記者会見映画祭・特別上映

ゆりやんレトリィバァ監督デビュー!三池崇史&西川美和登壇、K2 Pictures CEO紀伊“日本映画の新しい生態系”をプレゼン

©Kazuko Wakayama

 登壇者:プレゼンター/紀伊宗之(K2 Pictures代表取締役CEO) ゲスト/三池崇史、西川美和、ゆりやんレトリィバァ

 映画、映像を中心とした事業を展開する株式会社K2 Pictures(東京都目黒区、代表取締役:紀伊宗之)は“日本映画の新しい生態系をつくる”ことを目標に掲げ本格始動した。その第一歩として、先日、日本発の映画製作ファンド「K2P Film Fund Ⅰ(読み:ケーツーピー フィルム ファンド ファースト)」を組成に向け、岩井俊二、是枝裕和、白石和彌、西川美和、三池崇史や、アニメーション制作会社・株式会社MAPPAといった世界で活躍するクリエイターともに映画製作を進めていくことを発表した。
 そしてこの度、世界三大映画祭の一つ、カンヌ国際映画祭開催中の5月18日(土)、フランス・カンヌにて記者会見を実施。
 会見では代表取締役CEO 紀伊宗之より、映画製作ファンド“K2P Film Fund Ⅰ”が成立し、動き出していくこと、さらにはK2 Picturesが目指す“日本映画の新しい生態系”について、会見に集った世界中の映画関係者・メディアへ向けたプレゼンテーションが行われました。加えて、共に作品製作をしていくクリエイターの代表として三池崇史、西川美和が登壇。本会見で映画監督デビューを果たすことを発表したゆりやんレトリィバァも新人監督の代表として登壇し、「子どもころからの夢を叶えてくださったK2 Picturesさんには感謝してもしきれません。絶対に恩返しできるように頑張ります!!」と意気込みを語った。会見では、K2Picturesが共に映画を作っていく次世代の監督として、若手映画監督・ミュージシャンの登龍門となっている映画祭「MOOSICLAB2017」で観客賞を受賞し、国内外共に高い評価を得ている枝 優花、是枝裕和監督、西川美和監督作品の助監督を経験後、長編映画『夜明け』で監督デビューし、現在進行中の企画が、23年釜山国際映画祭のAsian Project Market(APM)でCJ賞とARRI賞を受賞している広瀬奈々子の発表も行われた。

 会見はカンヌ国際映画祭のメイン会場にほど近い、JWマリオットにて開催。好天に恵まれ、開催前にはカンヌらしいビーチにて写真撮影が行われた。会見には申し込みが殺到し、世界中からフランス、アメリカ、イギリス、韓国、ニュージーランド、台湾、イタリア、エストニア、スイス、ドイツ、ポーランド、ハンガリー、フィンランド、中国、ベトナム、マレーシア、カナダ、アラブ首長国連邦、ノルウェーなど日本をはじめ20を超える国と地域から映画関係者、メディアが参加。150人のキャパシティとなる会場は満席となり、立ち見が出るほどで、その注目度の高さが伺えた。

“日本映画の新しい生態系をつくる”。日本発の映画製作ファンド「K2P Film Fund Ⅰ」のビジョン

 “日本映画の新しい生態系をつくる”ことを目標として掲げる日本発の映画製作ファンド「K2P Film Fund Ⅰ(読み:ケーツーピー フィルム ファンド ファースト)」。
 本会見でK2 Pictures代表の紀伊が、ファンドが成立し、動き始めたことを発表すると同時に、カンヌ国際映画祭に集う、世界中の映画関係者・メディアへ、「新たな国内外投資家の日本映画産業への参入」、「クリエイターへの利益還元」を推し進める本ファンドのビジョンをプレゼンテーション。才能あふれるクリエイターとともに、世界を目指していくことを宣言した。
 プレゼンでは、ファンドという形で日本映画への国内外の新たな資本参入を活発化させることを説明。さらにはクリエイターやスタッフへの利益還元の割合を増やすことで、若い作り手が映画業界に希望を抱き飛び込める業界にすることを目指していく。
 さらにファンドの投資期間を8年に設定し、その収益を再投資することで、キャリアのある監督だけでなく、次世代の新たな才能の発掘にも取り組んでいくことを発表。具体的に、今回映画監督デビューとなるゆりやんレトリィバァのほか、初長編監督作『少女邂逅』(監督・脚本・編集)で若手映画監督・ミュージシャンの登龍門となっている映画祭「MOOSICLAB2017」で観客賞を受賞した枝 優花、デビュー作『夜明け』(監督・脚本)が第23回釜山国際映画祭出品を果たし、現在進行中の企画も、23年釜山国際映画祭のAsian Project Market(APM)でCJ賞とARRI賞を受賞している広瀬奈々子ら新進気鋭の若手映画監督との作品製作が現在準備中となる。
 もちろん資本だけでなく、国際共同製作を推し進めていくことも発表され、現在フランス、ドイツ、アメリカ、ブラジル、韓国との企画を進行しており、その輪をもっと広げていくことを宣言した。

日本から世界へ。三池崇史監督、西川美和監督がK2 Picturesと映画製作をともにする想い

©Kazuko Wakayama

 K2 Pictures代表の紀伊とタッグを組んだ監督作『初恋』(第72回/監督週間出品)をはじめ、これまでカンヌ国際映画祭には7回参加している三池崇史と、長編2作目となる『ゆれる』が第59回カンヌ国際映画祭監督週間に出品された西川美和。ともに日本を代表する映画監督であり、海外からの評価も高い2人がK2 Picturesとタッグを組むクリエイターを代表し、会見に登壇した。三池は「現場にいる我々が一番大事なことは映画を作って人を幸せにしながら、自分たちも幸せである必要があるのではないかという紀伊さんの考えに賛同し、今いろいろな企画を動かしています」とあいさつ。西川も「日本の映画の仕組みを大きく変えるようなことを考えていて非常に頼もしいですし、ぜひその船に乗ってみたいなと思いました。キャリアのある監督だけでなく、新しい企画や若い監督にもチャレンジを与えて、必要十分な予算とよい環境で映画作りを目指されているところにも共感しますし、自分も挑戦したいなと思います」とK2 Picturesへの賛同を示した。

 また国内にとどまらず日本映画が世界に向けて出ていくためにはどうすべきか、という質問に対しては「いかに人間の可能性を考えるか、それは環境づくりで、眠っている才能を活性化させて開花させてあげることはプロデューサーにしかできない。世界中の才能ある人たちと映画を作れるというのは素晴らしいことだと思います」(三池)、「これまで素晴らしい日本のクリエイターたちが映画祭などで力があると証明してくれて私たちの今がありますが、活躍するのは限られたパスポートを持った人たちという図式でした。K2 Picturesが開拓して、日本の映画を期待してくれる人に届けてくれることを私たちは期待します」(西川)と世界の市場に向けて展開していくことを目標に掲げるK2 Picturesの取り組みに期待を寄せつつ、第一線で活躍する2人だからこそ出てくる現状への思いを語った。

 また、会場のメディア・映画関係者の中には「Japan Night」への参加ためカンヌに来ていた俳優・監督、斎藤 工の姿も。「今年のカンヌ映画祭のメインビジュアルが、黒澤 明監督の『八月の狂詩曲』(のワンシーンを使用している)ということで『オッペンハイマー』がアカデミー賞®で作品賞に輝いた年に日本映画の名作がこのようにオマージュされていることについて、我々日本人以上に、フランスの方たちや海外の方が、そういった映画のリテラシーなるものが高いと感じました。日本映画の弱点はどういうところにあると思いますか?」と鋭い質問が飛び出した。「保守的で閉鎖的、意思決定が遅いことだと思います。これは日本映画界だけでなく、日本の産業全部でそうなっているんじゃないかなと思います。戦略的であるためにはクイックな意思決定が必要ですし、1年かけていたら考えていたことも古くなってしまう。それよりは、少ない人数で意思決定し思い切ってチャレンジしてみることが大切だと思っています」(紀伊)、「いろいろ弱点はあると思いますが、教育でしょうか。これまでとは違う視点で、教えるというよりは一緒に学んでいく必要があるんだろうなと思っています。共に考えていくという岐路に僕らは今立っていると思います。日本が何を踏まえ、海外に何を伝えていくのかも大切だと思います。海外の需要に答えていくというよりは、日本人と組むからここういう映画が生まれたという、夢ではなく実績として作品を作り上げていくことで実証していく。そういうこそとを日本人は不得意としてきたと思います。僕らにとっての発言は、生まれていく作品。これは逃れられないと思っているので、K2 Picturesのプロジェクトを非常に楽しみにしています」(三池)、「海外の映画祭に行くと、映画という文化が非常に価値の高いものとして受け入れられていること痛感します。日本では宣伝をがんばったり、映画祭に出たりしてもなかなか浸透しないというジレンマを感じていました。それこそ1、2年で変わるものではないですし、カンヌ国際映画祭の『監督週間』では久野遥子監督・山下敦弘監督の『化け猫あんずちゃん』を小学生を招いて観る機会が設けられていると今日初めて知りました。小さい頃から当たり前にそういう環境があると定着していくと思いますし、どうしたら、もっと映画を豊かに体験して育んでいけるのかをみんなで未来を考えて行動して行けたらいいなと思います」(西川)と、それぞれ切実な思いを吐露した。

念願の映画監督デビュー!ゆりやんレトリィバァが語る、海外進出と映画監督への夢

©Kazuko Wakayama

 日本でコメディアンとして活躍するだけでなく、今年4月にアメリカで開催された世界最大級の音楽フェスティバル「コーチェラ」にサプライズ登場し、大きな注目を集めたゆりやんレトリィバァ。参加者を前に「ご覧いただいて分かるように、私は国会議員なんです。嘘です。コメディアンなんです。このような場に一緒に立つことができてとても嬉しく思っています」と、ゆりやんらしいボケを英語で披露し、笑いを誘いつつもあいさつ。さらにゆりやんは「数年前に、朝のテレビ番組で『映画監督になりたい』と言ったのをたまたま、K2 Picturesの高橋大典プロデューサーが見てくださっていて声をかけてくれました。ずっと抱いていた夢をこんなふうに叶えていただけるんだ!と思いそれからいろんなところで言うようにしています(笑)。K2 Picturesには感謝してもしきれませんので、絶対に恩返しできるように頑張ります!!」と今の喜びと意気込みを語った。
 さらに「12月にアメリカに引っ越して芸人として活動しようと決めまして、芸人だけでなく世界に映画監督として作品を届けられるように頑張りたい」と活動の拠点をアメリカに移すこともあわせて宣言した。映画監督として大先輩でもある三池、西川に「(映画監督として)一番必要なことを教えてください!」と新人らしく勢いよく質問を投げかけると、「まずは絶対後悔しないように。成功するかおもしろいものになるかやってみないと分からないし、興行的にも映画祭などでも評価されるかは分からない。自分の面白いと思うものを後悔しないように作るのは絶対に必要だと思います」(三池)、「難しい質問ですが、たくさんの人と関わる映画作りは厳しくとも豊かな仕事だと思います。ゆりやんさんの才能だけでなく、多くの人たちの力を借りてチームで作っていくのが大事なことだと思います」(西川)と日本映画の最前線で活躍する二人から、エールを込めた貴重なアドバイスが送られた。ゆりやんは「お二人からの言葉を受けて、クリント・イーストウッドならぬ、ユリント・イーストウッドになります!」と宣言していた。

 また、映画監督デビューにあたってコメントも寄せている。

ゆりやんレトリィバァ コメント
 今年の12月に渡米することに決めました!
 ゆりやんレトリィバァから世界でYURIYAN RETRIVERになれるように頑張ります!
 芸人としてだけでなく、今回、K2 Picturesと共に制作する作品と共に映画監督としても渡米して世界中の皆様にこの作品を観ていただけるようになりたいです! K2 Picturesが生んだ、ユリント・イーストウッドになります! お楽しみにしていてください!

©Kazuko Wakayama

 さらに、今回の会見で発表となった、期待の若手監督・枝 優花、広瀬奈々子からもK2 Picturesと共に映画製作をすることや制作への意気込みについてコメントが届いた。

枝 優花監督 コメント
 「平和な国の映画はつまらない」という言葉をたまに耳にします。現在、私は格差や戦争などはっきりとした困難に直面せず、日本で暮らせています。これを世界では平和と呼ぶのかもしれません。しかし日本の10〜30代の死亡原因の1位は自殺です。自ら生きる道を辞めたくなる、とはどういうことなのか。本当の豊かさとは何に起因しているのか。実際私自身、日本で暮らしていて言語化し難い自己を蝕むような心の貧困を感じております。そんなとき、スクリーンで出会うべき映画があるはずです。今回、開発している企画は同世代の小出プロデューサーと共に、今の日本で生きる自分たちだからこそ撮れる作品になると信じております

広瀬奈々子監督 コメント
 長編実写映画作品の2作品目として現在進行中のオリジナル作品は、長いあいだ資金調達に難航し、出口が見つからない状態が続いていました。そんな折にK2 Picturesさんから出資していただけることになり、突然に光が差し込んだ思いです。昨年は一緒に釜山国際映画祭に参加して、企画マーケットのAPMでCJ賞とARRI賞の2つの賞を受賞し、とてもいい弾みになっています。来年の撮影に向けて、今まさに船出の準備を整えているところです。
 K2 Picturesさんの新しい仕組みづくりと、日本の映画業界の悪循環を変える試みに心から賛同するとともに、ひとりの作り手として、何よりもいい作品をつくることで、彼らの素晴らしい挑戦に貢献できたらと思っております。

 日本はもちろんのこと、世界市場に向けても邁進していくK2 Picturesの今後にご期待いただきたい。

(オフィシャル素材提供)

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