現地時間9月6日(水)に第80回ヴェネチア国際映画祭ヴェニス・デイズ部門で公式上映され、上映後のQ&Aに監督の杉田協士、主演の小川あん、共演の中村優子、そして今回の映画祭出席をもって新たに出演情報を解禁する荒木知佳が出席した。

 ヴェネチア国際映画祭は世界最古の映画祭として知られ、ベルリン国際映画祭、カンヌ国際映画祭と並び、世界三大映画祭の一つとして知られている。本作が出品されるヴェニス・デイズ部門は、革新性や探究心、オリジナリティ、インディペンデント精神などにあふれた作品がセレクションされるコンペティション部門。杉田監督にとっては初のヴェネチア国際映画祭への正式出品となった。

 上映後のQ&Aで、杉田監督はこれまでの作品のタイトルに「歌」や「音」ということばを入れていることに触れ「わたしも含めてここに来ているみんな、その人だけがこの世界に生きていて聴こえている歌や音があるんじゃないか、という思いがなぜか昔からあります」と述べ、「この世界に聴こえている歌や聴き取った音を“歌う”という行為で表現している人がいますが、わたしに関しては、その“歌う”という行為が、代わりに映画をつくること。私だけに聴こえているかもしれない歌を映画にしているという感覚があり、“歌”や“音”をタイトルに入れています」とコメント。

 そして、主人公の春が見知らない人たちと交流していくことについては「基本的に知らない人同士が出会うのは怖いこと、不思議なことでもある。なので、前半についてはどこかサスペンスのように描いた部分もあります。自分の大切な部分を、知らない人と共有し合うのはとても難しいことです」と続けた。

 一方のキャストたちには、「さまざまな孤独を描いている作品だが、例えば血が繋がらない者同士の交流や家族観についてどう捉えているか」の質問が。

 大学時代、イタリア語を学んでいた中村は「雪子を演じているあいだ、孤独をそばに置いているような感じでした」とイタリア語で冒頭挨拶。続けて「本作は孤独や寂しさを描いている作品だと感じていますが、何か分からないけれど助けてあげられるかもしれないと思うこと、それ自体が希望なのではないかと思っています」。

 小川と荒木も「(演じた春という役は)中心が見えづらいキャラクターだったが、最後に春もわたし自身もそこが垣間見えたように感じた」(小川)、「わたしが思う家族は、そばにいなくても思い合える関係。ふとした時に何をしてるんだろう、元気かなとか、どこかいつも繋がっている感覚。離れていてもお互いを思いあっている関係は、血が繋がっていなくても大事だと思う」(荒木)とそれぞれの実感を述べた。

 上映を終えた杉田監督と小川、中村、荒木は、日本のメディアの囲み取材にも出席。

 杉田監督は、自身初となるヴェネチア映画祭への正式出品について「映画を始めた頃からヴェネチア国際映画祭で上映されるなんて思っていなかったので、毎日『ほんとかな。ありがたいことだな』とずっと思っています。映画祭には初日から参加していますが、お客さんがみんな熱心で。正直、自分の映画が上映されることがどうでも良くなるぐらい、毎日修行のように映画を観ています。多くて1日に長編映画6本。まだまだちゃんと勉強しようという気持ちにさせてくれる映画祭です」。

 一方、キャストも「お客さんはみんな集中していた気がします。今日大きなスクリーンで観て、仕草や会話のリズムなど、人がとてもチャーミングに描かれている作品だと思いました」(小川)、「撮影当時に感じていた孤独な感覚と、観客の皆さんと観られる幸せな感覚がないまぜになった、ちょっと言葉にできない感覚。胸がいっぱいになりました。14年前の塚本晋也監督作『鉄男』以来、2度目のヴェネチア参加になりますが、私にとって、映画祭は特別な体験。また10年後20年後に、今日皆さんに拍手いただいた光景を思い出すんだろうなと思います」(中村)、「音がより鮮明に聞こえたり、細かい表情が見えたり、新たに気づくものがたくさんあったような気がします。心に突き刺さりました」(荒木)と興奮を抑えきれない様子。

 一般の観客と一緒にスクリーンでの上映を見届けたことについて、杉田監督は「今日ヴェネチアのスクリーンで観たら、すごく響いたんです。というのも、わたしは脚本を書いているときも、撮影しているときも、仕上げをしているときも、『この映画はなんなんだろう?』『なんでこれを撮っているんだろう?』という気持ちでいます。『彼方のうた』のオープニングは元々脚本にはなかったんですが、それ以外の全てのシーンを撮り終えた時に、この映画のファースト・シーンは別にあると気づいて、東京から5時間かけて撮影しに行きました。わたしはずっとこの映画のことを探す旅をしている感覚なんですが、今日はひとつの映画として出合えた気持ちです」。

 一方、小川は、俳優をやめて北海道にいた頃に、杉田監督の長編2作目『ひかりの歌』を観たと言い、「映画の中の光、希望が自分の中で生まれた。映画の世界に戻ろうと思ったのは、杉田さんの映画を観たのがきっかけです」と述懐。中村は「役を見つけていく作業は、とても孤独な作業。ただ杉田さんから脚本をいただいたときに、これは絶対にひとりではできない作業だと思った。杉田さんの中には私とは違うものがあるはずだ、と。私はそれを知りたい、冒険してみたいと思いました」とそれぞれ出演を決めた経緯を振り返りました。なお、授賞式は現地時間の9月8日に行われる予定。

 登壇者:⼩川あん、中村優⼦、荒木知佳、杉⽥協⼠監督

 そして、第28回釜山国際映画祭 アジアの窓部門に出品が決定した。杉田監督にとって、『ひかりの歌』『春原さんのうた』に続く出品となる。映画祭は10月4日~13日まで開催され、杉田監督も出席予定。 登壇者:⼩川あん、中村優⼦、荒木知佳、杉⽥協⼠監督

オフィシャル・サイト(外部サイト)

 『彼⽅のうた』公式SNS:https://twitter.com/kanata_no_uta(外部サイト)
 Roadstead 公式サイト:https://roadstead.io(外部サイト)

公開表記

 制作プロダクション・配給:イハフィルムズ
 2024年劇場公開予定
 Web3時代の動画配信プラットフォーム「Roadstead」にて独占配信予定

(オフィシャル素材提供)

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