ドイツ、フランクフルト市を再び鮮やかなピンク色に染める映画祭ニッポン・コネクションがあと数週間と迫っている。2024年5月28日から6月2日まで、この世界最大級の日本映画の祭典では、8つの会場で約100本の短編・長編映画が上映される。また、日本の音楽、食文化、芸術の多様性を反映した幅広いカルチャー・プログラムを通じて、日本の文化が紹介される。
当映画祭では、著名なベテラン監督から新進気鋭の監督作品まで、多数の作品が上映される。北野 武監督によるアクション満載のサムライ映画『首』から、テンポのよいコメディ『翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~』(武内英樹監督)、想像力豊かなアニメーション映画『北極百貨店のコンシェルジュさん』(板津匡覧監督)まで、幅広いジャンルの見どころが揃っている。ほとんどの作品がドイツ、ヨーロッパ、ワールドプレミアとして上映される。Kulturfonds Frankfurt RheinMain後援による映画祭の重点テーマ「Crossing Borders」は日本と世界の映画文化の関係と相互に与えた影響を考察する。ニッポン・レトロ部門では、アメリカ犯罪映画やドイツ映画表現主義の影響を受けた日本のフィルム・ノワールの古典7作品が上映される。
2つのメイン会場であるKünstler*innenhaus MousonturmとProduktionshaus NAXOSを通じて、ニッポン・コネクションは出会いの場にもなる。自由に出入り可能なフェスティバル会場には、日本の食べ物や雑貨の屋台が立ち並び、日本にいるかのような感覚を堪能できる。また、日本のバンドによるコンサート、参加型ワークショップ、日本文化に関する講演、野外イベント、試食会、料理教室など、幅広いカルチャー・プログラムを映画祭の雰囲気とともに夜が更けるまで楽しむことができる。
約50名の映画製作者が作品の上映、観客との交流のために日本から訪れる。閉会式では、女優の古川琴音にニッポン・ライジングスター賞が授与される。また今年新設のニッポン・ストーリーテリング賞では、最優秀脚本に1000ユーロが、Storymaker Agentur für Public Relationsより贈呈される。
プログラムとチケットの詳細は、2024年5月4日から映画祭ウェブサイトhttps://nipponconnection.com/ja/(外部サイト)て公開される。
プログラム・ハイライト
名誉ゲスト古川琴音 出演作品
今年の名誉ゲストは、新進気鋭の女優、古川琴音。2024年6月2日に、優れた若い才能に贈られる「ニッポン・ライジングスター賞」が授与される。古川は、数々の賞を受賞した濱口竜介監督のオムニバス映画『偶然と想像』で国際的にその名を轟かせるようになった。ニッポン・コネクションでは彼女の出演作である下津優太監督の新作ホラー『みなに幸あれ』をドイツプレミアとして上映、監督と古川氏が登壇する。さらに古川が恋する音大生を演じる、河合勇人監督によるロマンティックでミステリアスな映画『言えない秘密』のワールドプレミアにも注目が集まるだろう。
著名監督作品
北野 武監督のサムライ映画『首』は、政治的陰謀と戦いに満ちた乱世へと私たちを誘うと同時に、サムライ文化のクィアな側面も取り上げている。
山下敦弘監督のミュージック・コメディ『カラオケ行こ!』は、感傷的なヤクザと思春期の合唱部員の思いがけない友情を描く。
武内英樹監督のコメディ『翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~』は、日本の地域的特殊性を的確に描き出す。
岩井俊二監督の『キリエのうた』のように、日本歴史上の運命的な出来事に言及した作品もある。この映画では、孤児の少女が東日本大震災後、歌手として道を切り開いていく物語だ。
𠮷田恵輔監督の映画『ミッシング』では、娘の不可解な失踪をめぐりメディアへの対応に苦慮する家族の姿が描かれている。
新鋭監督作品
当映画祭は新進気鋭の監督が自分の作品を大勢の観客に紹介する最初のプラットフォームの1つとなっている。その中でも、日本国外プレミア上映の『ABYSS アビス』(須藤 蓮監督)、ドイツプレミア上映『ココでのはなし』(こささりょうま監督 )、日本国外プレミア上映 『クオリア』(牛丸 亮監督)など、映画界で頭角を現している監督の作品に特に注目が集まる。
アニメーション映画
板津匡覧監督の『北極百貨店のコンシェルジュさん』では、デパートを訪れる動物たちの冒険がアニメファンを魅了する。
ジャズトリオのサクセス・ストーリーを描くのは立川 譲監督のエネルギッシュなアニメ『BLUE GIANT』。
西見祥示郎監督の哀愁漂うSFドラマ『火の鳥 エデンの花 』は観客を宇宙の別世界へ誘う。
Crossing Borders
今年の重点テーマCrossing Bordersでは、日本と世界の映画人の相互影響とコラボレーションに焦点を当てる。初の日独合作映画の一つである、Arnold Fanck監督作品『新しき土』がKino des DFF – Deutsches Filminstitut & Filmmuseumにて上映され、Dr. Iris Haukamp氏がこの問題作の興味深い歴史について講演を行う。
現在の日独合作としては、Andreas Hartmann/森あらた共同監督によるドキュメンタリー『蒸発』が上映される。
また『青春18×2 君へと続く道』は藤井道人監督が台湾と日本で国際色豊かなキャストと共に撮影した感動の愛の物語だ。
コンサート、ワークショップ、講演、キッズ・プログラム
音楽プログラムでは、歌手のAi Higuchi、バンドSamurai Apartment、和太鼓奏者のTAKUYA、日本のオーディオ・ブランド「オーディオテクニカ」によるレコード試聴会などが催される。また、漫画や日本の工芸ワークショップ、料理教室、Beam Suntoryによるウィスキーのテイスティング、日本酒や抹茶のテイスティングも行われる。ニッポン・キッズ・プログラムでは、合気道のワークショップや紙芝居の上演などが行われる。
チケット
プログラムとチケットの詳細は、2024年5月4日から映画祭ウェブサイトで公開される。
開催場所
映画祭メイン会場:Künstler*innenhaus Mousonturm及びProduktionshaus NAXOS
その他フランクフルト・アム・マイン市内の開催場所:Eldorado Arthouse Kino, Kino des DFF – Deutsches Filminstitut & Filmmuseum, Mal Seh’n Kino, Internationales Theater Frankfurt, Saalbau Bornheim, NaxosAtelier
映画祭の来場者には、下記リンクの提携ホテルにて特別プランでの宿泊が可能。
https://nipponconnection.com/ja/service/hotels/(外部サイト)
映画祭について
日本映画祭「ニッポン・コネクション」は約70人のボランティアを中心としたチームからなるNPO法人「ニッポン・コネクション」により運営されている。また、ヘッセン州のアンゲラ・ドルン科学芸術大臣、フランクフルト市のナルゲス・エスカンダーリ=グリュンベルク市長及び在フランクフルト日本国総領事館の後援を受け開催されている。2000年の映画祭発足以後、日本映画に関する世界最大級のプラットフォームへと発展し、2019年には17,000人を超える来場者を迎え、ヘッセン地方における最大級の映画祭となった。
(オフィシャル素材提供)