イベント・舞台挨拶

『ほつれる』公開記念舞台挨拶

ⓒ2023「ほつれる」製作委員会&COMME DES CINEMA

 映画『ほつれる』の公開記念舞台挨拶 が都内で行われ、主要キャストの門脇 麦、田村健太郎、染谷将太とメガホンを取った加藤拓也監督が登壇してクロストークを行った。

 本作は、第67回岸田國士戯曲賞を受賞するなど演劇界で注目を浴び、「きれいのくに」(2021・NHK)などテレビドラマの脚本も手掛ける演出家・加藤拓也監督のオリジナル脚本による長編監督映画第2作。ある出来事をきっかけに、夫や周囲の人々、そして自分自身と向き合っていく女性・綿子(門脇)の姿が描かれる。

 最初に加藤監督は、登場人物全員がどこか不完全である、そんな難しいキャスティングだが、「どこか、こういう人“町なかにいるな”と思ってもらいたいと考えながら、僕は脚本を書いています。いい意味で、匿名性がある俳優さんにお願いしたいと思いました」とキャスティングの理由について語った。

 そんな加藤監督作品に出演した門脇は「最初に台本を読んで、あまりにも面白すぎて、本として読み続けていて、綿子のことは考えなかったんです。リハーサルが2週間ほどあったんですけど、そのときに『綿子ってひどくないですか?』と気づき始めて、私は、綿子は好きじゃないなって……(苦笑)」。門脇は共感しづらいキャラクターを演じたとことへの不満をもらす。その不満は綿子のセリフにも及び、「なんで、たむけんさん(文則)にこんなこと言うんですか?と思いました」と口にする。

 そんな門脇に田村は「ぶつぶつ言ってましたね~(笑)」と返し、「とにかく綿子がすごく冷たいんです。文則は『なんだよ!』と言うわけにもいかないし、どう接したらいいか分からない……。テンパっていました」と撮影を振り返った。
 また、自身が演じた役について田村は「文則はああいうふうに切り取られているだけですから」と語気強めに訴え、「映画は綿子をカメラで追っていますが、文則をカメラで追ったら全然違う印象になると思います」と訴えていた。

 門脇は「タムケン(田村)さんは本当にいいお兄ちゃんで、カットがかかると楽しく話してくれました」と、劇中での関係とは裏腹に和んだ撮影だったと振り返っていた。

 木村役を演じた染谷は、加藤監督について「監督の作品はのぞき見しているような感覚になる。”いるな”と思うように見ていく――という手法をとっている。“向き合っていく作品”なので、顔の向きなんかも意味を持って作っていきました。監督の書かれたセリフを演出の通りに口にすると役が出来上がっていくんです。自分が楽器になったような気分。楽しい感覚でした」とコメントした。監督の演出に絶大な信頼を置いている様子。


 自身の役柄については「漂流していて、風のような人物」と表現し、「一緒にいると居心地がよくて、いなくなるとあの人ってなんだったんだろう? どういう人?って思わなきゃいけなくなる。そんな存在でいたいと思いながら演じていました」。
 門脇は染谷との撮影を思い返し「綿子と木村のシーンはファンタジーのような気持ちでやっていました」と思いを馳せていた。

 また門脇は、綿子の親友・英梨役の黒木 華との共演についても話す。「初めての共演で、親友役。ドキドキしていたのですが、本当に前から友達だったかのように接してくださって、すごくやりやすかったです。本当に素敵な女優さんで、共演できて良かったです」としみじみ。

 加藤監督から田村は「深読みしなくても大丈夫と言ってもらいました。お芝居をいじるよりも他のもので演出してくれていました」と話す。キャストたちも監督の演出通り、細やかなセリフもそのまんま台本通りに演じたていったと話していた。
 中でも染谷は「そんな台本、ワクワクしました。口ざわりが良くてなんのストレスも無く言えました」とコメント。

 イベント中盤、登壇者が本作のタイトルにちなみ“ほつれたエピソード”を披露する場面も。門脇は「釣りに行って、魚をさばくとき、ビニールの中でやると、うろこが飛び散らないんです。ほつれました(笑)」と報告。
 田村は「先月3年ぶりに、関係のよくなかった友達に会ったんです。会ってみたら仲良くでき、ほつれました」。染谷は「肉を煮込んでいるときにコクを出そうと、みりんをたっぷり入れたんですが、赤酢だったんです。じゃぶじゃぶ入れて、ほつれました」。周りからは何がほつれたの?と疑問の声が飛んでいた。

 最後に加藤監督は「たくさんの方に観ていただきたい」と願いを込める。

 染谷は「主人公の口数が少ないのに、こんなに激しい映画は初めてです。会話のアクション映画じゃないですけど、たくさん胸に刺さってくる作品です」とアピール。
 田村は「隅々まで行き渡った作品。劇場で、五感で感じてほしいです」。門脇は「映画好きな方にとっては、今年外せない1本になったんではないかと思っています。この作品を大きなスクリーンで公開できることがうれしいです」と大きな笑顔を見せた。

 登壇者:門脇 麦、田村健太郎、染谷将太、加藤拓也監督

 (取材・文・写真:福住佐知子)

オフィシャル・サイト(外部サイト)

https://bitters.co.jp/hotsureru/

公開表記

 配給:ビターズ・エンド
 新宿ピカデリーほか絶賛上映中

(オフィシャル素材提供)

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