イベント・舞台挨拶

映画『ロストサマー』先行上映舞台挨拶

© 映画「ロストサマー」

 10月3日(火)、映画『ロストサマー』の公開に伴い、新宿武蔵野館にて、上映後に出演者による舞台挨拶が行われ、ダブル主演を務めた林 裕太、小林勝也を筆頭に、中澤梓佐、関口アナン、椿弓里奈、そして監督の麻美が登壇した。

 それぞれ一言ずつ挨拶をしたあと、本作のキャッチコピーである「それは、ほんの一瞬の」にちなみ、登壇者たちの「忘れられない一瞬」というトーク・テーマで話し合うことに。

 ほぼ全編が高知で撮影された本作は、麻美監督自身の経験をもとに紡ぎ出したエモーショナルな物語。「わたしは今年で35になるんですが、この脚本は18歳から書き始めてから、ずっと書き続けてきた脚本でした」と切り出した麻美監督は、「撮影の初日が高知の日曜市というところでした。林さんが演じたフユと、(小林)勝也さんが演じたアキが二人並んでいるシーンから始まったんですが、その時点で二人とも完璧な立ち振る舞い。フユとアキでしかないお二人を見て、わたしの脳内から出てきたんじゃないかと思ってしまうくらいにすばらしかった。あの瞬間は忘れない。でも『ラストサマー』に関しては、忘れない瞬間をずっと塗り替えていく毎日だったと思います。たとえば今日はこれ(舞台あいさつの風景)ですしね」としみじみ。

 そんな麻美監督からの“役者冥利に尽きる言葉”を受け取った林は「それはすごくうれしかったし。監督は本当に愛にあふれている方なんだなと。ずっと褒めていただくたびに思っておりました」とかみ締めるようにコメント。一方の小林は「そういうふうに言われるということは、テンションを上げろという合図、叱咤激励だと思うんで、頑張りました」と笑いながら続けた。

 889FILMのメンバーである関口は、撮影中は役者のみならずスタッフとしても走り回る日々だったという。「高知の現場では本当に忙しくしていたんですけど、そんな中でも1日だけちょっとゆっくりできる日があって。全員が集合する待機場所で撮影が終わってから、林くんや、(小林)勝也さんたちもいらっしゃって。みんなでビールを飲んで。元気をもらったんですけど、ホテルに戻る時に勝也さんが『今日はワンダフルな1日でした!」とおっしゃっていて。そこまでがむしゃらに、ずっと走りっぱなしだったんですけど、その時は忘れられない一瞬になりました」としみじみ語る。しかし当の小林は「覚えてないですね!」とキッパリ返して会場を沸かせつつも、「まあでも楽しかったからそういう言葉が出たんでしょうね」と笑顔で付け加えた。

 同じく889FILMで代表を務める中澤は、「わたしは今、俳優をはじめて9年目なんですけど。1年目に住んだ家からは、すごく遠いんですけど東京タワーが真正面に見えたんです。今回の映画の舞台になっている高知がわたしの出身地なんですけど、だからそれが忘れられなくて。これからの東京でのお前を見ているぞと言われたようで、あれは忘れられない一瞬ですね」と自身の歩みを振り返る。

 続けて林が、高知ロケでの思い出を語り出す。撮影時に林が泊まっていたホテルの向かい側の餃子屋から、大きな歓声が聞こえてきたことがあったという。その日は撮影で疲れてしまい、早く寝たいと思っていただけに、その大きな歓声に戸惑いを隠せなかったという林だが、よくよくその歓声を聞いてみると、それはサッカーの応援歌だった。そこでテレビをつけたところ、FIFAワールドカップカタール2022で、日本がドイツに大金星をあげた試合の真っ最中。「ちょうどその時が同点に追いついた瞬間で、これは仕方ない、自分も気持ちは分かるよと思って。僕も見ることにしたんですけど、そうしたら数分で勝ち越して。それで窓の外を見たらみんなが円陣を組んでいた。ワールドカップを向かい側の餃子屋の人たちと(心の中で)喜びを分かち合ったのが忘れられないですね」と意外なエピソードを披露して、会場を沸かせた。

 そして小林は「映画館に来る人たちの姿を見ると、昔のことを思い出します」としみじみ語ると、池袋の名画座でエリア・カザンの2本立てを観に行ったこと、母親にもらった100円で、食費、映画代、交通費などを賄っていた話などを懐かしそうに述懐。その貴重な話に、映画ファンである観客や、登壇者たちも興味津々な様子で耳を傾けていた。

 同じく889FILMのメンバーである椿は「作品とは関係ないですけど、わたしは林君の先輩であるオダギリジョーさんが大好きで。高校生の時に見た(ドラマの)『時効警察』でオダギリジョーさんや麻生久美子さんが好きになって。役者とか映画が好きになったきっかけになりました。それから上京して3年目、犬童一心監督の(WOWOWの連続ドラマ)『夢を与える』でオダギリさんの部下役で出演することができたんです。そこではオダギリさんと一緒に謝るシーンを撮ったんですけど、わたしがオダギリさんと同じ画面に映っていると思って。あまり多く出られる役じゃなかったので、もっと出たいなと思ったりして。あれが役者としてのスタート・ラインでしたね」と振り返った。

 そんな和気あいあいとしたトークイベントもいよいよ終盤。最後のコメントを求められた麻美監督は「889FILMは俳優4人で今回の長編の企画・制作・プロデュース、配給、宣伝と全部をやっています。SNSでいろいろと宣伝をしてしまいましたが、今日はこんなにたくさんの人に集まっていただいて」と語ると、感慨深い様子でしみじみと「世界は美しいと思いますので、皆さん、どうか長生きしてください」と観客にメッセージを送った。

 映画『ロストサマー』は、10月13日(金)より新宿武蔵野館 ほか全国順次公開。

 登壇者:林 裕太、小林勝也、中澤梓佐、関口アナン、椿弓里奈、麻美監督

公開表記

 配給:889FILM
 10月13日(金)より新宿武蔵野館ほかにて公開

(オフィシャル素材提供)

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