イベント・舞台挨拶

『そこにきみはいて』完成披露舞台挨拶

©「そこにきみはいて」製作委員会

 登壇者:福地桃⼦、寛⼀郎、中川⿓太郎、⽵⾺靖具監督

 名づけられなかった感情や、誰にも理解されない痛みを、繊細かつ⼤胆な詩的リアリズムで描く映画『そこにきみはいて』が11⽉28⽇(⾦)より全国順次公開となる。主演の福地桃⼦と寛⼀郎という注⽬の実⼒派俳優が紡ぎ、⽵⾺靖具(監督・脚本)×中川⿓太郎(原案・出演)の注⽬の映画作家のコラボで静謐な映像と誠実な語り⼝で、誰かと共に⽣きることの難しさと希望を描き出した。

 映画『きみにそこはいて』の完成披露試写会が11⽉10⽇(⽉)に都内で開催され、福地桃⼦、寛⼀郎、本作の原案であり、俳優としても参加している中川⿓太郎、⽵⾺靖具監督が揃い舞台挨拶に登壇した。

 主⼈公の⾹⾥を演じた福地は、これから映画を観る観客を前に「信頼できる⼤切な⼈たちと、じっくり流れる時間の中で丁寧に時を過ごした⼤切な作品です。どういうふうに受け取ってもらえるのか? 緊張もありながら、楽しみにしています」と挨拶。

 そして、寛⼀郎は本作への参加について、運命めいたものを感じているよう。「皆さんに知ってほしいことあります」と前置きし、「最初に台本と企画書をもらうわけですけど、そこに⽵⾺さんの名前があって、僕は⽵⾺さんのことは認識していました。というのも、デビュー作でご⼀緒したある⽅が、⽵⾺さんの作品の主演をやられていて、ことあるごとにその⽅から『⽵⾺はやべぇぞ。ヤバいやつなんだよ』と聞かされていました(笑)。主演の福地さんとは初めてだったんですが、共通の知⼈がいて『桃ちゃんはすごく良い⼦なんだよ』と聞かされていました。それから、中川⿓太郎が役者で出ると聞いて、実は僕が20 歳くらい、デビューしてすぐに中川さんが『飯⾏こう』と⾔ってくれて、そこで『俺ら若いので映画撮ろうよ』、『やりましょう!』と⾔っていたんですが、結局できずに6〜7年を経て今回、中川さんが役者として出ると聞いて『やるしかないじゃん、俺︕』と思いました」と熱い思いを吐露。そして、物語に関しては「読んでみたら、(中川さんが)当時『やろう』と⾔ってくれていた『⾛れ、絶望に追いつかれない速さで』を思い出して、⾃分の中で『うわっ! 点と点がつながった』という感じがありました」と明かした。

 中川は、こうした経緯を経て、⽵⾺監督に企画を託して、⾃⾝は俳優として参加し、完成した本作について「⾃分が着想したけど、⽵⾺さんにやっていただいてよかったんじゃないかと思いました。僕はいま、35歳ですが、いまの⾃分にはこの映画はきっと撮れなかったと思ったし、そんな中で⽵⾺さんにこういう形で仕上げていただき、福地さんも、寛⼀郎も僕にとって、⼤切な俳優さんなんですが、その⼈たちをこういうふうに演出してくれて、それがよかったです。改めて素晴らしい仲間とつくれたと思いました」と感慨深げ。
 中川は、⾃⾝も監督として活躍しているが、改めて、⾃らの原案・企画を託した⽵⾺監督について「僕が演じた(健流の親友である)慎吾という役は、僕であり⽵⾺さんでもあると思います。それが混ざるというのが、この仕事の素晴らしさだと思いますし、⼆⼈でひとつの役をつくれたことは、通常の⼈⽣ではなかなか体験できないし、その後の僕の演出も⼤きく変えました。本当に感謝していますし、尊敬しています」とストレートに思いを伝えた。

 福地は、初共演となった寛⼀郎について「すごくよく覚えているのが、(寛⼀郎さんと)同じシーンではなかった時に、すごく寛⼀郎くんの存在がワーッと来たことがありました。寛⼀郎くんのすごく⼤切なシーンの撮影があった時に、⽵⾺さんを通して『すごく良い時間が流れていた』という⾔葉を聞いて、そこにはちゃんとその場の温度が乗っていたように感じられて、(胸に⼿を当てながら)このへんがワーッと熱くなりました。それは寛⼀郎くんが私に与えてくれたものでした。⽵⾺さんが(寛⼀郎さんの様⼦について)伝えてくれる⾔葉のひとつひとつが毎⽇、背中を押してくれていたように感じています」と⼀緒の現場にいない時も寛⼀郎の存在を感じていたとふり返る。
 ⼀⽅の寛⼀郎は、福地について「悪⼝じゃなく(笑)、これまで演じてきた役がそうだったのか、良い意味で“⽥舎娘”感のあるイメージだったんですけど(笑)、実際に会ってみたらすごく艶っぽく、⾊っぽいイメージでした。ひとつひとつの⾔葉を考えて紡いでいくところが素敵だなと思いました」とその魅⼒を語る。

 現場で監督として、この2⼈のやりとりを⽬撃した⽵⾺監督は「奇跡が起こっているような感じがしました。それを発⾒して、映像に収めていくのが監督だと思うんですけど、⿓太郎も含めてですが、(俳優陣の演技によって)奇跡みたいなものが起こることに興奮し、感動しちゃいました。⾃分でイメージした脚本で、演出もして、俳優さんがそこでキャラクターに命を与えると、それが真実の演技なのか……、みんなの演技を⾒て、感動して震えていました」と惜しみない称賛の⾔葉を⼝にした。

 そして、タイトルの『そこにきみはいて』にちなんで、寒くなってきたこの時期に<そこにいてほしい存在・そこにあってほしいもの>を問われると中川は、「寂しい時こそ、映画館じゃないですか。この時期って少し寂しく感じるじゃないですか。⼀つの光を⼤勢で観るっていう体験は、寂しさとセットだと思うから」と回答すると、観客から拍⼿が起こった。
 舞台挨拶の最後に、⽵⾺監督は⽇本で初めて本作を鑑賞する観客に向け「この映画が完成して1年半くらい、撮影は2年前なんですが、お客さんに観られて映画は完成するものだと思っています。とても静かな映画ではあると思うんですけど、僕はこれが5本⽬の映画で、これが代表作だと思っています。中川⿓太郎に感謝したいし、福地さん、寛⼀郎さん、そしてここにいないスタッフにも感謝したいと思います」と語り、温かい拍⼿の中で舞台挨拶は幕を閉じた。

 映画『そこにきみはいて』は11⽉28⽇(⾦)よりヒューマントラストシネマ渋⾕ほか 全国順次公開。

公開表記

 配給:日活
 11/28(⾦)よりヒューマントラストシネマ渋⾕ほか 全国順次公開

(オフィシャル素材提供)

関連作品

スポンサーリンク
シェアする
サイト 管理者をフォローする
Translate »
タイトルとURLをコピーしました