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『秋が来るとき』リュディヴィーヌ・サニエ オフィシャル・インタビュー

© 2024 – FOZ – FRANCE 2 CINEMA – PLAYTIME

 2024年サン・セバスティアン国際映画祭にて脚本・助演俳優賞を受賞、横浜フランス映画祭2025で上映され絶賛されたフランソワ・オゾン監督最新作『秋が来るとき』が5月30日(金)より新宿ピカデリー、TOHOシネマズ シャンテほか全国公開となる。

初期のオゾン作品を感じさせる、濃厚な人生ドラマ。俳優たちも新旧オゾン組が大集結。

 『焼け石に水』『8人の女たち』 『スイミング・プール』など、カンヌ、ベルリン映画祭の常連、フランス映画の巨匠フランソワ・オゾンの新作は、自然豊かなフランス・ブルゴーニュの秋を舞台にした人生ドラマ。主人公ミシェルを演じたのは、映画、舞台でも活躍するベテラン女優エレーヌ・ヴァンサン。その親友役に、ジョジアーヌ・バラスコ。その息子役にサン・セバスティアン国際映画祭で助演俳優賞を受賞したピエール・ロタン。日本でも大ヒットを記録した『スイミング・プール』のリュディヴィ−ヌ・サニエも2003年以来、約22年ぶりに出演。新旧のオゾン・ファミリーが一堂に会し、熟練した演技を見せる。

最後の人生を生き抜くために必要なのは、愛と抱擁、ちょっとした秘密――。

 ミシェルは自然豊かで静かな田舎での一人暮らし。休暇で訪れる孫と会うことを楽しみに、家庭菜園で採れたにんじんをスープにし、デザートは自作のケーキ、そして秋の気配が色づく森の中を親友とおしゃべりしながら散歩する。後ろめたい過去を抱えつつも80歳の女性ミシェルが人生の最後を自分のため、家族のため、友人のため、ある秘密を受け入れる。美しいブルゴーニュの景観の中、人生の秋から冬を迎える女性のドラマを繊細に、時にドラマティックに描き出す。さらにサスペンス的な要素も垣間見える本作は、初期のオゾンの作風を彷彿させ、成熟した大人や映画ファンに静かな感動をもたらすだろう。

「オゾン監督は、本当に女性の映画作家だと思う」
フランソワ・オゾン監督とは約20年ぶり!リュディヴィーヌ・サニエ オフィシャル・インタビュー

 本作の日本公開を記念し、フランソワ・オゾン監督とは『スイミング・プール』以来約20年ぶりとなったリュディヴィーヌ・サニエのオフィシャル・インタビューが到着。
 オゾン監督との久しぶりの再会について「オゾン監督と3作品ご一緒した後に、私たちはお互いに別々の道を歩みました。そして、今回再会するまでの時間は必要だったように思います。その間何度かオファーはあったんですよ。ただ、私がやりたくても彼がちょっと違うなとか、彼が私と一緒にやりたくても、私のほうがちょっと違うなとか、そういったすれ違いがあって、少し交流自体が途絶えていた時もありました。そんな時、突然ランチに誘われて。仕事の話はしなかったのですが、楽しい時間を過ごしました。その日の夜にエージェントからあなたに演じてもらいたい役があるという話を聞いたのです。古い友達と出会えたことと、そしてまた一緒に仕事ができるということで、二重に嬉しかったです」ときっかけについて語り、オゾン監督自身については「オゾン監督は、本当に女性の映画作家だなというふうに思うんです。非常に複雑な女性性やヒューマンな女性像を描きながらちょっと面白い話をフューチャーしていて。彼は女性というそのものをカメラに収めている。それが年齢関係なくというのが素晴らしいのです。やはり歳がいった女性はスクリーンから遠のいてしまうことが多い中で、彼は進んでそういったシニアを主人公に添える、そういった中では女性を描く先進的な精神をもった監督かなと思います」と評価した。

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 また、撮影中はひとつ屋根の下で暮らしていたらしく「本当に昔からの知り合いですから、いつも撮影をするときは昔もそうでしたけど、同じ家に住むんです。今回も同じ家に住みました。撮影初日の朝に私が台所に行き、コーヒーを飲むわと言ったら、彼は“僕はティーにする”と答え、私は苺ジャムにすると言ったら、“僕はママレードにする”と言い、二人で“今日はいい1日になるよね”と笑いながら言う。犬と猫くらい私たち違うんです(笑)」とエピソードを披露。

 作品については、「シナリオにも書いてはいなかったのですが、本作の中で明らかとなっていないミステリアスなシーンに関して、オゾンに聞いてみたら、「僕が考えていることはどうでもいいんだよ。君が感じたことが大切なんだ」と言っていました。ですので、観客の皆さんがどう感じるかが大切なんだと思います。皆さんの経験を通してこのストーリーを自由に解釈してほしいと彼は願っていると思います」と本作は自由な解釈が大切とした。

 役作りについては、「自分が演じる人物がどういう人かを感じとることは必要不可欠だと思います。建築をするような、少しずつ肉付けをしていくような感じで、深い人間性を取り込もうとする作業です。この人物はどういう過去があって、これからどこに向かおうとしているのかということを考えます。本作に関して言うと、シナリオを読んだとき、実は笑ってしまったのです。腹黒い人物を演じるのは私にとって快感です。共感は出来なかったのですが、俳優として演じるにあたって彼女の過去を想像して理解しようとはします。田舎町ですからかなり周囲から後ろ指を指されたり、彼女は心の中に傷を抱えて生きてきたのではないでしょうか。すごく苦労したと思うんです。子どものころの思いが大人になってもずっと残っている」と解釈した。

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 フランスのベテラン女優であるエレーヌ・ヴァンサン、ジョジアーヌ・バラスコとの共演については「残念ながらジョジアーヌ・バラスコとは同じシーンがなかったのですが、撮影中にお見かけしたことはあります。前から知っているんですが、お互いとっても気があうんです。女優としても監督としても彼女のことはとても尊敬しています。エレーヌ・ヴァンサンは私が8歳の頃、最初の作品に出演していました。だから今回35年以上ぶりの再会ということになります。お互い、好意を持っていますし彼女と仕事するのは全然難しくなくて、とても穏やかなので、一緒に演技するのはとても心地良いものでした」と回顧しながら語った。

 劇中父親が常に不在という点について、「この作品は父親の不在が、ヴァレリーやヴァンサンの不安定さに関係しているのではないのかなと思います。母親が安定した人生というものをなかなか与えられなかったから、やんちゃで軽犯罪に走ってしまったり、ちょっとメランコリックな安定した精神をもてなかったりしたことと関係しているんだろうなと思いました」と分析。

 好きな日本映画は「是枝監督の全作品ではないでしょうか。一番好きな作品は『怪物』、『歩いても歩いても』、『そして父になる』この3作でしょうか」とし、最後は日本の観客に向けて「日本の皆さん、フランス映画好きの皆さん、今回の作品は家族の物語ではありますが、皆さんにはあまり知られていないブルゴーニュという地方で展開される作品です。自然があり森があり、特に美しいのが秋なんです。日本も自然や桜がとても美しいですよね。ブルゴーニュでは、キノコがある時期が一番美しいです」と本作の鍵でもあるキノコに触れながらメッセージを告げた。

 リュディヴィーヌ・サニエが複雑な心境を抱えながらも母親と対峙し、ある事件に巻き込まれる映画『秋が来るとき』は5月30日(金)より新宿ピカデリー、TOHOシネマズ シャンテほか全国公開。

公開表記

 配給:ロングライド、マーチ
 5月30日(金) 新宿ピカデリー、TOHOシネマズ シャンテほか全国公開

(オフィシャル素材提供)

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