イベント・舞台挨拶

「田辺・弁慶映画祭セレクション2023」『田中さくら監督DAY』初日舞台挨拶

 東京・テアトル新宿で開催中の「田辺・弁慶映画祭セレクション2023」で、映画『夢見るペトロ』の特別上映が8月12日(土)に行われ、上映後のトークショーに同作の監督・田中さくらと主演の女優・紗葉、同映画祭で審査員を務めた映画監督の大友啓史らが登壇した。

 これまで数多くの若き才能を輩出し、“若手映画監督の登竜門”として高く注目される田辺・弁慶映画祭。「田辺・弁慶映画祭セレクション2023」では、昨年11月に開催された第16回のコンペティション部門受賞作品や受賞監督の新作が特集上映される。
 満員御礼で迎えたこの日は「田中さくら監督DAY」と題し、第16回で審査員特別賞と俳優賞の2冠を獲得した田中さくら監督作品『夢見るペトロ』と、本セレクションのために撮り下ろされた新作短編『いつもうしろに』が上映された。
 映画『夢見るペトロ』は監督の田中さくらが同志社大学在学中に制作した短編映画。チラシ配りのアルバイトをしながら暮らすさゆりはある日、飼っていたインコのペトロを失くした兄・りつから突然自身の結婚を告げられる。兄の結婚という現実から目を背けるように過去へ、幻想へと沈み込むさゆりが、いくつもの選択と決断の中で迷いながらも少しずつ前へと進んでいく物語を全編16ミリ・フィルムで幻想的な映像で描いた。

 上映後の拍手に包まれる劇場に登場した田中監督は「本当にぎっしりとお客様に来ていただいて、これが満席かと思うと胸がいっぱいです。本日はありがとうございます」と感謝を語り、同作の撮影を振り返って「フィルムが回る音が鳴っているときは、現場にいるみんなで物語の中に飛び込んでしまったような感覚があって、こんなに映画の中に入れるんだって思えたのが嬉しかった記憶があります」と思いを馳せた。

 主演を務めた紗葉は「初日を満席で迎えられたことを本当に嬉しく思います」と目を輝かせ、「この時代にフィルムで撮影できるっていうのは、なかなか経験ができないことだと思うので、本当に楽しく撮影させていただきました」と笑顔を見せた。

 映画祭の審査員を務めた大友監督は同作について「全編16ミリ・フィルムによる撮影は、淡い温もりや郷愁とともに、まるでパラレル・ワールドに生きるような不確かな今の息吹を感じさせる。SNS時代のハイブリッドな感性がもたらす、新しい映像詞の可能性」と高く評価。
 選考時を振り返って「この作品はフィルムでの撮影ということが1番大きいとは思うんですけれども、今の時代にちょっと忘れられているものを、令和の新しい感性が捉え始めているんじゃないかなということで、田辺・弁慶映画祭の歴史の1ページに残して、皆さんの記憶にも届けていただけられたらいいなと思って選んだ作品です」と授賞の経緯を紹介した。

 田中監督の作品の魅力を「ストーリー・テリングだけではなく、論理や理屈だけではない、生きているざらざらとした手触りみたいなもの」と語った大友監督は、「やっぱり映画館で観るという行為自体は、映画に関わる人間としてこだわるべきところ」と思いを込め、「この作品もデータで見る印象と劇場で見る印象が全然違う。フィルムがスクリーンに投影される際に皆さんとスクリーンの間にある空気、画面の中の粒状性もそうですけれども、そのスクリーンと皆さんの見る位置との間にも確実に粒状性や空気感があり、映画を観るというその空気感の大切さに審査の時にものすごく感銘したんです」とコメント。

 続けて、俳優賞を受賞した紗葉の演技について「シンプルな作品は、演技にも作為性や下心が見えてきてしまいますが、そういう邪心が育つ前のナチュラルな芝居の捕まえ方をしている」と評し、「年を重ねれば重なるほど、俳優も下心が出てきますから、気を付けてくださいね」とアドバイスで笑いを誘った。
 トークショーの最後に田中監督は「私は芸術大学を出ているわけではなく、映画サークルで好きで好きで撮ってきたので、このような形でこの場に来られて本当に良かったです」と喜びを語り、紗葉は「今回の映画祭でこれほどの方に観ていただいて、そのありがたみや嬉しさ、また、自分の出演作、主演作が劇場に関わることの大変さや重みを勉強することができました。本当にありがとうございます。私はまだまだこれからですが頑張っていきますので、これからもどうぞよろしくお願いいたします」と感謝を込めて力強く意気込んだ。

 トークショーにはMCとして同映画祭で審査員を務めた映画評論家の松崎健夫、新作短編『いつもうしろに』に出演した大下ヒロト、佐藤 京も出席した。

 登壇者:田中さくら監督、紗葉、大友啓史(映画監督)ほか

 田辺・弁慶映画祭の受賞作品を上映する「田辺・弁慶映画祭セレクション2023」は8月24日まで東京・テアトル新宿、9月1日から9月7日まで大阪・シネ・リーブル梅田で開催予定。田中さくら監督作品『夢見るペトロ』と新作短編『いつもうしろに』は、テアトル新宿では8月14日、8月16日、シネ・リーブル梅田は9月5日、7日に特別上映。

田辺・弁慶映画祭セレクション2023 開催情報

 《東京》テアトル新宿
  日時:令和5年8月4日(金)~8月24日(木)
  場所:東京都新宿区新宿3−14−20 新宿テアトルビルB1
  https://ttcg.jp/theatre_shinjuku/(外部サイト)

 《大阪》シネ・リーブル梅田
  日時:令和5年9月1日(金)~9月7日(木)
  場所:大阪府大阪市北区大淀中1−1−88 梅田スカイビルタワーイースト
  https://ttcg.jp/cinelibre_umeda/(外部サイト)

『夢見るペトロ』作品情報

 監督・脚本・プロデューサー:田中さくら
 出演:紗葉、千田丈博、雪乃

 (2022年、日本、上映時間:32分)

オフィシャル・サイト(外部サイト)

田中さくら監督特集
田中さくら監督特集上映のホームページ。監督作『夢見るペトロ』『いつもうしろに』の作品情報、田辺・弁慶映画祭セレクション「弁セレ2023」の上映情報が掲載されています。

(オフィシャル素材提供)

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