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『正欲』第36回東京国際映画祭ワールドプレミア舞台挨拶

ⓒ 2021 朝井リョウ/新潮社 ⓒ 2023「正欲」製作委員会

 第36回東京国際映画祭コンペティション部門正式出品である『正欲』が、10月25日(水)にワールドプレミア上映を実施。稲垣吾郎、新垣結衣、磯村勇斗、佐藤寛太、東野絢香らメインキャストと岸 善幸監督が、映画祭のステージらしく黒を基調としたシックな装いで、大きな拍手に包まれながら舞台挨拶に登壇した。

 豪華実力派キャストの熱演にも大きな期待が集まっている映画『正欲』。これまで主演作『半世界』『窓辺にて』が東京国際映画祭のコンペティション部門に出品され、二度の観客賞を受賞している稲垣は、最新主演作となる本作が再び国際映画祭の場で上映されることについて、熱い胸の内を明かした。「東京国際映画祭は、映画を愛する皆さんにとって特別な場所なので、またこの場所に帰ってこられたことを光栄に思っています。世界中の人たちにも観ていただける機会を嬉しく思いますし、ドキドキしますね。観ていただくのが初めてなので、早く観終わった皆さんの声を聴きたいです!」と笑顔を見せた。

 本作で、妻と息子と3人でマイホームに暮らす検察官の寺井啓喜役で主演した稲垣は、「普段からいろいろな作品で拝見させていただいている素晴らしい俳優さんたちなので、共演できて嬉しく思います。皆さん登場人物になりきって撮影現場に存在していたので、僕も自然とその世界に誘われて気持ち良く演じることができました。皆さんが大きな覚悟を必要とする役を演じられたので、それを岸監督が素晴らしい作品に仕上げて下さって感謝しております!」と、共演者たちの熱演と監督の手腕を絶賛。

 “ある秘密”を抱える桐生夏月役を演じた新垣については、「今まで抱いてきた新垣さんのイメージが覆されたというか、思い描く印象とまったく違っていて、最初に現場で会った時は本当にびっくりしました。皆さんも観たらびっくりすると思いますよ!」と太鼓判を押す一幕も。対する新垣は、映画初共演となった稲垣について、「ご一緒したシーンがとてもシリアスで重要なシーンだったので、そういう時間を共に過ごして、一つのシーンを一緒に作り上げることに力を尽くすことができたのはとても光栄でした」と噛みしめるように振り返った。本作出演の決め手については、「お話をいただいて企画書を読ませていただいたときにすごく心惹かれるものがあり、岸監督とも直接お話をさせていただいて、同じ方向を向いて作品に挑めるという意思疎通が出来て、ぜひよろしくお願いしますというスタートでした」とその理由を明かした新垣。「岸監督のもとで素晴らしい皆さんと一緒に、こういう作品に参加できたことをとても嬉しく思っています」と、あらためて本作出演の喜びを語った。

 夏月の中学時代の同級生で、彼女と誰にも言えない秘密を共有し合う佐々木佳道役を演じた磯村は、初共演となった稲垣について「共演シーンはわずかでしたが忘れられません。僕はその空気を含めて寺井が怖かった。あの空気を出していただいたので、何もしなくてよかったという感じで、それぐらい稲垣さんには引っ張っていただきました」と、稲垣の演技に絶大の信頼を明かしていることを明かした。さらに、演じた佳道というキャラクターについて「また非常に難しい役と出合ったという印象でした」と振り返り、「衣装合わせの時も、岸監督やプロデューサーと何度も話し合ったぐらい、掴むのが難しかった。でもこの作品が届けたいメッセージは非常に今の時代に合っているし、何か救いになるのではないかと思いました」と、難役へのアプローチや本作への思いを力強く語った。

 ダンス・サークルに所属し、準ミスターに選ばれるほどの容姿を持つ諸橋大也を演じた佐藤寛太は、オーディションを経て出演が決定。「オーディションを受けた時はもう他の方の役は決まっていて、岸監督が撮られるということで、受かった時はすごく嬉しかったです」と当時の心境を振り返りながら、「原作を読んでいた衝撃もあって、自分がやらなきゃいけないことがたくさん目の前にあったおかげで、あまり緊張している時間はなく、自分が準備したものを出せることを楽しみに挑めた感じがあります」と確かな手応えを語った。

 学園祭でダイバーシティをテーマにしたイベントで、大也が所属するダンス・サークルの出演を計画した神戸八重子役を演じた東野は、兼ねてより共演者たちよりその演技が大絶賛されており、それに対しステージ上で「大変恐縮です!」と居住まいをただす一幕も。「八重子が感じている不安感や恐怖心というものは、私も25年間、人として女性として生きてきた中で感じたことがあるものだったので、分岐点で違う道に行っただけだと思っていて。本作では、八重子のその先の人生とすごく向き合った時間でした」と、ゆっくりと力強く思い入れを語った。

 本作でメガホンを取った岸監督は、あらためて朝井リョウによる原作についてその魅力を熱弁。「世界には“大多数”と呼ばれる人たちがいて、一方でそのカテゴリに入らない方々が存在している。“マイノリティの中のマイノリティ”が存在しています。その存在をすごく丁寧に、今この世界でどう生きているかを描いている。衝撃でしたし、目から鱗が落ちる作品でした」と、今語られるべき物語として『正欲』の素晴らしさを語った。

 舞台挨拶の最後には、新垣と稲垣からそれぞれ映画を楽しみに待つファンへメッセージが送られた。
 新垣は「こういうふうに観てくださいということではなくて、何か皆さんの心に届くものがあれば、それが嬉しいしありがたいことだなと思っています。じっくり、観てください」と丁寧に語り掛けるようにコメント。稲垣は「この映画は、あらためて人それぞれの個性を認め合うことの大切さ、そういものを発見することの喜びを感じていただける作品だと思います。素晴らしい俳優の皆さんが演じている登場人物たちを見ていると、息が苦しくなるようなとても切ない物語ではありますが、最後は深い感動を皆さんにお届けできる素晴らしい作品に仕上がっていると思います」と自信をのぞかせた。

 傑作か、問題作か――。日本映画界を代表する実力派俳優が集結し、いま、この時代にこそ必要とされる、心を激しく揺り動かす、痛烈な衝撃作誕生! 映画『正欲』は11月10日(金)より全国ロードショー。

 登壇者:稲垣吾郎、新垣結衣、磯村勇斗、佐藤寛太、東野絢香、岸 善幸監督

公開表記

 配給:ビターズ・エンド
 11月10日(金)、TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー

(オフィシャル素材提供)

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